現在発売中の「SAUNA BROS.別冊 SAUNA KIITOS」でご紹介している東京・上野の老舗サウナ「サウナ&カプセルホテル 北欧」。名の知れた施設ではあれど、遠くに住んでいて行ったことがない、もしくはドラマ「サ道」シリーズで北欧を知り、興味を持ったという方は多いはず。

そこで誌面では紹介しきれなかった「北欧」の魅力を、“北欧初心者”の方に向けて掘り下げていきたいと思います。もちろん“北欧ベテラン”の方も、一緒に改めて「北欧」の良さを見て行きましょう。
まずは予約からはじまる北欧訪問!
「北欧」こと、「サウナ&カプセルホテル 北欧」があるのは、東京都台東区、JR上野駅の浅草口から徒歩1分ほどの飲食店や宿泊施設が立ち並ぶエリア。昼夜問わず人通りが多く、賑やかな雰囲気の一角に、特徴的な赤い外壁の建物がそびえ立っています。

コロナ禍以降、12時から23時までは完全予約制となっているので、事前に公式サイトをチェックし、希望の日時の予約を取っておくのをお忘れなく! ……というのが正しいお作法ではありますが、あるとき急に予定がぽっかり空くことがあるのも世の常人の常。そんなときは一度、すぐに電話で希望する時間帯の空き状況を確認することをオススメします。そうすることで、1人や2人くらいであれば、状況次第で入れることもあるようです(支配人の菅剛史氏談)。とはいえ、これはあくまで緊急手段。もちろん事前予約を忘れないでくださいね。
慣れないうちは脱衣のタイミングにご注意



館内に入って受付を済ませ、服を脱いで館内着に着替えたら、ひとつ上のフロアに上がりましょう。脱衣所で館内着を脱げば浴室が待っています。銭湯やスーパー銭湯などの受付→脱衣→浴室という流れに対し、途中に館内着に着替えるという行為が挟まるのがサウナ施設ならでは。慣れないうちは服を脱ぐタイミングがわからないこともありますよね(え? ない?)。前置きが長くなりましたが、さっそく浴室に入ってみましょう。

昼間ということもありますが、まず感じるのは浴室の明るさ。外光が差す浴室は気持ちがいいですね。このあとに待つサウナに期待しながら体を清めたら、サウナ室に向かいましょう。
サウナ好きを待ち構える大小ふたつのサウナ室
第1サウナ室




2024年秋、約17年ぶりに改修された第1サウナ室。リニューアルしたとはいえ、あまり見た目を変えないことを意識したという菅支配人の言葉通り、テレビや温度計の位置などの差異はもちろんあれど、改修前と変わらぬ雰囲気でサウナ好きを迎えてくれます。
サウナ室の室温は100℃超。しっかり熱いうえ、蓄熱性が高い石造りの壁がまた熱さを増してくれます。例に漏れず、着座位置によって熱の伝わり方が異なるので、好みにあった「マイベストポジション in 北欧」を見つけてください。……どこに座ったとしても、滝のように汗をかけるのは間違いないのですが、焼け付くような熱気を感じながら、ぼんやりテレビの音を聞きながら過ごす時間。サウナには何分間入っていないといけない、なんてルールはありません。自らの体と相談し、気持ちよく入っていられるところまでどっしり楽しみましょう。
ちなみにこちらのサウナストーブはフィンランドのSAWO社製のもの。ストーブの上には熱反射板が備わっており、まんべんなく熱を拡散し、サウナ室に広げます。実際に感じる熱さもさることながら、視覚的にも熱を感じるのがこの北欧の第1サウナ室のポイント。うず高く積まれたサウナストーンに加え、背面の赤いタイルに赤っぽい照明が相まって、視覚的にもここの熱さを認識させてくれます。まら、こちらはセルフロウリュが可能かつ、ベテランのサウナ好きが多い施設ですので、ただ黙って入っていても手練れのお客さんたちによる息の合ったロウリュを楽しめるはず。もちろん、自分の手でロウリュする場合は、周囲に声がけしてから行うのがスムーズです。ちなみにテレビが設置されているのはこちらのサウナ室のみ。静かなサウナ室で内なる自分と向き合いたい。そんなサウナ時間を求める方は、お向かいの第2サウナ室へ向かいましょう。
第2サウナ室
つづいて紹介するのは、2023年に誕生した第2サウナ室。奥に長く伸びた、細長い作りがおこもり感を演出しています。


第1サウナ室と比べると狭いものの、定員は7人。テレビがないので、聞こえるのはサウナストーブの稼働音のみ。室内の湿度を調整する水タンクを備えたHelo社製のモデルゆえ、ときおりジュッジュっと水が蒸発する音が聞こえてきます。室温は80℃ほどですが、しっとり蒸されることでしっかり汗をかけるのが特長です。なお、こちらの写真の撮影時(2025年3月)はシルバーのサウナストーブでしたが、現在は同型のブラックに変更されています。ブラックのモデルがどのような佇まいなのかは、ぜひその目でお確かめください。
初心者においては、北欧が予約制であることにハードルの高さを感じる方もいらっしゃると思いますが、逆に考えれば上限を超えて混むことがないということ。万博よろしく(?)、「並ばないサウナ」を実現していると言えます。事実、訪問した際には他のお客さんはいるものの、サウナなり水風呂なり、特に何かで待たされるということはありませんでした。外光が差す熱く広々したサウナ室と、おこもり感があるしっとりサウナ室。北欧訪問の際は、それぞれ個性が際立つふたつのサウナ室を思う存分お楽しみください。
なお、順番は前後しますが、こちらのサウナの入口脇には、ビート板(サウナマット)が置いてあります。両サウナ室に入る前には、忘れずにピックアップしてくださいね。そして注意書きにあるよう、そして諸先輩方がそうしているように、水で流して(洗って)戻すことも忘れずに。

ビート板を清めて元の位置に戻したら、水風呂へと向かいましょう。
何も足さない、何も引かない。そんな水風呂
ビート板の向かい側、第1サウナ室のすぐ隣にあるのが水風呂です。


かけ水をし、青くひたひたと揺れる水面にドボン。水温計は10℃台前半を示していますが、実際の水温はもうすこし高めに感じます。冷たすぎず、じっくり浸かれるちょうどいい水温です。一度に入れるのは5人ほどのサイズでしょうか。何か特筆すべき点があるわけではありませんが、素直に水風呂って気持ちがいいなと思える。そんな水風呂です。
何度も見たあの外気浴スペース
浴室を通り抜けるように奥まで進むと、掃き出し窓のような大きな窓の向こうに、ドラマ「サ道」シリーズで何度も見た外気浴スペースと露天風呂である「トゴールの湯」が目に飛び込んできます。


初めて訪れたときは、心のなかで「サ道のところだ!」と小躍り。「想像していたより広くないんだ」と思った方も多いのでは。テレビから感じていたイメージでは25mプールくらいの感覚だったので。冷静に考えれば、そんなに大きな露天風呂が都心のビルの屋上にあるわけないですよね。

椅子に腰掛けて一息。上野の街の喧騒が遠くから聞こえてくる感じ……たまりません。首都高を行き交う車の音さえちょうどいいBGMです。これぞまさに「北欧」。自然豊かな施設で外気浴しているのとは違った安寧がここにはあります。こちらは日常そのもの、普段の暮らしのなかにぽっかり空いたエアポケットのようなもの。晴れた日中にしか来たことがありませんが、雨天時や夜間はまた違った光景が広がり、違った音がするのだろうと想像するだけでワクワクします。
施設側としても、外気浴こそが北欧の強みであり、ここでどれだけ気持ちがいいと思ってもらえるか、ということに力を入れているそうです。そのためにサウナ室の温度や湿度にはじまり、水風呂、外気浴の流れを意識し、季節に応じてトゴールの湯や水風呂の温度を微調整しているとのこと。老舗施設にありながら、その細やかな努力……。恐れ入ります!

ちなみに、「トゴールの湯」とは新潟県の「栃尾又温泉」付近にて産出される鉱物を用いた入浴設備。こういった泉質や効能が書かれた看板って、ついつい熟読してしまいますよね。
古くて清潔な浴室ほど尊いものはない
しっかり休憩したあとは、改めて浴室内を見ていきます。


トゴールの湯は露天という性質上、外気温に左右されやすいので、屋内の湯船も欠かせません。サウナでリラックスさせた体をジェットバスでさらにほぐし、心まで解き放ってもらいましょう。
浴槽のまわりには休憩用の椅子が配されており、こちらでも休むことができます。冬期でなければ外気浴スペースとのあいだの窓が開け放たれているので、常に外気の流入があり、一般的な内気浴よりも開放感があるように感じるはずです。
それにしても、こちらの浴槽まわりに限ったことではありませんが、細部まで清掃が行き届いているのでとても気持ちがいいです。全国各地に最新のサウナ施設が続々オープンしているいま、お世辞にも新しくはない北欧ではありますが、古くて清潔という点においても特筆すべきサウナであることもお伝えしておきます。
そうしてしっかり心身を休めたら、もう数セット楽しむか、それとも一度、水分補給でもするか。自分の体と相談しながら、せいいっぱい北欧を満喫してください。
入浴後のスキンケアを忘るるべからず


思いのかぎりサウナを楽しんだあとは、スキンケアを入念に行いましょう。「北欧」では備えつけの化粧水や乳液が用意されている(マンダムの「ルシード」でした)ので、適量を使わせてもらってお肌のコンディションを整えてくださいね!
今回は「サウナ&カプセルホテル 北欧」のサウナほか、浴室まわりを見ていきました。次回は休憩スペースやレストランなどその他エリアについてご紹介していきますのでお楽しみに!
サウナ&カプセルホテル 北欧 (※男性専用施設)
■住所:東京都台東区上野7-2-16
■営業時間:24時間営業(4:00~5:00、10:00~12:00は浴室清掃のため入浴不可)
■料金:完全予約制 3時間2000円(土日祝日、祝前日はプラス200円(3時間以降、自動で12時間コースに切替。延長料金一律1000円で、プラス9時間の12時間滞在可能) 早朝サウナ5:00~10:00(予約不要)3時間1600円(土日祝日、祝前日はプラス200円)
※詳細は公式HP(https://www.saunahokuou.com/)をご参照ください。
Photographer / Yamashita Kiyokazu

「SAUNA BROS.別冊 SAUNA KIITOS」
■発売日:2025年3月31日(月)
■定価:1,137円(税込み)
■発行:東京二ュ―ス通信社