<連載>友野一希「スケートときどきサウナ」―第6回/衝撃!? 雪の夜の新たな体験

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雪のあの夜、僕は神戸サウナになりました!?

「雪といえば……この間、あえてサウナで雪を味わいたいと思って、『神戸サウナ』(「神戸サウナ&スパ」)に泊まりに行ったんです。先月も神戸サウナのお話をさせていただいて、『また神戸サウナの話かよ』って思われちゃうかもしれないけど(笑)」

――いやいや、毎日でも行きたいサウナですし、行く度にキモチイイですし。でも「あえて」というのは、狙っていったってコトですか?

「そうです。大晦日のカウントダウンのときに総支配人さんから『またごゆっくり、カプセルホテルにも泊まりにいらしてください』って言っていただいたんですけど、そういえば僕はあそこのカプセルに泊まったことがないなって思って。チャンスがあればカプセルに泊まりに行こうって思ってたこともあったんですが……」

――はい。

「1月のあの大雪の日に……関西でもすごく降って積もったんですが、僕、ちょうど翌日がオフだったんですよ。夕方からすごく寒くなって、夜中には積もるって聞いて、『これは今日、泊まりに行こう』って思い立って」

――神戸サウナのカプセルに宿泊してのサウナチャンス!!

「はい。両方味わえるじゃん、って。神戸サウナの水風呂ってかなり冷たいじゃないですか。冬の夜に、『フィンランドサウナ』を出たら、あの露天エリア一面が雪景色になっていて、さらにあの水風呂があるって想像したら……。“いや、これもうフィンランドじゃん”って思って(笑)」

――たしかに。

「『神戸サウナ』に、フィンランド旅行に行きました(笑)」

――まさしく、あの「フィンランドサウナ」ですからね。ただの雪見サウナではない(笑)。

「はい。吹雪いていたらちょっと厳しいかもしれなかったけど。あとは雪の日は人も少ないかもという気持ちもあって。大阪や神戸は動きがとれないほどには降らなさそうで、でも積もるなら、すごくちょうどいいなと思って……行ってみました」

――いかがでしたか?

「いや、素晴らしかったです。夜中は終電で帰れない人たちもいて人が増えたんですが、狙いどおり、僕が入館した時間帯はほとんど人もいなくて。アッツいサウナ室から出てきたら、真っ白の銀世界が広がっていて。あの冷たい水風呂に入ったあとに、ふわ~っと舞うように降ってくる雪を見上げながらたっぷりと外気浴をして体を冷ましていく。もう最高でしたね」

――早い時間に行ったんですね。

「夕方5時くらいですね。最初に2セットくらい入って、食堂でカレーを食べて、休憩して。で、そのあとまた2~3セットくらい。今回は本当にじっくりと満喫させてもらいました。4つあるサウナ室のうち、普段はあまり入らない塩サウナや、あの岩盤浴みたいな部屋にもゆったりと入って」

――「ハマーム」ですね。あそこは、アツいというよりはあったかくて、本当に心からユルみますよね。

「めっちゃユルみました(笑)。気持ちいいなぁ~って。あとは塩サウナで年配のお客さんと一緒になったんですが、その方と少しお話したりもして。普段は人が多かったりもして、僕はそういうことって、あまりないんですけど」

――どんなお話をされたんですか?

「『ここは、サウナ室によって体感がぜんぜん違うね』みたいな感じで話しかけられて。『そうですね。湿度や広さ、天井の高さとかで変わるんじゃないですかね』みたく答えて。『あなたはお若いけど、一人で来たの?』『一人で来るのも好きですね』『いいね、渋いね~』みたいな(笑)。あまり神戸サウナに来られていないような……ひょっとしたら、初めてなのかなと思ったので、ほかにも神戸サウナの魅力をいろいろお伝えしたりして」

――へぇ(笑)。

「なんだかねぇ……いい時間でした。この『いい感じ』も神戸サウナのステキなところだなってあらためて思いましたし、そういうあとのセットがまたさらに心地よかったりして。あのトントゥ(※)にも雪が積もって、それをぼんやりと眺めていて、もう『あぁ、いいわぁ~』って」

(※トントゥ=フィンランドに伝わるサウナの妖精。神戸サウナにはあちらこちらにこのトントゥの像がレイアウトされています)

――分かる気がします。

「それで、最後には、あの外気浴スペースでととのっていたら……イスに置いていた手や、体を預けていた背中の感覚がぜんぶなくなってきて。なんか、自分の体がぜんぶ溶けてなくなったような感じになってきて」

――うわぁ、すごい。あの……体がなくなるような感じですね。

「そうなんです。本当に、そんな感じになってきて。冷たいとか、冷えたから、っていうワケではないんですよ。もちろん同時に思考とかは一切なくなって、溶けていくみたいな感覚だけの世界になって」

――いや、分かります。

「なんていえばいいんだろう……イスだったり神戸サウナ全体と溶け合ってつながっていく、みたいな感じになりました」

――神戸サウナと溶け合う……最高の領域のととのいかもしれませんね。

「はい、最高でした。だから……あの夜、僕は『神戸サウナ』になったんですね!(笑)」

――いや、素晴らしいですね。俺もなりたい(笑)。

「もう、文字どおりの完全な『無』になれましたし、さらに神戸サウナ好きになりました。それと、本当にあらためて『サウナっていいなぁ』って思わされましたね。神戸サウナにとどまらず、『サウナ』というものじたいへのモチベーションが爆あがりしているところです」

スケートとサウナ。
両輪を充実させて世界選手権へ!

――スケートとサウナ。友野さんの「両輪」が、ともに充実してうまく絡み合っている気がします。この調子で世界選手権に向けて……。

「そうですね。これはいろいろ考えた上でのことなんですが、あまり試合を入れずに世界選手権を迎えることにしたんです。もちろん試合形式の練習は日々やっていくんですが、過密に詰め込まず、あえて余裕をもってのスケジュールで、技の一つ一つをレベルアップを図りながら、さらに調子をあげて合わせていければと思います」

――ちなみにいま、だいたいどのくらいの頻度で行かれている感じですか?

「えっと……週に2~3回くらいですね。ただ、1月はちょっとバグってて毎日ぐらいに行ってた時期もあったんですけど。その神戸サウナに宿泊したあととかは(笑)」

――なるほど。でも、そんな話を聞いてしまうと……世界選手権が国内開催(埼玉)というのは、とても良いですね。

「まさに、ですよね。ギリギリまで自分でペースや調整をコントロールできる。とにかく世界選手権で『いい試合』ができるよう、高めていければと思います」

【友野一希(ともの・かずき)】
1998年5月15日生まれ。大阪府出身。
4歳よりスケートを始め、ジュニア時代から表現力の豊かさには高い評価が。見ていて楽しくなるその演技で“氷上のエンターテイナー”“浪速のエンターテイナー”と称されることも。2021-22年シーズンには、四大陸選手権で2位、世界選手権で6位。今シーズンもさらなる高みを目指す。世界選手権は3月23日~26日に開催(さいたまスーパーアリーナ)。

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