Ciao! ミラノ在住の木村です。
根っからのサウナっ子で日本では毎日のようにサウナに通っていた私が、今度はイタリア国内や欧州各地のサウナと外気浴(かぜ)を求めて、月に1度欧州のサウナリポートをお届けしております。
今回はイタリア国内の温浴施設(テルメ)を求め、エミリア・ロマーニャ州のパルマ県へ行ってまいりましたので、その模様をお伝えしたいと思います。(前回のリポート #6 スウェーデン・ストックホルム編はこちらから)
美食の町・パルマ
目的地のパルマ県は、普段私が住んでいるミラノの南東方向の郊外にあります。パルマといえば、欧州サッカーファンにはお馴染みのクラブチーム「パルマFC」でその名前を記憶されている方も多いのではないのでしょうか。また、このあたりは高品質の生ハムやイタリアチーズの王様とも言われている「パルミジャーノ・レッジャーノ」(パルマとレッジョで作られるチーズという意味)で名を馳せる“美食の町“として知られる場所です。
訪問するにあたって事前にパルマ近郊に良いテルメがたくさんあると聞いていたのですが、いざ調査してみるとここ2年で閉じた施設があるなど最新の情報収集に苦労し、やっとのことで、今回の「T-Spatium」を見つけることができました。
山あいのテルメ「T-Spatium」
T-Spatiumはパルマ県のTabiano Terme(タビアーノ テルメ)というComune(コムーネ)にある温浴施設です。ミラノ中心部からだと車で約1時間30分、公共交通機関(電車・バス)を乗り継いで約2時間30分ほどの緑豊かな山あいに位置しています。
パルマ南西の丘に位置するタビアーノは、主に温泉で知られた土地で、1842年にオーストリアのマリア・ルイジア公爵夫人がこの町に本格的なスパセンターをはじめて設立した歴史ある温泉地。はじめて行く町の温浴施設に飛び込みで行くのが少し不安だったため、事前に施設予約をして訪問。平日の14:30から4時間の滞在で、サウナを含むアクアスパエリア入場料金が40ユーロ(約6,200円)でした。
余談ですが、昨今の円安事情で、ユーロを日本円換算するとなかなかの金額。日本からの留学生にはなかなか応えますね(苦笑)。
詳細は公式サイトから。
*コムーネ(イタリア語で共同体の意味)はイタリアの地方自治体を指し、日本でいう市町村にあたる
受付で支払いを済ませると、レンタルのバスタオル・バスローブ・サンダルを受け取り、スタッフが同行のうえ、アクアスパエリアを紹介してくれました。各設備概要は以下の通り。
多様なサウナ
フィンランド式サウナ。温度は60〜100℃。じっとり汗が出てくるし、体感としては高め。またセルフロウリュが可能なのも嬉しいポイント。
そのほか、バイオサウナと呼ばれる中温サウナ(温度60℃以下、湿度は50〜60%以下)や大理石の上に座るトルコ式風呂(温度48℃以下、湿度100%)なども充実。また、サウナで一汗かいたあとクールダウンできるジャグジー風呂や屋内プール(32〜35℃の硫黄水を使用)、おしゃれな休憩イスも充実。はじめ4時間は長いかな、と思ったのですが、あっという間に時間が過ぎます。
個人的にうれしかったのが、フルーツの食べ放題サービス。りんご、オレンジ、キウイ、洋梨などイタリアの美味しい果物を好きなだけ食べることができます。
こちらのテルメ、さらに特徴的なのがTHERMAE ROMANE(ローマ式風呂)ゾーンがあること。イタリアっぽいですね。
別料金(一人1時間16ユーロで、最大4人までの利用)となりますが、テピダリウム、カルダリウム、ラコニウムが使用可能です。それぞれの役割は大きく以下の通り。
・テピダリウム…ぬるま湯浴室。入浴前の準備部屋
・カルダリウム…高温浴室(高温多湿部屋。イメージとしてはスチームサウナ)
・ラコニクム…高温浴室(乾燥サウナ)
恥ずかしながらイタリアに住んでいる私も初めて聞く単語ばかりでしたが、感覚的には日本の温浴施設でたまに見かける以下の写真のようなイメージ。日本の温浴施設もローマ式風呂の影響を受けている部分がありそうですね。もう少し調査せねばと感じました。
そのほか、スパ以外にもマッサージなどのメニューも充実。場所としてもミラノからちょうど良い距離なので、また時期を見て何かのご褒美として訪問したいと思います。
今回は平日に訪れたため、あまり利用者がおらずゆっくりと滞在できましたが、これから夏に向けてのシーズンや土日は混雑するそう。ミラノ近郊の自然豊かな環境でここまでゆっくりできるテルメもなかなかありませんので、ミラノや北イタリア界隈に住む日本人の方達にもオススメしたい温浴施設です。
6月に入って、イタリアは本当に過ごしやすい季節となってきました。日差しは強くなってきたけど、そこまで暑すぎず、ヨーロッパの人たちが夏を心待ちにしている気持ちがなんとなくわかってきた気がします。イタリアのテルメは郊外にも多いので、自然を楽しみながらもっと開拓していきます。
あとがき
テルメで汗を流した後には、パルマ中心部に戻り塩分補給のためにお肉の盛り合わせを。生ハムにも多くの種類があり、上記はラルド、プロシュート、クラテッロとサラミの盛り合わせ。特にクラテッロはパルマが誇る生ハムで最高に美味しいので、この土地のテルメに訪れた際にはサウナ飯としてぜひこれらも食べてみてください!
【木村 光留(きむら・みつる)】
ミラノ工科大学の戦略デザイン修士課程で学ぶ大学院生。14年働いたCS放送局を退職して渡欧。サウナが好きすぎてサウナ番組を作ったこともあり。お気に入りは、出身地・静岡県にある「サウナしきじ」。(twitter:@buraraorange)