サウナ人気の高まりとともに、全国各地で次々と新しい施設がオープンしています。その一方で、これまでブームをけん引してきた人気施設、老舗施設もさらなるアップデートを!
これまで数々の素晴らしい施設を訪ねてその魅力を取材&掲載してきたSAUNA BROS.ですが、うっかりしていると……新たな心地よさをご紹介しそびれてしまいます。
ということで、最新号である「SAUNA BROS.vol.5」では、そうしたリニューアルを敢行された施設をあらためて訪問するとともに各店の“仕掛け人”たちにもお話をうかがってきました。
惜しまれつつ閉業した「ガント」が、進化して復活!
既存施設のリニューアルやアップデートというわけではありませんが、ここ数年のサウナシーンの中でエポックメーキング的な施設として挙げたいのが「新岐阜サウナ」です。
2022年の8月にオープンしたのですが、実はこの施設、2020年12月に閉店してしまった伝説の施設「サウナガント」を、当時の常連客でもあった現代表が中心になってよみがえらせたもの。
同じ岐阜県内にある、ご存じ「大垣サウナ」は清冽な水風呂でファンが多いですが、「ガント」の水風呂も同様に愛されていて、廃業時には県内のみならず、全国の水風呂マニアを中心に多くの愛好家の嘆きの声があがったほどでした。
今回、「新岐阜サウナ」をオープンするにあたり資金を集めるためのクラウドファンディングに多くの支援が集まったのも、そうした根強いファンの思いがあったからだと思います。
「僕も『ガント』は大好きでした。でもそのまま復活させるのではなく、今の時代の若い人たちにも気持ち良さを分かってもらって愛してもらいたいという気持ちがあって。現代風にアレンジして復活させました。まぁ、昔の常連さんから『前と違う!』なんて言われたりもしますけどね(笑)」(代表・西山誠さん。以下同)
いやぁ、まずは復活させてくれたことに感謝です。そして、ここ数年、本当に日々進化しているサウナのさまざまな様式、楽しみ方を導入していただいたことにも驚愕&狂喜ですね。
それでは、「新岐阜サウナ」さんを……たっぷり堪能させていただくことにしましょう!
異なる快適さを提供してくれる3種のサウナ室
はい、浴室です。かつては1つずつだったサウナ室、水風呂が現在はそれぞれ3種になっています。西山さんの言葉どおり、実にバリエーション豊富で多彩な楽しみ方ができるんですね。
「新岐阜サウナ」のメーンとなる最も広いタワーサウナです。う~ん、「ガント」のサウナ室が、ここによみがえったんですね。ううぅっ。感慨深いものがあります。
ベンチは4段。利用者の好み、そしてその日の体調や気分にあわせてさまざまな温度帯を味わえちゃう。そして……実に広いです。座面も奥行きがしっかりあって、前後左右に十分余裕があります。これ、20~30人くらい入るんじゃないでしょうか。
この広いサウナの隅々まで熱を維持するストーブはというと……ジャーン、2台体制ですね。
遠赤外線の大型ヒーターと、ストーンが積まれたパンチのある「NEPPA」の強力W熱源。
「NEPPA」に惜しみなく水をかけてくれるロウリュ&熱波サービスも頻繁に行われているので、湿度も常時ほどよくキープ。あっという間に発汗します。
続いて、個室タイプのサウナ室へ行ってみましょう。
東京などでも大きなサウナ室と個室スタイルを併設しているサウナ施設は増えていますが、この新岐阜サウナのうれしいところは、この個室も予約などをせずに使えるところ。はい、空いていたら入っちゃっていいんです!
ロウリュの注ぎ口が面白いですね。水を入れてみると……おお、蒸気と熱い空気があがるあがる。回る回る。ふぅ~、これ、たまりません。
それぞれ詰めれば2~3人くらいまでは入れるこの個室がなんと3つも! メーンのサウナ室では周囲に人の気配をほどよく感じられますし(なんか、安心しますよね)、テレビをぼ~っと眺めたりもできますが、ここを1人で使うときはとことん没頭・没入できちゃう。いやぁ、良きです。
はい。そしてこちらが、やはり新設されたスチームの薬草サウナ。岐阜といえば古くから薬草の産地として知られていますが(施設としても大垣の「田辺温熱保養所」さんや各務原の「恵みの湯」さんとか、ハーバル&ピースフルな施設さんが多いですよね)、この「新岐阜サウナ」でもあのいい香りとやさしい蒸気を浴びることができちゃうんです。いやぁ、これはたしかに“ザ・漢のサウナ”だった「ガント」にはなかったものですが……いいじゃないか! めっちゃ心地よいですね。
冷々浴=「はしご」もたまらない、3種の名水の水風呂
それぞれでじっくり体をあたため汗をかいたら……はい、お楽しみの水風呂です。上述したように、こちらも3つのタイプが。広くて、誰にでも快適な水温帯=15~16℃の浴槽。そしてシングル(7~8℃くらいですかね)のキンキンなタイプ。さらには20℃オーバーのやさしい温度で横になって入れる寝水風呂。
強冷で体を一気に引き締めるも良し、マイルドな水温でゆっくりじっくり体の熱を取るも良し。さらには……水風呂をはしごする「冷々浴」を愉しむも良し。何より、岐阜の名水ですからね。やわらかでなめらかながら爽快感もある肌触り。ずっと包まれていたいし、この水風呂にもう1度入りたいからまたサウナ室に入っちゃう……なんていう無限ループのモードについつい突入してしまいそうになります。
ととのいエリアの充実ぶりも注目です。水風呂からあがり、脱衣所のスペースをさらに数歩行くと……ドーン! この「ととのいの間」が広がっているのです。
チェアのタイプ、長めのベンチ、そして横になれる長いイス。思い思いの内気浴(換気もいいしファンやサーキュレーターも十二分にスタンバっているので、ほぼほぼ外気浴と相違ない体感です)を挟むことができちゃいます。
浴後もリラックスし放題!「サめし」も激ヤバ!!
浴後のくつろぎも“完全保証”なのが素晴らし過ぎるポイントのひとつ。浴室のある2階から上がると2フロアにわたって、ご覧のように体を預けきれてしまうファニチャーがずらっと並ぶエリアが設けられています。
浴室もスゴイし、思う存分、休息をとれる場所もたっぷり。これは気をつけないと1日ずっと居ちゃうやつだわ……頭をよぎり始めたそんな思いが“確信”に変わってしまうのが、このお食事処の存在。
ブランド牛である飛騨牛を惜しみなく使ったメニューに海鮮もの、ドリンクも充実してます。おっと、岐阜といえば、のご当地の味“鶏ちゃん”も!
そしてこれが全部旨い! それもそのはず。西山さんはもともと飲食業を営んでいて「サウナはもちろんですが、この食事処も同じくらい力を入れている」というのですから。
「日々の仕事や生活で皆さんいろいろあるじゃないですか。少しの間でもいいので、そこから少し解放できる場所になれたら、と思ってるんです。以前の『ガント』は宿泊もできたんですが、今後はそこも目指していけたらと思っています。
僕も復活は願っていたんですが、いざプロジェクトをスタートさせてみたら……周囲の仲間のほうがめちゃくちゃアツくなって、驚きました(笑)。通常は男性専用施設なんですが、レディースデーも定期的に開催していきたいと思うほど女性の皆さんも支持してくださっている。そうするとこちらも、またさらにいい時間を空間を提供していきたくなりますし、あらためてやって良かったなと」
「サウナって、こんなにもみんなの力になるものなんですね」と語る西山さんの笑顔が実に印象的ですが……。
そうなんですよ。あらためてこの素晴らしい場所を「復活」させてくれたこと、アップデートさせ続けてくれることに、感謝と畏敬の念すら覚えてしまいます。
それにしても……岐阜の人もうらやましいですね。最高の施設がこんなにもたくさんあるんですから!
【新岐阜サウナ】
■住所:岐阜県岐阜市一番町7
■営業時間:[月~木曜・日曜]前11:00~深1:00、[金土]前11:00~翌前10:00 年中無休
■料金:[通常] 1,800円(前11:00~深1:00 ※深1:00以降滞在時は深夜料金 +1,000円)
※男性専用施設(女性の方は……レディースデーをお見逃しなく!)
「新岐阜サウナ」の記事は、SAUNA BROS.vol.5でも掲載しています。ご購入はこちらから!
撮影/長谷繁郎