設計からこだわった「NiHITARU」人気の秘密を紐解く

東京・江東区の東京メトロ東西線「東陽町駅」4番出口から徒歩1分にあるサウナ施設が、昨年10月にオープンした「sauna&bath NiHITARU(ニヒタル)」。コンパクトにまとめられた「新しい都市型サウナ」として反響を呼んでいる。そこで、代表・水上瞳さんに「NiHITARU」のこだわりを聞きつつ施設の魅力を探った。<全3回>

目次

オシャレな外観! ここ男性専用サウナだよね?

まずは、施設外観から。どこかの美容サロンかと思うようなオシャレな外観で、男性専用サウナであることに驚いたのが第一印象だ。施設内でも同様で、アメニティーなど細かいところまで来場者への配慮が行き届いている。月2回、レディースデーを設定しているという水上さん。男性にウケがよい施設が女性に支持されないわけがない。

生ビール550円! 良心的ドリンクメニューのワケ

入店するとすぐにあるのは、バーカウンターと下足ロッカー。ロッカー数は28。バーカウンターは「仲間や地域の方々とともに過ごせる空間づくり」を意識したという。オリジナルのサウナハットやタオル、ステッカーなど施設関連グッズも販売されるなか、ひときわ目立ったのが「生ビール550円」という良心的な価格のドリンクメニューだ。

水上さんは「お客様にちょっとでもゆっくりしてもらいたいので、できるだけ価格を抑えて、注文のハードルを下げています」と話す。また、この規模のバーカウンターには珍しく炭酸のサーバーも設置。「本格的なハイボールも提供できます」と。

会社員や荷物多めの来場者にもうれしい「さらに広め」のロッカー

NiHITARUのロッカーはすべて広い(写真参照)。脱衣室には18個の広めのロッカーのほかに、6個のさらに大きめのロッカーが。サラリーマンや荷物多めの来場者にもうれしい作りだ。

ドライヤーが設置された洗面スペースは2台(ドライヤーは計3台設置)。
しずく型の洗面台は、高級ホテルの調度品を思わせ、オシャレさと機能性を満たしている。

浴室のデッドスペースも機能的に活用

扉を開け浴室に。すぐ左手には洗い場が4つ。隣とのスペースも十分にある。気になったのが、浴室全体に“死角”とでもいうようなデッドスペースが何カ所もあること。水上さんは「マンションの構造がWRC造(壁式構造)で、壁が柱になっているので、位置がマンション自体の設計で場所が初めから決まっていました」と、動かせなかったことを説明する。そのうえで、設計の制約を逆手にとったという。

水風呂や浴槽にも「浸(ひた)れる」空間を作っている

たとえば、水風呂は柱の位置の関係でL字型になったが、結果として、一角が他人の目を気にせずひとりになることができる「浸れる」空間が誕生した。また、湯船の奥にある寝湯も、床の一部分に大きめの配管が通り、浴槽に張り出しているという。「それなら、張り出した部分を座れるように設計して、寝湯スペースにしました」(水上さん)。張り出した柱が、他の客の視線から絶妙に顔を見えなくしている。 ほかにも、洗い場側からは内気浴の休憩スペースが見えないようにするなど、設計段階からのこだわりが感じられた。ちなみに、「図面は10回以上修正しました(笑)」と。

サウナ室に12分時計をあえて置かない

さて、お待ちかねのサウナ室。定員は11人。壁やデッキがダークブラウンで統一され落ち着いた雰囲気。大衆店のようなテレビはない。また、12分時計もない。あるのは、温度計と欧州から取り寄せたという砂時計だけだ。「あえて12分時計は置いていない」と語る水上さん。理由を尋ねると「置くと、全員の意識が時計に集中してしまい、時間にこだわるあまり無理してしまう人もいます。それなら、時間を気にしたい人だけ砂時計を回してもらおうと思ったのがひとつ」と答えた。訪れる人に気持ち良くなってもらいたいという思いからだろう。もうひとつの、12分計を導入しない理由は、「単純にデザインがかわいくないのですよ。さんざん探したのですが、かわいい時計がなかったから」と明かした。

インターバルは8分。SAWO製の石柱型ストーブに噴霧されるロウリュ

サウナ室も含め、館内にはヒーリングミュージックが控えめに流れる。1mほど高さがある石柱型ストーブは、本場フィンランドのメーカー「SAWO(サオ)」製。熱源パワーは十二分にあり、「短時間で設定温度に達する」(水上さん)という高スペック。そこに噴霧されるロウリュは約8分に1度。ほとんどの客が1回はロウリュを体感できそうな時間設定で、水上さんは「絶妙なタイミングで“出会い”やすい」と説明する。デッキは上段の幅の約2倍幅が下段にあり、一人ひとりのパーソナルスペースに配慮している。

ネットで称賛されたサウナ室の「勇者席」とは⁉

さらに、ここにもあった! 奥に1人ぶんの死角スペースが。「一番高い位置で、かなり蒸気や熱がこもって体感温度が高くなります。それゆえ『勇者席』とか『王者席』とネットで言われて人気になっています」と話す水上さん。意図して作ったわけではなく偶然の産物だという。

右手の奥、1段椅子があるところが、人気の“勇者席”

実はアウフグースの穴場!? 人気の熱波師が在籍していた!

サウナ室では、不定期にアウフグースサービスも行われ“熱波師”もいる。同店には、3月に行われた、世界を目指すアウフグースマスターたちの熱き戦い「Aufguss Championship Japan 2024(アウフグース・チャンピオンシップ・ジャパン 2024)」の東日本予選・個人の部で1位通過した、「のこのこ窪田」さんがスタッフとして在籍。5月8日から11日にスカイスパYOKOHAMA(神奈川)で開催される日本選手権に出場する。「(のこのこ窪田さんは)引っ張りだこなので、土日はほかの施設に呼ばれて行ってしまいます。逆に平日に窪田の“タオル一本勝負”の風を受けられるので穴場かも。意外と知られていないので」(水上さん)

水風呂の設定温度は14.5℃

チラーを導入している水風呂の設定温度は14.5℃。ゆるく水の流れがあり、竹炭が設置されているのもうれしい。のびのびと足を伸ばせる縦長スペースに、ひとりで浸(ひた)れる一角も。となりの湯船では、季節限定で替わり湯が提供される。

扉を開けると……そこには外気浴スペースもあった!

内気浴のスペースにはデッキチェアが5台。頭上からアメリカ「LASCO」社製の大型ファンが気持ち良い風を作る。また、扉を開けると外気浴スペースもあり、チェアが2台置かれていた。「“街の中にあるサウナあるある”なのですが、外気浴スペースを作ると、他のマンションから視界があるので、とにかく囲わなくてはいけないのです」と説明する水上さん。プライバシーに配慮しつつ冷気の流れにも確保している。

外気浴エリア

次回は水上さんに直撃インタビュー。「NiHITARU」を開業した経緯を聞く。

sauna&bath NiHITARU(ニヒタル)
■住所:東京都江東区東陽4-5-9 1F
■営業時間:平日=後1:30〜11:30、、土曜・祝日=前11:00〜後11:00、日曜=前9:00〜後11:00、水曜日の早朝営業(不定期開催)=前6:30~9:30
■料金:60分=1,500円、90分=1,900円、120分=2,250円、フリータイム=2,500円 タオル付き  延長30分ごとに+550円 早朝営業 45分=900円、60分=1,200円、90分=1,600円(税込)
※貸切サービス 15名まで3時間60,000円(アウフグース付き、曜日・時間帯指定あり、時間外は応相談)
※男性専用施設。毎月2回程度、レディースデーを実施※詳細は公式HP(https://nihitaru.com/)をご確認ください

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