北海道釧路市に2023年7月にオープンした「KIELO SAUNA」。目の前に広がる原生林や自然の音を楽しみながら心身ともにリラックスできる唯一無二のロケーション。「“いつも”から少し離れて、自然とサウナをあなたの身近に」をコンセプトに作られたKIELO SAUNAはコンセプト通り、自然豊かな環境には日常とは少し離れた……癒しの空間が待っていました。今回は、そんなKIELO SAUNAの施設の全貌をご紹介します!
釧路空港から約20分。自然に恵まれたサウナ施設が誕生
地元では「道東」と呼ばれる北海道の東側。豊かな自然環境から漁業や酪農業などの第一次産業が盛んで、さらに、屈斜路湖など絶景スポットや特別天然記念物の丹頂(タンチョウ)が生息するなど、観光資源にも恵まれたエリアです。なかでも道東の玄関口となる釧路空港があり、釧路湿原、阿寒の2つの国立公園に接した釧路市には、密かにユニークなサウナ施設が増えている注目スポットです。
今回、訪れたのは道東の自然を満喫しながら楽しめるアウトドアサウナ施設として2023年7月にオープンした「KIELO SAUNA(キエロサウナ)」。サウナ好きであれば一度は聞いたことがある、長野県信濃町にある「The Sauna」支配人の野田クラクションべべーさん(以下、野田さん)が監修したことで、今話題になっているサウナ施設です。
KIELO SAUNAまでは、釧路空港から車で20分ほど。冬はスキー場、夏はサマースポーツやキャンプを楽しむ人たちが訪れるアウトドアフィールド「阿寒ロイヤルバレイ」内にあります。住宅街を抜けて森の方へ入っていくと、木々に囲まれていた中にぽつんとサウナ棟が現れます。偶然、野生のリスが駆け出し木に登っていく姿が見れたほど、豊かな自然に恵まれた場所です。
到着したらまず、受付兼カフェ&バー棟へ向かいます。「KIELO SAUNA」は時間制で、貸切タイプ(定員8名)のプライベートサウナか、1名からでも楽しめる共有型のパブリックサウナを選ぶ完全予約制サウナなので、事前のネット予約をお忘れなく。有料で水着やタオル、サウナポンチョがレンタルできるので、手ぶらで気軽に訪れることができます。
釧路の自然に溶け込んだこだわりのサウナ
KIELO SAUNAはThe Saunaの支配に野田クラクションべべーさんが監修。その、長年培ってきたサウナの知識やインスピレーションが詰まっているKIELO SAUNAは見どころ満載です。まず、入り口から屋根まで、たくさんの植栽が印象的な平屋建てのサウナ棟。サウナの他にも更衣室やシャワー、トイレが全て一体型になっています。野田さんが初めて視察に訪れた際、手付かずの森と池の景色を見て、北欧エストニアにあるサウナ小屋「Mooska suitsusaunatalu」が思い浮かび、そこから発想を得て設計されたのだとか。施設名の「KIELO」はフィンランド語で「すずらん」という意味。花言葉は「再び幸せが訪れる」。グリーンルーフの屋根の一部にもすずらんが植えられていて、暖かくなると花を咲かせるそう。やや斜めに設計されている屋根の秘密は……後ほどサウナ室で!
サウナ棟は屋久島の地杉をふんだんに使われていて、香りはもちろん地杉独特の赤みと白み、黒芯の表情が、木々に囲まれた周辺の自然と馴染んでいます。これは「時間の経過ともに木の風合いが変化していき、その土地に根ざすようなサウナ空間になってほしい」という野田さんの想いが込められているんだとか。
サウナ室にも、天井から壁、ベンチまで屋久島の地杉が使われています。大きな窓からは自然光が差し込み、外の自然を見渡せる、まさに絶景サウナ。夏には新緑の、冬には雪景色が楽しめる四季を通して様々な表情が楽しめます。
薪ストーブはフィンランドのサウナメーカー「NARVI」を設置されています。KIELO SAUNAは温かい蒸気で体を包み込むようなフィンランドのサウナスタイルにこだわっているので、サウナ室は75〜80℃とリラックスしてゆったりと入れるくらいの温度設定です。
約15分おきにスタッフの方が薪を入れ替えてに来て、しっかりと温度調整をしてくれます。さらに、白樺アロマ入りのロウリュをしてくれるので、柔らかな蒸気と香りが一気にサウナ室を巡り、心身ともに癒されます。
この心地よさを実現するためにはたくさんの知恵が詰まっていました。まず、外から見ると斜めになっていた屋根の造りは、サウナ室の蒸気が巡りやすくするための工夫のひとつ。さらに、サウナ室の扉の下に数センチの隙間と、サウナ室内に3ヶ所の排気口を作ることで、常に新鮮な空気が巡るように設計されています。おかげで息苦しさを感じることなく、サウナ初心者でも楽しみやすいという声も。
しっかり温まりたいという方は、用意されている小さな座椅子に座ると高さが出て、体感温度が一気に上がるのでおすすめです!
2段造りになっている座面は広々としているので寝転んだり、天井の高さの違いを利用して自分に合った気温の場所を見つけてくつろげます。薪ストーブ横にあるバーも、足を乗せて足元から温めながら楽しんでほしいというアイデアから生まれたそう。
要素を盛り込みすぎず、むしろ削ぎ落としながら、フィンランドサウナのいい部分をシンプルに追い求めた、そんなサウナ体験が待っています!