浴後のコーラとゆで卵。おもてなしに見るパウザ精神!
さて、サウナや入浴を堪能したあと、フロントでちょっとしたお楽しみも待っているのが「ゆパウザひばり」。
それがこちら。キンキンに冷えたジョッキで飲めるコーラや、ラムネやビールと……ゆで卵!
「以前はフランクフルト、焼きおにぎりに枝豆、冷や奴、たこ焼きなど、もっとたくさんフードメニューもあったんですが、コロナの時期に“長居しちゃいけない”“あまりものを触らない方がいい”みたいなことでほとんどやめてしまって。今はゆで卵だけなんです。やっぱりサウナやお風呂に入るとお腹がへるじゃないですか。何か一つくらいは残そうって、コレだけはずっとお出しできるようにしてるんです」
広野さんのお母さんが、2000年の再建時に始めた飲食のサービス。どうやらそこにも“パウザ”の精神が宿っているようですね。
「皆さん、お客さん同士で楽しそうにおしゃべりしながら、飲んだり食べたりして帰っていかれます。今は最も気を遣った時期からはだいぶ元通りになったので、今後また少しずつ増やしていきたいと思っているんですけどね。まぁ、いろいろな人の考え方があるので様子を見ながら。でも、ここに来たら、誰かと会えるし、なぜかくつろげる。そういう“場”であり続けるのも街のお風呂屋さんの役割みたいなものかとも思うので」
ここ数年のコロナ禍のみならず、これまで、苦しく大変だった時期は幾度もあったそう。
「リーマンショック(※2008年)の頃なども燃料が高騰した上に、すぐ近くにスーパー銭湯ができたりもして、正直、キツかったですからね。向こうも大変だったんでしょうけど、銭湯であるウチよりも安い料金の“サービスデー”みたいなイベントをされたりもしました。でも、来てくださる方がいる限りは……と、やれることを一生懸命やってがんばってきました。今となっては諦めなくて良かったなって思ってます」
ちょっと照れくさそうに、“やれることと言っても、たかがしれてますけどね”と付け加えた広野さん。
「一度、嫌な印象を持たれてしまうと大変ですから。だから基本的なことなんだけど、とにかく清潔感を大切にして、水もケチったりしないとか。そしてサウナでいえば温度や湿度の管理や調整みたいなことにも気を配って……。とにかく毎日、鏡やタイルをピッカピカにして、サウナ室も手拭きでキレイにして、あったかく心地よくなってもらう。実はそれを続けてきただけなんです(笑)」
ちなみに、その“すぐ近くにできたスーパー銭湯”は数年前に閉店したそうです。
「サウナ人気で、皆さんいろんなお好きなところに行かれるじゃないですか。ウチのお客さんでも、一時期、顔を見なくなったなっていう方もいるけど、そのうち、戻ってきてくださるんですよね。
“ラッキー”って言っちゃうとちょっとアレですけど……(笑)、男性はそういう方が本当に多いし、女性も(男性のように)毎日(来てくださる)って方はそんなにいないけど、定期的に通ってくれる方が増えてるんですよね。『このサウナ室は、ずっと入っていられます』なんて言って。
水風呂もサウナもお風呂も、ただ“気持ちよくなってほしい”っていう思いだけでやってきたことが、ありがたいことに実を結んでいるというか。これからも、それを続けていこうと。それだけですね」
最後に、3代目いわく、「男女の入れ替えは難しいけど、女性のサウナ室は、まだもう少し余裕もあります。皆さん、お待ちしています(笑)」とのこと!
(もちろん男性もですが)女性のサウナ愛好家の皆さん! 東京にお越しの折はぜひ一度、ひばりヶ丘へ来てみてはいかがでしょうか。
いや、お住まい近くの、あったかそうな雰囲気の銭湯を覗いてみるのもいいかもしれません。
「ゆパウザひばり」同様に“パウザ”なお店。――意外と近くにあるかもしれないですよ!!
【ゆパウザひばり】
■住所:東京都西東京市谷戸町3-17-8
■営業時間:<月〜水、金〜土>後3:00~11:30、<日・祝>後1:00~11:30 定休=毎週木曜
■料金:入浴料=520円(大人)+サウナ料金330円(タオルなし) ※タオル付きは430円
撮影/田中健児