千葉ロッテマリーンズ選手連載㉘高野脩汰/ストイックなサウナ術

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心身の状態に合わせて、セット数も調整。ととのい過ぎには要注意!?

――その水風呂から出たあとの、あの外気浴スペースも最高なんですよね。

「本当にその通りだと思います。自分はサウナ室で汗をかくことも好きですし、水風呂ももちろん爽快で気持ちよく楽しめるんですけど、サウナにいるときって、外気浴というか、休憩をいちばん快適にとりたいと思ってるんですね。
その点でも、『神戸サウナ』のあの休憩エリアの感じはすごく良かったです。“ふわぁっ”となって、いつの間にか無になれるので、本当にリフレッシュできるんですよね。あと、ウォーターサーバーが、サウナ室から出て水風呂や外気浴のエリアにくる手前の、本当にちょうどいいところにあるのも、めちゃくちゃいいなって」

ーー分かります(笑)。本当に、まさにあの場所がベスト。考え抜いてくれてるのがありがたいですよね。

「はい。そう思います」

――先ほど「2セットくらい」と言われましたが、それはシーズン中だからですか?

「そうですね。3セット以上とかしてしまうと、ちょっと我を忘れてしまうというか(笑)。シーズン中はやっぱり試合が一番なので、あまりしっかりととのい過ぎないように、ちょっと気を付けてはいますね。
むしろ、2セットと言っても『軽めの2セット』みたいな感じが多いくらいです」

――どっぷり楽しむというよりは、あくまでもリフレッシュというか、心身をいいコンディションにチューニングする、みたいな意味合いの方が強い感じなんですね。

「どちらかと言えばそうかもしれないです。そもそも毎日行くとかっていうことはなくて、登板がない日に、体の治療というかメンテナンスに行って、さらにサウナにも行ってととのえる、みたいな感じが多いというか。
だから、“身体がめちゃくちゃ疲れてるな”みたいに感じてしまうときには、本当に1セットだけ行くなんていうこともあります」

――アスリート、プロ選手にとって、コンディションのキープってやはり重要ですよね。

「まぁ、あくまでも自分の感覚で「行くかどうか」「どのくらい入るか」とかを決めてるだけですけど。本当にいつ声がかかってもいいように同じ状態を維持していたいので、そういう意味でも、サウナは本当にありがたい場所です」

――素人がこんなことを言うのも失礼ですが、個人的に高野さんは日本一ダイナミックな投球フォームだと思っていて、体への負担もすごくありそうな気がします。疲労が溜まる場所とかも、他の投手と異なっていそうだな、とか。

「どうでしょうか。でもまぁ、日本一かは分かりませんが、フォームは特徴的という自覚はあります(笑)。どこが疲れるっていうのも、肩や肘とか、そんなに他の人とは変わらないと思いますけど……あえて言えば、腰がいちばん疲れるかもしれません」

’25シーズンの私的ベストゲーム。そのマウンドで得た自信と経験

――それを毎日解消するというか、いい状態に保つんですね。

「結果としては、毎日投げるわけではもちろんないですけどね……。ただ、その日に投げる可能性は、常にあるというのも事実なので(笑)、常にいい感じに準備しておきたいとは強く思ってます」

――常に準備か……。繰り返しになってしまいますが、高野さんの場合は、いろいろなシチュエーションでの登板機会があるじゃないですか。試合終盤もあれば、比較的、早いイニングも。

「はい。自分の場合はどこで投げるかは本当にその日次第だったりもするので、ずっと“いつ投げてもいい”という気持ちで臨んでました。だから、試合開始直後から、とりあえずブルペンには控えておくようにもしていましたし」

――体や肩だけでなく、メンタル=気持ちもそのときに応じて常につくれるというのが、かなり大変な気がします。ちなみに’25年シーズンで最も印象に残っている試合って、どのゲームになりますか?

「どの試合も同じくらい緊張してますし、全力で投げてきたんですけど……やっぱり4月に本当に緊急登板した試合がめちゃくちゃ印象的ですね。(石川)柊太さんの後に投げたんですけど、さすがにあの日はヤバかったです」

――4月3日のバファローズ戦ですね。2回に石川柊太投手の危険球退場を受けて、1死満塁という状況でマウンドに。

「あの試合は本当にノーアップの状態で行ったんですけど、なんとかピンチを切り抜けて、そこからさらに3イニングを抑えることができて。今までに経験したことのない状況だったので、自分としては無失点で帰って来られたのはかなりの自信になりました」

――あのときは、アドレナリンみたいなものも出まくったんじゃないですか?

「どちらかと言えば“無”だったような気はします。何しろ、緊張する間もなく、気付いたらマウンドに立っていてという感じだったので、まったくと言っていいほど何も考えず、ただひたすら(打者に向かって)行きましたね」

――では、試合後には充実感もすごかったのでは?

「直後に(登録)抹消になったこともあって、けっして明るい気持ちではなかったですけど(笑)、やり切った感はめちゃくちゃありましたね。自分にとって、かなり大きな経験になったと思います。
あの日もたしか、よく行くサウナに行った記憶があります。かなり球数を投げたこともあって、たぶん数日間はファームでも使われないだろうなと思ったので……その日はかなりじっくり、優雅にサウナで過ごしました(笑)」

1年を通じて、サウナの経験値も……上がりました!

――今季はチーム全体が苦しんだ1年でもあったと思いますが、高野さんの名前がコールされると、球場全体が沸きあがる。そんな試合、場面が本当にたくさんありました。

「どんなときもアツく応援してくださるのは本当に力になりますよね。いろいろな場面で使ってもらえましたけど、そういったファンの皆さんの声援だったり、監督やコーチ、チームみんなの思いにも、全部に全力で応えたいと思って腕を振っていました」

――先ほどコメントにもありましたが、多くの経験と自信も得られて、充実したシーズンになったのでは?

「まさにそうですね。これからも、とにかくチームのために自分が何ができるのかを考えて、与えられたポジション、役割をまっとうしていきたいなと思っています」

――ずっと一軍で活躍されることで、「神戸サウナ」のように、新たに体験した施設も、全国規模で増えたのでは?

「そうですね。遠征の際のメンテナンスの時間も有効に使わせてもらったので」

――最後に、そんな経験値も上がった今、あらためて思う、行ってみたいサウナを一つ挙げていただいてもいいですか?

「もちろんまだまだ行ってみたいところはたくさんあるんですけど……実は最近、埼玉の所沢の方に1〜2年前に出来たっていう施設にちょっと興味がわいてます。CMというか宣伝みたいなのを見たんですけど、サウナ室が6〜7段あったりとか、なんだか規模も設備もスゴそうだなって思って」

――あ、「キング&クイーン」(「温泉バルコニー キング&クイーン」)ですかね。

「そうだと思います。なんとなくベルーナドームに近そうだなとは思ってるんですけど、けっして僕自身が行きやすい場所かというと、絶妙に微妙な場所なのでシーズン中はなかなか行きづらいかもしれないなぁ、とか。そんなコトもあって、ちょっと気になっているというか(笑)。もし今後、近くに行く機会があったら、行ってみたいですよね」

――スケールが大きいですし、「飛び込む水風呂」だったり、さまざまな仕掛けも人気ですよね。

「それだと人も多いんでしょうか。だったら時間帯とかもしっかり考えて行かないとダメですね。できれば優雅に、のんびりと過ごしたいので」

――高野さんが7段のスタジアムサウナから、飛び込む水風呂へダイブしている姿を想像すると、やっぱりちょっと楽しいです。そして……意外と似合ってると思います!

高野 脩汰(たかの・しゅうた)

1998年8月13日生まれ。島根県出身。出雲商、関大から日本通運を経て’22年ドラフト4位で千葉ロッテ入団。真上から左腕を振り下ろす躍動感あふれるフォームから、角度のあるストレートや鋭いフォークで打者と真っ向勝負していくスタイル。’24年シーズンにプロ初勝利を記録。ニックネームは、チェス。

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