
モイ~。
本日も祖師ヶ谷大蔵駅前にあるマイホームサウナ「自問自答」のととのいチェアに横たわりながらこの原稿をスマホでポチポチ書いています。
早いもので2025年ももう終わろうとしています。今年はプライベートに留まらず、仕事出張先やそもそも仕事としてたくさんのサウナ施設へ行きました。行ったサウナ施設を思い出すと、その時の季節「寒かった」「暑かった」だけでなく、その時の自分が悩んでいたことや心配事、逆に仕事がうまくいって明るい気持ちだった等「精神面」の状況も合わせて思い出します。日記を付けていなくとも、サウナがその時その時の自分の心持ちの「しおり」の役割を果たしており、サウナ施設を思い出すことで、今年一年の自分の気持ちの浮き沈み、喜怒哀楽もセットで思い出すわけです。そして「あ~今年1年もたくさんのサウナとたくさんの出来事があったなぁ」と、しみじみ感慨深く年の瀬を噛みしめることができます。
これと似た現象として、自分の過去を振り返る時「その当時に聴いていた”曲”」って今聞いてもその当時の記憶が蘇る、ってありません? 例えば、僕ならばもう四半世紀前になる2000年シドニーオリンピックにフロンターレの男性スタッフ井川、谷田部と3人で五輪日本代表応援へ行ったんですよ。移動はレンタカーだったんですが、当時流行していた曲を僕が、カセットテープに録音して持参し車内に流していました(※40代オーバーじゃないともうカセットテープって知らないでしょうね笑)。ただオーストラリアは、予想以上に広くて、予選リーグ全3戦の試合会場がシドニーから全て遠く離れていたため、移動中はずーーーーーっとそのテープから流れる曲を聴くわけです。しかもそのテープが「60分」だったため、10曲くらいしか入っておらず、曲の好き嫌いに関わらず、60分に1回同じ曲を聴かなければいけない。SMAP「ライオンハート」、ホワイトベリー「夏祭り」、慎吾ママ「おはロック」等、今でもその時にテープに入っていた曲を聴くと、その時車窓から見た海や気温、休憩で食べたマクドナルド、楽しい観戦旅行なはずなのにインフルエンザにかかり高熱でずっと後部座席で「ウ~ン」と唸っていた運のない井川の姿、五輪代表選手の排出など、まだまだ夜明け前だったフロンターレを絶対これから大人気クラブにしてやるぞ、と燃えていた気持ちなど鮮明に思い出します。当時よく聴いた「曲」もサウナと同じ「人生のしおり」的な役割がありますよね。
人生の「しおり」になる「サウナ」と「曲」。僕はこの2つの「しおり」をマイホームサウナ「自問自答」では、意図的に「同時」に味わうようにしています。だいぶ前の号にも記しましたが、自問自答の個室サウナでは、サウナ室の外にMYスマホを繋ぐプラグがあり、個室サウナの中で自分の好きな曲を聴くことができます。銭湯サウナでは、グルシンの水風呂で有名な世田谷区三軒茶屋の「駒の湯」のようにサウナ室に有線を流しているところもありますが(駒の湯は演歌チャンネル笑)、流れてくる曲はアットランダムなのでその時の自分の心持ちに曲がリンクすることはありません。
僕が自問自答で自分の体と頭を使った「人体実験」として行っているのが、「1年間、サウナ室内に流す曲は同じ1曲のみ」という試みです。2025年を振り返る時に、自問自答サウナに入って同じ曲を聴きまくると、ダブル効果でよりその年の心持ちが思い出せるようになるか、という実験です。
ちなみに2025年の1曲として僕がこの1年間ずっと聴いている曲は「REALITY」って曲です。日本語の曲名は「愛のファンタジー」でもう40年くらい前のフランス映画「ラ・ブーム」の主題歌ですね。日本でも大ヒットした映画で、50代の人なら結構耳にしたことのある曲だと思います。最近、この曲をDEENというそれこそ平成の時代に人気バンドとして一世を風靡したグループがコピーしていることを知り、今年はDEENが歌うこの曲だけをサウナ室内で聴いています。
まっ、現段階で今回の実験結果が分かるわけではなく、この先この「REALITY」を聴いた時にサウナ室で汗をポタポタ垂らしながら考えていたこと、苦しかったこと、楽しかったこと等、2025年の気持ちを「2つのしおり」効果でより思い出すか。また結果報告したいと思います!
いつも通りイントロダクションが長くなりましたが苦笑、今号でレポートするのは国立競技場前、都立明治公園内に昨春OPENしたサウナ施設「TOTOPA 都立明治公園店(以下、TOTOPA)」についてです。今年行ったサウナ施設の中で一番のお気に入り「アマノサウナOF THE YEAR」の施設になります。

ラフォーレ原宿の荒川社長からのお誘いで初体験
「公園内にサウナ施設ができるらしい」というニュースは数年前に情報入手していましたが、どこの公園でどんなサウナ施設なのかは興味はありつつ、そのままの状態だったんですね。そんな折、僕が川崎フロンターレ時代から仲良くさせてもらっているラフォーレ原宿の荒川社長から「明治公園の中にあるサウナ、TOTOPAの招待券をもらったんだけど一緒に行かない?」とお誘い頂きました。荒川さんはこのサウナブロスの連載※2024年1月24の回にも登場していますが、シニアサッカープレーヤーとして今もボールを蹴り続けているサッカー大好きなお方。荒川さんとはボールを蹴りあうサッカー仲間というより人生の先輩として色々相談したり、荒川さんが持つ人脈、ネットワークから僕の幅が広がりそうな方を紹介してくれる、アニキ的な存在です。
荒川さんからTOTOPAのお誘いを受けて「あっ、ここがあの公園内にできたというサウナね」と初めて繋がりました。そして食い気味に「行きます、行きます! 行かせてくださーい!」と返答しました(笑)。
TOTOPAは都立明治公園という東京2020オリンピックを契機に整備された国立競技場の目の前にある公園内にありますが、遊具とか池とか柵とかで、覆われたスペースにあるわけではないので、公園というより「広場」前のサウナ施設といった感じですかね。ただサウナ施設の1階にはおしゃれなカフェが入り、サウナ利用の有無に関わらず利用可能となっています。とても都会的でハイセンス。3年前に行ったフィンランド・ヘルシンキのサウナ「UUSI(ウーシ)サウナ」を思い出しました(※1階にレストランが併設されていてサウナ利用者ではなくてもレストラン利用が可)。
建物2~3階がTOTOPAサウナ施設となっており、2階が女性、3階が男性スペースとなっています。男性専用のサウナ施設が多い中、銭湯サウナやスーパー銭湯以外で男女両方のサウナを設けているのって何気に多くないですよね。サウナ施設経営者に「女性のサウナ利用割合は男性と比べると3:7または2:8くらい。女性は熱いサウナよりも低温である程度長くゆっくり汗がかけてデトックス効果のある岩盤浴の需要が高いらしく、女性サウナを併設するのは経営的に運用が難しい」と聞いたことがあります。そんな中、TOTOPAは男女なので、国立競技場前という超超都会のど真ん中のサウナだと需要が変わってくるということですかね。
男性スペースの3階に上がると清潔&おしゃれな受付前に、ランニングシューズの貸し出しとランナーのためのロッカースペースが。機能としてランニングステーションも兼ねているのね。国立競技場まわりはジョギングしている人多いですもんね。ジョギングで汗かいた後に、そのまますぐサウナでまた汗かいて温冷交代浴できるって、天国じゃん!
今回は荒川さんが頂いた紙の招待券での入場でしたが、本来は事前にLINEからTOTOPA会員登録をして、退場時に精算する感じです。料金は1時間単位になっており「1時間2,178円」「2時間3,278円」「3時間4,378円」と少しお高め。でもこの後、この金額でも納得のサウナと驚愕付帯サービス&システムがありました。





こりゃ料金お高くても若者来るわ、のシステム①
ロビーを抜けて脱衣所であることに気が付き、驚きました。それは、施設利用者に10~20代の学生風若者が多く、サラリーマンの利用者がないことです。普通、この料金設定だと学生はなかなか利用を控えますよね。でも、少しお高くても若者が集まっている。この日、サウナ施設内の最高齢は荒川さん、続いて僕、アマノなのは間違いありませんでした。
ただ、料金がいくらか高くても若者が利用する理由がこの後、徐々に判明していきます。
まず、脱衣して浴場に入る前室的なスペースに「ドリンクコーナー」が設置されています。サウナ施設といえば冷水器があるのは当たり前ですよね。冷水器以外から水分補給するには自分で麦茶やポカリ、イオンウオーター等のペットボトルを持ち込み、もしくはフロントで購入、みたいなパターンが一般的です。「サウナ東京」は、施設利用料とは別料金支払って浴場内ドリンクを有料でいただくパターンもあります。しかし、しかし、TOTOPAの場合、このドリンクコーナーの飲物は施設利用」に含まれており、無料。そしてドリンクの種類なんですけど、①レモン水、②ウーロン茶、③デカビタC、④DAKARA、⑤DAKARA炭酸、⑥デカビタCとDAKARAを割った「デKADA」がフリー飲み放題! そして驚愕だったのが、⑦サントリー「オールフリー」ビールのビールサーバーも設置されていてビールも飲めちゃうんですよ(もちろんノンアルですけど)。7種類のドリンクが利用時間内すべて飲み放題というのは、アマノは初だったんですが、サウナ→水風呂→休憩の1ターンの中に「次は何飲もうかなー」という「給水」の楽しみが新たに加わり、これは新感覚でしたね。


こりゃ料金お高くても若者来るわ、のシステム②
給水システムは完璧なTOTOPA。肝心のサウナ室はどうなのかというと、これまたアマノが追い求めていた最高なサウナシステムが! TOTOPAの男性浴室には3つのサウナ室が横一列にあるのですが、向かって右から「低温」「中温」「高温」となっています。
低温サウナは室内の座面に段差がありません。床にクッションが設置されており、赤のライトが異空間にいざなう感じ。地球核のマントル内にいるような…(もちろん行ったことないけど)。低温ですが一定間隔でオートロウリュされて湿度もあるのである程度長く入りながら体への負担なく汗をかけて、良き良き。
向かって左側にある高温サウナは低温サウナと打って変わって「青」のライト。スターウォーズに出てくる、ビームサーベルのような青色発光するライトが壁面に設置されており、こちらは未来空間のような感じですね。SFの世界にサウナが登場するとしたら、こんなサウナ室なんではなかろうか。座面は2段あり、上段はしっかり熱いです。サウナって「体」で熱を感じて、施設によってはBGMを流して「聴覚」からも刺激を与えますが、TOTOPAの低温、高温サウナは「視覚」からも脳を刺激してきます。一般的に「赤」は熱いイメージ、「青」は冷たいイメージじゃないですか。それなのにTOTOPAでは低温が「赤」、高温が「青」なのも興味深い。熱い「青」空間って、なんか熱さが「キリッ」としてる感じがします。青色空間にいることで、脳を誤認識させているんですかね。
そしてそして「こんなサウナ室あったらいいな」とアマノがずっと思っていたサウナ室が中央の「中温」サウナ室にありました。ここ、「おしゃべりOK」なんです。多くのサウナ施設では「黙浴」を推奨され、少しでも会話しているとまわりから嫌な顔をされる(もしくは嫌な思いをさせているんではないかと気を遣う)。裸の付き合いでせっかく仲良くなりたい人とサウナ交流しようと思っても、サウナ室内では話せず、逆に気まずい空気感に襲われる。自分と向き合い、瞑想のような、僧侶のような静かな空間サウナがあってもいいですけど、それ1種類ではなく、3年前にフィンランドの公衆サウナで体験した「知らない者同士でもワイワイガヤガヤ」コミュニケーションが取れるサウナがあっても良いのに! ってずっとずっと思ってました。
このサウナ室内で、荒川さんと色んな話ができました。まわりに気を遣うことなく、お互い裸で話をしているとやはり相手との距離は縮まりますよね。「吊り橋効果」ってあるじゃないですか。高所や恐怖体験の緊張が、行動をともにしている相手への恋愛感情を生み出すという効果。僕はこれに似てるような効果が、このサウナ室にあると思うんですよ。日常ではありえない、「熱い」中、「裸」で「汗」をかき、「会話」をするという共通体験は、相手との精神的距離を縮める効果があるって。荒川さんへの恋愛感情は生まれませんけど(笑)。
しかも、このトークOKなサウナ室、よく考えられてるなぁと思ったのが、スタイリッシュなデザインなのに、室内BGMは、少し古いJポップ曲を流しているんですよ。これにより室内の雰囲気が柔らかくなり、互いがしゃべりやすくなる、他の利用者がしゃべっていても気にならない「新橋の居酒屋」のような空間づくりをしているんですよ。これ設定した人、本当に空間づくり良く分かってるわ。僕のイベントづくりでもそうなんですけど、企画も内容も準備した設備、ツール、アイテムが良くてもイベント会場の雰囲気を生み出す「音」が超重要なんですよね。BGMだったりスタッフのマイクパフォーマンスだったり。TOTOPAは、立地も施設もおしゃれで洗練されている。その世界観を壊すことなく、少し古いJポップという柔軟剤をうまく混ぜ込んで、トークOKな空間を成立させているのには唸りましたね。




フィンランドリーグ現役サッカー選手・田中亜土夢くんを連れて行った
TOTOPAは3つのサウナ室以外も、温度と深さの違う2種類の水風呂に加え、今、サウナ施設を席巻している寝心地抜群! 「ブレインスリープ」設置の休憩スペース等、すべてが今年訪れたサウナ施設の中で群を抜いてよかったです。荒川さん、僕を誘ってくれてホント感謝、感謝。
あまりにもTOTOPAが良すぎて、荒川さんと行った後、一カ月以内に2回も人を連れて行っちゃいましたからね(笑)。その内の一人がフィンランドリーグ現役サッカー選手の田中亜土夢くん。僕がフィンランドへ行った時、空港まで迎えに来てくれて、フィンランドのサウナ施設を色々案内してくれた、まさに僕のサウナ師匠です。フィンランドリーグは、現在シーズンオフで、オフ期間を利用して久々日本に帰国していました。3年ぶりの再会だったのですが、やはり亜土夢くんとは一緒にサウナ行きたいなーと考え、迷わずTOTOPAに誘いました。その日の夜に会食があるということで、夕方から行ったのですが、TOTOPAのトークOKなサウナ室のおかげで募る話をたくさんできました。時間としては、3時間くらいしか一緒にいられなかったけど、それを補う濃度をTOTOPAで持つことができましたね。亜土夢くんも「今まで日本になかったタイプの施設。TOTOPAいいですね!」と絶賛してました。
男女一緒には入れないため男性だけに限られてしまいますが、今後もアマノは交流を深めたい人をTOTOPAに誘いまくることでしょう(笑)。「アマノサウナOF THE YEAR」獲得のTOTOPA、行かれたことない方、ぜひ行ってみてください~!
それではモイモイ~!





天野春果(あまのはるか)
東京都出身。1993年からワシントン大学でスポーツマネジメントを学ぶ。帰国後は富士通川崎フットボール(現川崎フロンターレ)に就職。以降、”J最強企画屋”としてサポーターに愛されてきた。27年間勤めた川崎フロンターレを退社後、新会社Two Wheel Sports(略してTWS)を設立。代表取締役社長に就任した。
※天野春果連載「企画屋アマノ〜アイデアのととのえ方〜」はこちらから
自問自答 祖師ヶ谷大蔵店
■住所:東京都世田谷区祖師谷3丁目32−14 YAMATOYA BLD 1F
■営業時間:24時間営業
※男性専用、会員制のサウナ施設
※その他詳細は公式HP(https://www.jimonjitou.jp/join/)から
TOTOPA 都立明治公園店
■住所:東京都新宿区霞ヶ丘町5-7 都立明治公園内A棟2階3階
※その他の情報は公式Instagram(@totopatokyo)と公式HPをご確認ください
SAUNA BROS.ではオープン時に取材をさせていただきました! 合わせてお読みください→①、②、③








