友野一希「スケートときどきサウナ」⑲アイスショーのちSAUNAS

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ストレスがなく、ありのままの自分でいられる

――1回目はWOODSとのこと。どんな順番でサウナに入られたのですか?

「上(3F)から攻めようと思ってメーンサウナ室TUULI(トゥーリ)から入ったんですけど、まずシャワーを浴びるところから施設のメッセージを感じましたね。限られたスペースなので数が少ないというのもあるとは思いますが、“さっさとシャワーを浴びてサウナへ行きなさい”という。ああ、ここは集中してサウナを楽しむところなんだ……と、その時点で覚悟が決まりました」

――お風呂がある、誰もが楽しめる温浴施設も楽しいですが、サウナに集中するためだけの施設もいいですよね。

「温度計も砂時計もない、サウナと向き合える空間であるところも僕は好きでした。タナカカツキ先生がプロデュースされているだけに、誰でも気軽に入れるサウナでありながら、ちょっと上級者の目線も入っているのかなと思いました。上の階には、ほかに茶室をイメージしたTEETÄ(テータ)、ウィスキングもできるKELO(ケロ)があって。下(2F)は下でHARMAA(ハルマー)、VIHTA(ヴィヒタ)という瞑想の空間で、どれもこだわりを感じるサウナ室でした。

で、上の階は3つのサウナ室が外気浴スペースを取り囲んでいて。スペースは限られているのに広く感じる作りにも感心しました。また、ここの木製のデッキがいいんですよ~。
階段状になった長イスなので寝転んだりもできるんです」

――イスがズラリと並ぶ外気浴スペースとは違った開放感がたまりません。

「イスが並んでいるのも、それはそれでいいんですけど、みんなが同じ方向を向いてイスに座ってる……って、よくよく見ればシュールで(笑)、現実に引き戻されることがあるじゃないですか? でも『SAUNAS』は決められた場所ではなく、各々が自由な姿勢でととのえる。フィンランドのサウナの写真で見るような開放感がありました。

デッキのそこかしこに植えられた植物もいい感じで、サウナってやっぱり開放的で、自然と一体になってこそのものなんだな~と改めて思いましたね。ストレスがなく、“ありのままの自分でいていいんだよ”という施設の思いが感じられました」

思う存分、セルフロウリュが楽しめるなんて!

――個々のサウナ室の様子を教えてください。

「メインのTUULIは、体感で90度ちょいかな? 入ったそばから、ああ好き……という温度、湿度でした。壁の厚みとか素材を僕が気にするのって、熱と湿度がちょうどいい感じで保たれているかどうかに関係するんですけど、高級なことが見た目から分かるブ厚い木材が使用されていることで、そのバランスも最高でした。

あと何がいいって、デッカイ、ストーブとセルフロウリュ用のバカデカイ、バケツ! 日本のサウナ施設だとセルフロウリュをする時にかける量を気にしちゃうところを、“どうぞ存分にかけてください!”っていう(笑)、その振り切った感じもよかったです」

――そして次に向かったのが……?

「同じく3FにあるTEETÄですね。一瞬“倉庫かな……?”って不安になるくらい分かりにくい扉なんですけど、その時点で“なんかいい!”って直感しました。実際、入ったら“ですよね~”って(笑)。円柱のストーブを囲む円形の座面は、まさに茶室のようでしたし、お茶(クロモジ茶)のアロマロウリュがいい! ここもロウリュ用のバケツは水でパンパンだし、巡回するスタッフさんの目も行き届いているので、水切れの心配もない。とんでもなく居心地がいい上に、ぜいたくな時間を味わうことができました」

――樹齢数百年の希少なフィンランドパインをふんだんに使ったサウナ室KELOは?

「こちらも古木の素材感がよくて、しっかりセルフロウリュをさせてもらいました。収容人数は4人と小さめなんですけど、一緒に行った友人も『KEROサウナ、めっちゃいいな~』って気に入っていました。『オートロウリュのメインサウナもいいけど、やっぱセルフロウリュできるところがいいかな』というのが“サウナ好みあるある”だと思うんですけど、3Fの3つともセルフロウリュができて、なおかつ個性が違うサウナが揃っているところも『SAUNAS』のすごさです」

結果、2時間半で5セットを堪能しました……

――――水風呂はどうでしたか? 3Fの「SYVÄ(シヴァ)」は関東最深級160㎝の深さ。2Fの屋内には、寝れる水風呂「MATALA(マタラ)」があります。

「3つのサウナの扉を開けてすぐのところにSYVÄがあって、これがまた最高でした! 僕の身長で肩から上が出るくらいの深さがあって、水温は15度くらいかな。ちょっとピリピリする、サクッと入る冷たさの水風呂で、シャワーと同じく“バシャンと入って、ハイ、ととのいなさい!”というメッセージを感じました。サウナを楽しむことに特化した、その潔さがいいな~と。

寝ながら入れるMATALAも珍しいですし、後頭部や首が冷やせるところもありがたいなと思いました。こちらの水温も15度くらいでしたね」

――そして2Fに。瞑想の空間HARMAAとVIHTAは?

「グレー一色の落ち着くHARMAAは、サウナ以外の余分なものが取り除かれたシンプルさが心地よかったです。半個室タイプのVIHTAは文字通り、天井からビッシリと吊るされたヴィヒタの香りを存分に楽しめました。こちら2つもセルフロウリュができるところもうれしいポイントで。3Fが開放的なのであれば、2Fはよりサウナに集中できるサウナ室が2つ。3F、2Fとも色、匂い、手触り……5つのサウナ室すべてが五感を刺激するところもすばらしい。

結果、2時間半の時間内に5セット入って、初の『SAUNAS』満喫しました。お世辞ではなく、全サウナーに向けた、サウナを楽しむための、久しぶりに大、大、大満足のサウナ施設。何度も言いますが、あの限られたスペースにこれだけ詰め込んで、なおかつ隅々まで高いクオリティーを保った施設をプロデュースされたタナカカツキ先生、すげえって感動しました。

帰り道の桜並木がよりきれいに見えましたし、人でゴチャゴチャしていて歩きづらかったんですけど、“こっちは、めちゃくちゃいいサウナに入ったんだぞ”って、やさしい気持ちになれました(笑)。体も心もリラックスして癒される。これもサウナのよさだと思います」

興奮冷めやらぬ中、数日後には居ても立っても居られず、東エリアのLAMPI(ランピ)へ。「フィギュアスケートの演技にも通じる」(友野さん)と語る驚きのアウフグース体験の模様は、また次回。友野さんのあふれ出るサウナ愛が止まりません!

【友野一希(ともの・かずき)】
1998年5月15日生まれ。大阪府出身。
4歳よりスケートを始め、ジュニア時代から表現力の豊かさには高い評価が。見ていて楽しくなるその演技で“氷上のエンターテイナー”“浪速のエンターテイナー”と称されることも。来シーズンもさらなる高みを目指し、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピック出場を決めたいと意気込む。上野芝スケートクラブ所属。

お話にでてきた施設

渋谷SAUNAS

■住所:東京都渋谷区桜丘町18-9
■営業時間:前8:00~深0:00 休=不定
■料金:入場料150分へいじる=3,080円 土日祝・特定日=3,850円、朝割(平日80分)=1,980円、夜割(平日60分)=1,980円、延長:1時間+880円、2時間+1,760円、3時間+2,420円、フリー延長+3,080円
※18歳未満入館不可 
その他くわしくは公式HP(https://saunas-saunas.com/guide)をご確認ください。

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