更衣室がない⁉ 着替えは外という衝撃
――「ソンパサウナ」は、ボランティアと寄付だけで成り立っている首都・ヘルシンキの公衆サウナ。24時間、しかも無料で入れます。
「そうなんですよね。地元のサウナ好きの人たちによって成り立っていて。いつでも誰でも、自由に入ることができる。本当の意味での公衆サウナだな~と。到着してすぐに、フィンランドのサウナ文化の奥深さ、長い歴史を感じました」
――もともとは2011年、再開発が進む海沿いの埋立地でサウナ好きの市民たちが廃棄された小屋を修繕して、そこに薪ストーブを持ち込んだことが始まり。そのうち自然発生的に誰かが小屋に煙突を立て、薪代わりの建築廃材を切りはじめ……まあ、言ったら違法建築なんですが、それを許してしまう市の懐の深さを感じます(※2013年にはサウナ運営の指導と公衆サウナ文化の促進を目的として市民団体が管理することに。サウナ文化の推進・普及を称え文化勲章も送られたとか!)。
「スタッフさんがいないので、サウナが稼働していなかったら自分たちで薪を用意して、火を点けて。火の調整も後片付けも、そこにいる誰かが自主的にやるのがルールで。僕らが行ったときは、ちょうど『ソンパサウナのマスター』みたいな方がいらっしゃったんですけど、同じ間隔で少しずつ少しずつストーブに水をかけてくださったので、心地よく過ごすことができました」
――初めて行って驚いたことは何かあります?
「更衣室がないので、草太と一緒にブルブル震えながら外で洋服を脱いで。ロッカーもなく、そのへんに荷物を置いて。さすがに貴重品は水着のポケットに入れましたが、そこはサウナーの良心を信じて……って感じでした」
――「郷に入っては郷に従え」で。
「外で着替えるって日本人からすれば恥ずかしいですけど、“みんなやってるからいっか”って。もう“それごと楽しんじゃえ!”って気持ちで脱ぎました(笑)」
――完全にセルフサービスかつ、自己責任というのがすごいですよね。日本ではなかなか味わえない。
「そうですね。荷物の管理もすぐそこにある海に飛び込んで体を冷やすことも全部、自分の判断で行う。責任と自主性に任せた“大人の世界だな~”って。そのへんからも深くて長いサウナ文化を感じましたね。サウナに限らず、スケートでもこの精神は大切だなという学びもありました」