東京・品川区の大井町駅。東急大井町線や京浜東北線、りんかい線が乗り入れ、サラリーマンらでにぎわう街の駅出口から徒歩1分という駅チカに8月3日、リニューアルオープンした「泊まれるサウナ屋さん 品川サウナ」。白い外観のビル壁に、温泉マークとサウナの「サ」という赤いロゴ看板が目印だ。リニューアルオープン当日、同施設を訪問して〝最速アップデート〟の理由や狙いを櫻井泰知支配人（以下、櫻井さん）に聞いた。
人気店が開店からすぐ改修工事……何があった!?
「品川サウナ」は、2024年6月24日にグランドオープン！ 1階がシューズロッカーとフロント、精算機、カプセルホテル、2階は、脱衣所と浴室、屋上部分は全フロアが屋上外気浴スペース……ビルがまるごと「品川サウナ」になっている。
開店と同時にサウナ好きの間で人気を呼ぶも実は、7月16日から急きょ2週間強の改修工事でクローズしていた。グランドオープンから、1カ月おかずに休業は、大きな決断だったはず。
櫻井さんは「資材調達に時間がかかったこともあってグランドオープン自体が駆け足になってしまいました。バタバタでオープンしてしまったぶん、出来上がってから実際どうなのかという点を検証する時間が取れませんでした」と話す。いざ開店してみると、納得いかない部分が出てきたという。
プロジェクトとして立ち上げた「品川サウナ」
実は、所属する会社のプロジェクトとして起業したと櫻井さんは明かす。まったくノウハウがないなかで、サウナ店を作りあげるとは！ どこか専門の業者に相談したり、参考にした施設などあったのだろうか？ と率直な疑問をぶつけると……
「まったくなかったですね。うちの会社にプロジェクトチームを立ち上げて、サウナ好きの社員が集まって作り上げました。もともと私も営業担当でしたし」と話す櫻井さん。サウナ業界との接点ゼロからのスタートだったという。
異業種からの参入。苦労したことを聞くと、「それが、今回のリニューアルの決め手だったのでしょうね。実際に作ってみたら『こういうことが問題になるのか』とか『これはちょっと作る前は分からなかったな』ということがあったので。やはり、初めての経験でしたので……」
手探りの状態でオープンしたからこそ、開店直後にリニューアルという〝常識外〟の決断にも迷いがなかったという。
洗い場の水はけを改善
具体的に何を改善したのだろうか……。
大きな改修ポイントは、洗い場の水はけ問題と明かしてくれた。「グランドオープン時は、洗い場にすのこを敷いていました。当初、水の流れが悪く、すのこで〝応急処置〟をしていたのです」（櫻井さん）。排水を良くするため、床タイルをはがし傾斜角度を微妙に変えるような大がかりな工事のため、2週間強の工事期間が必要だったという。水はけは改善され、すのこが外された。
露天風呂は木材をくり抜いて……
「水質も少し改善しなければと感じた」という櫻井さんは、さらに、屋上外気浴の「露天風呂」と浴室の水風呂「リトルマーメイド」「シングル」のオーバーフロー（小さな排水口）の改修に着手。「露天風呂」は、浴槽の縁の木材側面を数か所くり抜いて、水が排出されやすいようにした。意外に気付かれないそうなのだが、目立つところだけがリニューアルポイントではない。快適に過ごせるようと、細かいところまで目が行き届く……それこそが大事なポイント。
また、「リトルマーメイド」のオーバーフローもよく排出されるようにし、「シングル」は水深を深くし、水質問題を改善した。改修前に訪れた客にも気づかれないようなところで、細やかな気配り。
屋上外気浴に扇風機を増設しました
屋上外気浴に扇風機を数台増設したことについては、「少し湿気が気になったので」という櫻井さん。背景には「お客さまからいただいたお声のなかで、自分たちも気になっていた部分があった」と、お客さんと他愛ない会話のなかで気づいた問題点を反映させたのだという。各フロアに常駐するスタッフは、みなフレンドリーで思いを伝えやすい雰囲気なのも改善につながっている。実際、扇風機を増設したおかげで、風の流れが良くなり、酷暑でも快適な空間ができあがった。
お客さまが快適に過ごせるように
さらに、床にも気をつかった。屋上外気浴に敷かれていた芝生を外し、ウッドデッキを出した。
また、サウナ室の床も上げたことも明かし、「以前より、お客さまが快適に過ごせるようになったと思います」（櫻井さん）と胸を張る。
遊び心で浴室棚には「世界の偉人の名前」が！
面白い改修点もある。浴室内で飲み物やタオルを置く棚は当初、ロッカーキーと連動した番号が割り振られていたが、「どうしても間違ってしまうお客さまがいた」（スタッフ）という。そこで、改修を機に「世界の偉人の名前」にした。「きょうはこの偉人の気持ちになってサウナを楽しんでもらいたい！」（櫻井さん）と、リラックスできるようにとの遊び心だ。偉人のセレクトは幅広く、ローマの哲学者から野球選手、プロレスラー・アントニオ猪木まで遊び心がいっぱいだ。
これからも進化しながらサウナの楽しさを提供
「今後も定期的にメンテナンス日を設ける」と話す櫻井さん。
しかし、改修工事中にやってきた客の残念そうな顔も忘れない。「お客さまには不便な思いをさせてしまって申し訳ない気持ちと、とてもありがたいという気持ちでいっぱいでした。また、リニューアル前の営業でも何度もいらっしゃった地元の常連さんもいましたし、その意味では地元の人たちにも感謝しかない」と。リニューアルオープン当日、看板を見た通行人からも好反応で、地元に認知されている品川サウナ。
ユーザーにより良い環境を提供するため、あえてオープン直後に〝最速でバージョンアップ〟したのは正解だったようだ。品川サウナは、これからも進化しながらサウナの楽しさを提供していくつもりだ。
次回は、品川サウナが支持される理由と、店舗コンセプトやこだわりについて迫る。
泊まれるサウナ屋さん 品川サウナ
※男性専用施設
■住所：東京都品川区大井1-6-1
■営業時間：サウナ営業時間＝前5：30〜翌前2：30（サウナ利用の最終受付は翌前1：00）、カプセルホテル＝チェックイン後3：00、チェックアウト翌前10：00
■料金（税込）：サウナ利用［平日］60分＝980円、90分＝1,280円、120分＝1,580円、150分＝1,880円、180分＝2,180円［土日祝］60分＝1,280円、90分＝1,580円、120分＝1,880円、150分＝2,180円、180分＝2,480円
※180分以降、30分延長ごとに＋300円※タオルセット（バスタオル＆フェイスタオル）のレンタル180円
※そのほか詳細、カプセルホテルの予約は公式HP（https://www.shinagawa-sauna.com/）をご確認ください
