「SAUNA BROS.vol.1」の企画でフィンランド大使館を訪ねたとき、取材に応じていただいた参事官さんがこんなことを言っていました。「フィンランドでは、なんでもサウナにしてしまいます。使わなくなった小屋はもちろん、電話ボックスや車なども」。すごいなぁ~、と思って聞いていたのですが……日本にもいました! そうしたサウナを作ってしまう方々が!!
昨年の秋くらいから、Twitterなどでも情報が流れていたので気になっていた方も多いと思いますが、「使わなくなった路線バスを移動型サウナとして再活用する」プロジェクトが始動していました。その「サバス」が、このほど完成したそうです。
この「サバス」を手がけたのは、兵庫で“バスをリブランディングする”をミッションにバスの活用事業を手がけている株式会社リバース。実際に路線バスとして運行していた神姫バスの車両を用いて、サウナ好きにはなじみ深いサウナ専門のWebサイト「サウナイキタイ」のメンバーとともに、2020年の夏ごろからプロジェクトをスタートしていたそうです。
長い間、社会の中で活躍しながらも使われなくなった車両を「再活用」するとともに、「これまでサウナがなかったところにも向かうことができる」という聞いただけでもワクワクするお話。さらに「バスが持つ機能や設備」を「サウナの設備」にうまく転用するという、遊び心とサウナ愛(&バス愛)のあるデザインや仕掛けが随所に施されています。さすがは「サウナイキタイ」の皆さん!
たとえば、
・「降りますボタン」を、「ロウリュ降りますボタン」に!
・整理券ボックスをオートロウリュのアロマ水タンクに
・座席についていた取っ手をサウナ室ドアの取っ手に
・座席の取っ手や肘掛けはサウナベンチにも再び活用
・エアコン吹き出し口を吸・排気口や照明に etc…
そうしたアイデアを車内の随所に散りばめつつ、「サバス」は車両の前半分を休憩&待合スペース、後ろ半分をサウナ室にしています。
路線バスって、後ろにいくと段差がありますし、タイヤのすぐ上の座席って他の席よりイスが高い位置にありますよね。そんなバス特有の形状も、そのままうまくサウナベンチの「段差」として取り入れています。いやぁ、実によく出来ていますよね。すごい!
サウナストーブはフィンランドのHARVIA社製の薪ストーブ。サウナ室スペースに入った途端に利用者が思わず嬉しくなってしまうように…と、サウナ室のサイズに比較するとやや大きめのストーブです。ガラス製の薪投入口も大き目で、炎がよく見えるのも、うっとりポイント。
先述のように“半オートロウリュ”機能もあるので、しっかり湿度も体感温度もキープされるそうです。
ベンチはすべて前向き。肘掛けや取っ手などには麻のひもが巻かれ「アチチ」とならないような心遣い。座面の木材も、太ももや膝裏が触れる部分は角を丸くする加工がされています。
写真でもお分かりのように、サウナ室からもバス前方部分の休憩もできるスペースからも、窓越しに風景が望めます。見晴らしのいいところでのサウナ体験。きっと最高ですよね。
水風呂がわりのプールや車外にいすを並べての外気浴も、思いのまま!
バスの行先表示もそのまま活用。ほかにも吊り革の丸い部分に温度計をはめ込んであったり、遊び心やこだわりは本当にいたるところに! それらを探すのも楽しそうです。ちなみに、こちらのバスのナンバーは…「さ 11-37」だそうです!
さて、この「サバス」の完成を記念した、希望者を募っての体験会が、3/5に兵庫県のグリーンエコー笠形で行われるそうです(※申込受付はすでに終了しています)。きっと体験した愛好家の方の感想などが、これからどんどん伝わってくるでしょう。
この「サバス」は、バスが設置できるスペースのある施設やキャンプ場などに出張もしてくれるサービスなので、イベントで使いたい等、興味のある事業者の方はぜひチェックしてみてください!