「ゴールデンエリア」に、“銭湯サウナ”の域を超えた(!?)、サウナ棟が爆誕!
~品川区・中延「富士見湯」~
「いい銭湯が1軒ある街には、ほかにもいい銭湯がある」--これはよく銭湯の店主さんが口にするフレーズなのですが、東京・品川区の戸越~中延一帯は、この金言が見事に当てはまる地域な気がします。「金春湯」「戸越銀座温泉」「中延温泉 松の湯」「新生湯」……。東京にお住まいではない方でも、何軒かの名は耳にしたことがあるのではないでしょうか? そんな“名銭湯サウナ”が密集する、群雄割拠な、いわば「サウナのゴールデンエリア」なのです!
そんなエリアで、新たに名乗りを上げたのが「富士見湯」さん。これまでサウナこそなかったけれど「北投石」の入った浴槽はアツアツで気持ち良く、銭湯ファンから愛されてきた老舗の銭湯さんなのですが……なんと昨年秋に男性浴室の隣にサウナ専用棟を、まるまる新設されたのです!
男湯の浴室で体を清め、サウナ専用棟へ続く扉を開くと……そこには男湯の浴室よりも広そうな空間が広がっています。
まず目に飛び込んでくるのは、小上がり状になった横になれる畳敷きの休憩スペースに、いくつものインフィニティチェア。そして奥には、青く妖しい(←ほめ言葉です!)光を放つ水風呂が!
壁に黒く描かれた、富士山の絵に近寄ってみると、そこにはサウナ室に続く扉が!
わくわくしながら足を踏み入れると……うぉおお~っ! 気持ちいい~っ!! 入ってすぐにストーン満載のサウナストーブが鎮座するアツアツの空間です。
ストーブガードの内側をのぞくとサブの熱源もあります。20分に1回のオートロウリュも実にパワフル。
変則的なレイアウトの全3段の座面は、どこに座っても異なる体感が得られます。極めつけは奥に見える富士山のオブジェの“裏”のスポット。2名が横になれるスペースがあるのです。
横になってみると……お~っ、これはキモチイイ! ロウリュのタイミングなら、上から蒸気と熱が降りてきて体をなぞっていくのが分かります。
すっかり蒸され、しっかり発汗したら、サウナ室を出て先ほどのあの水風呂へ。入ってみると……これもキモチイイ! 軟水化された水がウルッと体を包みこんで、熱をシャキーンと、あっという間に取り払ってくれます。
水風呂のあとは小上がりの畳の上で横になるも良し、インフィニティチェアでリクライニングするも良し! 屋根や壁はあるので「内気浴」ではあるのですが、換気口とサーキュレーター、そして、あえて設けられた壁のほどよい隙間からフレッシュな外気が常に対流しています。なので、体感的には「内気浴」というよりは「極めて外気浴寄りの『半外気浴』」ですね。
鼓動が鎮まってきたら、今度はどこに座ろうか……なんて思いながらまたサウナ室の扉の前へ! とにかく動線がコンパクトなので、思う存分、このループを楽しむことができちゃうのです!
「面白いものが出来たと思いますし、お客さんが気持ちよさそうな顔で帰っていかれるのを見ると、やっぱり嬉しいですよね」と語ってくれたのは店主の渡部泰男さん。数年前からサウナ新設の構想を練ってきたそうです。
もともとビル型の銭湯で、サウナを増設するスペースが店内になかったことを逆手に取って、駐車場だった部分を使い、「外付け」するかたちで新築することで「かなり広いスペースを新たに捻出」(渡部さん)したり、ほかにはないようなデザインにしてみたり……。その発想や個性は、従来の銭湯サウナの域を超えています(余談ですが、このサウナ棟の設計・デザインは「妙法湯」「松本湯」「巣鴨湯」も手がけられた方が担当されています)。
そんな渡部さんのアイデア&チャレンジを、近くの銭湯サウナのご店主さんたちも一緒になって面白がってくれて、さまざまなアドバイスや応援をしてくれたそうです。そんなお話を聞いているうちに、冒頭に記したフレーズを思い出しました。
「いい銭湯が1軒ある街には、ほかにもいい銭湯がある」のは、互いに協力し合いながら、それぞれ利用者に喜んでもらいたいと工夫や努力を続けていることも大きな要因なのかもしれません。
戸越~中延エリア。サウナ好きにとっては、さらにアツい街になりました。
【富士見湯】
■住所:東京都品川区東中延1ー3ー8
■営業時間:[平日・土曜]後3:00~11:30 [日曜] 前10:00~後11:30 (最終受付は後11:15)毎週水曜=休
■料金:入浴料=500円(大人)+サウナ料金=1,000円
※サウナは男性専用です。
※詳細は公式HPからご確認ください。
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