なぜこんなに“刺さる”のか?注目サウナ「TOTOPA」の魅力②

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目指したのは、必要としてくれる人に“刺さる”こと

――東京建物は、リラクゼーション施設としては「おふろの王様」を運営されてきましたが、今回「TOTOPA」という、新しい屋号というかブランディングにされたのも、やはり今おっしゃられたような公園全体のテーマに合わせられたんでしょうか。

「そうですね……たしかに東京建物では『おふろの王様』の運営によって、温浴事業についてのノウハウを持ってはいますが、逆に、そのノウハウをすべてに当てはめるべきではないという考えも持っています。今回は、言うなればゼロベースで構築しました」

――と言いますと?

「『おふろの王様』は、ご存じの通り、展開しているエリアのたくさんの方に利用していただいている施設ですが、やはりある程度のフロア面積だったり規模があるからこそ、提供できているサービスではあるんです。

ですが、都心部では、そこまで大きな規模の店舗がつくれないことが多いんですよね。今回のケースも同様です。

とはいえ、リラクゼーション施設のニーズは社会的にもどんどん高まっています」

――はい。サウナやスパのような“息抜き”や“癒し”が得られる場所って、実は都心部というか街の中にあると一番ありがたいものだったりはします。

「そういう意味では、都市型というか、都心型というか……新しい形態のリラクゼーション施設を生み出すというのは、大型の施設を運営してきた側としては“課題”でもあったんです」

――新ブランドの開発は、必然でもあったんですね。

「はい。それですべてを“ゼロベース”で考えていったんです。これまでのように多くの方に来ていただくことが大前提になるのではなく、よりターゲットに合わせ、求められるものを提供するという発想になりました。

もちろん、大切なのは心地良さですから。これまでのノウハウや培ってきたものの中で守るべきものは踏襲しつつ……でも、これまでのサウナにとらわれない、ある種、斬新なスタイルがあってもいいのではないか、と」

――“斬新”という言葉、よく分かります。実際に、男性浴室のフロアは3種のサウナ室がどれも極めて個性的でした。そして女性フロアは、何より“癒し”に特化されているなという印象です。プロデュースを、ととのえ親方が率いるTTNEに依頼されたのも……。

「私たちでももちろんアイデアは練りますが、やはりその道の達人というか、プロと呼べる皆さんにもお願いすることで、さらに幅も広がりますよね。

TTNEさんは、トラディショナルなものを生かしつつも、どこかユニークな施設を次々につくられて来ました。銭湯でも東京・西新井の『堀田湯』さんですとか、旅館のサウナも、大分の『寒の地獄旅館』さんとか。なんていうか、すごく“刺さる”ような施設を。

押さえるべきポイントは押さえ、新しいものもつくり出していける方と、ご一緒できないか、と。館内のアメニティーや女性フロアのコスメ選定などを女優のMEGUMIさんにご相談したのも、もちろん同じ理由です」

唯一無二の心地よさ! 薬草蒸し湯「すちこ」は、こうして誕生した

――まさに男女フロアともに“新しい感覚”というか、突き抜けたものを感じます。先ほど「堀田湯」「寒の地獄旅館」の名が挙がりましたが……女性フロアの「すちこ」こと“蒸し湯”の部屋は、大分・別府温泉にある「鉄輪(かんなわ)むし湯」の蒸気浴をモチーフにされたそうですね。

「はい。『鉄輪むし湯』は、男の私でもものすごく気持ち良くて、何回でも行きたいと思う施設なんですが……女性の人気がすごく高いんですよね。

温泉の熱い蒸気と地熱を利用して、部屋に敷き詰めた石菖(せきしょう)の葉の上に寝るんです。温度じたいは60〜70℃ほどでサウナよりは少しゆるやかですが、湿度がすごくあってしっかりアツい。体を芯までじっくりあたためてくれるんです」

――発汗もすごいですよね。でも、暑くて苦しいなんていうことは、不思議なことにまったくない。

「そうですね。発汗後も肌が乾燥せず、葉からの薬効もあるのか肌がずっと潤っているんです。そして、内臓……とくに腸などをいい状態にあたためるのでデトックス効果も高いそうなんですね。

美容にも良くて、とにかく気持ちいい。人気や評価が高いことも頷ける施設なんですが、『TOTOPA』で、このスペシャルな体験を女性に提供できないか、と考えました」

――やはり先ほどおっしゃられていた “これまでのサウナの概念にとらわれず”に、“ターゲットに求められているもの”をということですね。

「はい。ただ、別府のあの自然環境(※熱い温泉を利用している)があってこそ成立しているものなので、それをこの東京でどう再現するかはやはり簡単ではなくて。(ととのえ)親方に、大いにお力、お知恵をお借りしましたね」

――具体的には?

「床暖房スタイルで、体を横にしている下の部分から熱と蒸気を出しつつ、スチームと熱を発生させる装置を室内の2カ所に設置。それでも、まだ室内全体の温度感が足りないので、ボナストーブを壁の中に仕込もう……と。

この、親方の知見によるトリプルの熱源、蒸気発生法で、単純な温度や湿度だけでなく、あの気持ち良さをまるごと具現化できたと思います」

――一見すると、岩盤浴の部屋のようですが、岩盤浴よりはるかに湿度があってサウナに近い感覚。でもいわゆる中温サウナやスチームサウナともまた少し違うんですよね。まさに“唯一無二”感のある設備だなと感じます。

「そう。サウナとは似ているようで、少し違う。そして、『鉄輪むし湯』同様、かなり入りやすいんです。実は、この『すちこ』が、サウナ未経験の女性がサウナを好きになるきっかけの一つになればいいなという思いもあるんですよね。

いま、サウナブームと言われていて、女性のサウナ好きもかなり増えてはいますが、まだまだ圧倒的にサウナを好きな層って男性の方が多い。『おふろの王様』のサウナ室も、男湯に比べると、女湯はまだまだ余裕があります(笑)。

サウナを少し敬遠していた人でも、蒸気浴や汗をかくことの気持ちよさに目覚めて、そのうちにどんどん強度が上がっていって……いつの間にか女性サウナーになっている。

結果、『おふろの王様』の女性サウナ室も、いつもいっぱいになっている……なんてことにも繋がればいいじゃないですか(笑)?」

――それ、すごくいい循環ですね(笑)。「TOTOPA」の女性フロアでも、脱衣の浴室エリアにセルフロウリュのできる本格的なサウナ室が用意されています。

「はい。もちろん、もともとサウナーだという方にもしっかり満足いただけるサウナ室はきちんと用意しています。ここには香りのいい大きなクスノキの板を壁に貼っていて、普段からいい香りなんですが……この板にも水をかけることができて。そうするとさらにいい香りが室内に満ちます」

――「ウォーリュ」(壁=ウォールへのロウリュ)ですね。その体験も、ほかの施設ではあまりできません。もともと「サウナ女子」の人でも、もっとサウナが好きになりそうなアイデアですよね。

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