「サウナ室」から「水風呂」、そして「外(内)気浴」。日本においてのサウナの楽しみ方として、このルーティーンはほぼ確立されたと言ってもいいですよね。
さらに、それらに加えての、浴前浴後のリラックスできる空間や時間。そのすべてがたまらなく気持ちいい……。そんな施設があったら、皆さん、行ってみたくなりませんか? リピートしたくなっちゃいませんか?
富山県黒部市に2023年7月にオープンした「湯屋FUROBAKKA」。今回はこの施設にロックオン! 上述した要素が揃っちゃっているんです。そして、そのひとつひとつが、ここにしかないものだったりも。
前置きはこのあたりにしましょうか。さぁ、気持ちいいポイントをドド〜ンと紹介させていただきましょう。現在発売中の「SAUNA BROS.vol.7」でも、大きな誌面サイズでドドドド〜ンと巻頭グラビア特集記事を掲載していますので、よろしければそちらも併せてご覧いただきながらお楽しみください。
北アルプスの自然の恵み……「名水」を味わいに、いざ北陸へ!
3月16日(土)に金沢駅から敦賀駅まで延伸したことでも話題の北陸新幹線。「はくたか」号で行けば黒部宇奈月温泉駅から車でおよそ10分ほど。最速(停車駅が少ない)の「かがやき」号なら富山駅から車でおよそ30〜40分。
間近に北アルプスの峰々を仰ぐことができ、海からもほど近い場所に「湯屋FUROBAKKA」(以下、「FUROBAKKA」)はあります。
こちらがそのエントランス。扉のないゲートがフレンドリーに出迎えてくれます。「さぁ、皆さん、どうぞどうぞ! お入りください!」とばかりに。
さて。北陸というエリアだったり、北アルプスというワードを聞いて、サウナ好きの皆さんなら、ピンとくる方もいるはず。
そう、すごく水がいいんです! アルプスの雪解け水ですからね。肌あたりが本当にやわらかくマイルドで、その一方で清冽(れいせつ)な爽やかさもある……とにかく澄み切ったクリアな天然水。
もちろん飲んでも美味しいそんな水を、かけ流しの水風呂で(もちろんお湯の浴槽やシャワーなど全ての館内使用水も天然水です)、全身で味わうことができます。このあと、実際の水風呂のビジュアルはご紹介しますが、これがひとつ目の、かつ特筆すべき「FUROBAKKA」のポテンシャルです。
それでは、ゲートをくぐって行きましょう!
「FUROBAKKA」は「サウナばっか」。そして……五感で愉しむ「1/fゆらぎ」ばっか!
受付でチェックインを済ませると、こんな通路に出ます。
奥に見える母屋の大浴場「黒部や」には、男性浴場、女性浴場それぞれに心地よい2種のサウナ室があります。そして、左右の“壁”で隔てられたスペースには、それぞれ「やまさんひろば」「たてさんひろば」「とみさんひろば」と名付けられたエリアが広がっていて、独立したサウナ小屋が11棟(!)も立ち並んでいます。
そうなんです。「FUROBAKKA」は“風呂ばっか”(=風呂ばかり)と読めますが、“サウナばっか”と言いたいほど、サウナがズラ〜り! そして、この“壁”をよく見ると……これ、ぜ〜んぶ薪なんですよね。
そうなんです(2回目!)。実はこの「FUROBAKKA」のサウナ室、サウナ小屋は、そのほとんどが薪ストーブを使用。あわせて13台もの薪ストーブが利用客をあたためてくれているのです。
あくまでも個人の主観ではありますが「薪ストーブが嫌い」というサウナ好きは果たしているのでしょうか?
薪が燃える炎が発する熱は、特有の不思議なやわらかさがあるように感じます。また、ガラス板の向こうの赤い炎の揺らめきを見ているうちに……とてつもなく安らいだ気分になってきます。
視覚からだけではなく、時折、耳に届く「パチパチッ」という薪が爆ぜる音や、漂ってくるスモーキーな香りも、癒しの時間に一役買ってくれるというか。
「1/f(エフブンノイチ)ゆらぎ」という言葉、聞いたことがありませんか?
水のせせらぎや炎のゆらめき。風に揺れる草木の音、太陽の光といった自然界のさまざまな現象には「ほぼ一定だけど、少しだけ不規則」な状態が見られますよね。
実は、人間の鼓動や心音も「一律だけど、ほんの少し不規則」なんだそう。だからこそ人は、森の中を歩いたり、炎を見つめると、この「1/fゆらぎ」の効果を感じて癒されるとも言われています。
身体で、肌で感じるあたたかさのみならず、目や耳、鼻から……いわば五感すべてで感じる心地よさ。どのサウナ室でも、炎を前にすることが出来て、気持ちいい「ゆらぎ」をふんだんに享受できるんだ、と思うと、それだけでワクワクしてきてしまいました!
この夢のような“ヒーリング・コリドー(通路)”の先にある、それぞれのサウナ室を、次ページからじっくりと体感してみます。