最高の女湯サウナ室が誕生したのは……なんと男性客のためでもあった!?
「実は、ウチの浴室は、それぞれ名前が付いているんです。今の男湯側が『エメラルド』、女湯側が『天使の湯』って言うんですけど……」
読者の皆さんのお住まい近くにも、そうした浴室に名前があるお風呂屋さんって、あリませんか? たとえば「月の湯」と「陽の湯」とか、「大地の湯」と「太陽の湯」のような名前だったり。
実は、そうした銭湯は、大概、日替わりとか週替わりで“入れ替え制”になっていることが多いんですが。
「ウチも、つい数年前まで週替わりで男女入れ替えにしていたんです。2つのサウナ室がまるっきり違う造りなのも、その入れ替え制を実は念頭に入れていたんですよね。まったく異なる気持ちよさを両方とも味わってほしい、ということで」
はい! これは皆さんも合点がいく話ではないでしょうか。
「2000年当時は、銭湯のサウナとしてはガス遠赤外線ヒーターのサウナ室がまだまだ多く、人気だったんですよね。皆さんに喜んでもらえるものをということで、ウチでも1つは遠赤外線のものにしようと。もう一つのロッキーサウナは、当時としてはまだ銭湯で入れているところはほとんどなかったと思うんですが」
まだ知られてはいないけど、ロッキーサウナも気持ちいいし、喜んでもらえるだろう、と?
「そうそう。そういうことで、片方はこの形にしたんです。壁や天井もロッキーの方は全部を木張りにして。アツい熱のサウナ室というよりは、マイルドな熱さをじっくり楽しんでもらえるようにって。
そのうち、今から4〜5年前くらいからかな。サウナが人気になり始めましたよね。おかげさまで『水風呂も気持ちいい』なんて言っていただけて、ウチも若い男性を中心にサウナのお客さんにものすごく来てもらえるようになったのはいいんですが、ちょっとロッキーサウナの方は対応しきれないというか……キャパシティーを超えちゃったんです」
整理します。遠赤外線ヒーターのサウナ室(浴室「エメラルド」側)は20名近くが入れるサイズ感。
対して、ロッキーサウナ(浴室「天使の湯」側)は、ストーブの構造もあって、座面スペースはそのおよそ半分。座れる人数でいうと……10〜11名ほど。
「とくにサウナ利用者の多い土日は遠赤側を男湯に固定して、平日は入れ替えを続けるとか、ロッキー側のストーブのすぐ前に座れる部分を増設したりとか、いろいろがんばってはみたんですけど、それでも到底まかないきれないようになってしまって。せっかく気持ちよくなりに来てくれたのに、かなり待ってもらったり並んでもらうストレスを与えてしまうのが心苦しくて」
その後、さらに、コロナ禍も……。
「そうなんです。『ソーシャルディスタンスも必要』ということになってしまって。もう、男女入れ替えは諦めざるを得ないかなということになったのが……数年前のことです」
今も時折、男性客から(※筆者もそのクチですが)、「あっち側にまた入らせてよ」という声も聞かれるそうですが、そこは慎重に対応せざるを得ないようで。まぁ、でも遠赤外線ヒーターのサウナ室も、十分にキモチ良くはあるので。これ以上のワガママは言いません(笑)。
「苦渋の選択ではあるんですけどね。今思えば、最初からロッキーの方も、もう少し大きい造りにしておけば良かったんでしょうけどね(苦笑)」
いやはや、ド直球で真っすぐに男性利用客のことを考え続けた結果、都内でも屈指の女性にオススメしたい銭湯サウナができたってことなんですね……。
はい、ここはもうシンプルに「女性にとってうれしい、いい銭湯サウナがココにある」というコトで納得しておきましょう! 男としても!!
(奇跡が起こることを、心のどこかで祈りつつ!)