奥深い森の中に…ジャングル&サウナが!? 沖縄「亜熱帯サウナ」

全国各地に魅力的な場所があり、旅とセットで楽しめるのもサウナのいいところ! 特に、その土地ならでは景色や空間を楽しめるサウナは、非日常的なひとときが味わえる。

そんなサウナを求めて訪れたのが沖縄の「亜熱帯サウナ」。今回は、現在発売中のSAUNA BROS.vol.6(6月30日発売)では載せきれなかった見どころも詳しくご紹介します。

目次

“沖縄といえば海”だけじゃない! 那覇から約1時間30分の亜熱帯エリアへ

SAUNA BROS.vol.6のテーマは”旅サウナを求めて”。行き先は、北は北海道から南は沖縄まで! 今回は、リゾート地として知られた沖縄での”旅サウナ”をご紹介します。

果たしてどんなサウナが待っているのか、ワクワクが止まりません。そして、大自然の中にある絶景サウナをご紹介するということで、毎日ドキドキしながら天気予報にクギヅケに。どうか晴れてくれ〜と願いながら、迎えた取材当日。無事に晴れてくれた沖縄は、暑すぎず湿気もなく、完璧な天気でした! 絶好の海日和と言いたいところですが、今回私たちが向かう取材先は「亜熱帯サウナ」。亜熱帯……そう、森の中にあるサウナなのです。

「亜熱帯サウナ」のきっかけと、意外な始まり

目的地まであと10分程の距離になってくると、森の中へだんだんと進んでいきます。車通りも少なく、揺れる木々と虫たちの音色。進んでいくと、道がどんどん狭くなっていって「本当にこの先にサウナがあるのだろうか……?」と不安が募ります。しかし、そんな心配も無用! “亜熱帯サウナ”と書いた看板が登場し、「おお! あった」とスタッフ一同歓喜。

亜熱帯地域に生息している大きな植物が生い茂っています

「ここは昔、人が入れないような密集したジャングルだったんです。全て自分たちの手作業で開拓して、植物を植えたりしました。僕が20代の頃にバックパッカーでタイへ行った時に”タマリンドスパ”というサウナに出会って、とても感動したんです。そこも、ジャングルの中にサウナや水風呂があって、川や小鳥のさえずりがBGMで。いつかこういう場所を日本で作ることが夢だったんです」

「亜熱帯サウナ」オーナーの坂本哲治さんが話し始めてくださいました。坂本さんはその後、日本へ帰国、東京の飲食店で下積みを経て、沖縄へ移住したそう。資金やコネクションを作るために、2015年に「亜熱帯茶屋」という小さなカフェの開業。そこからステップアップして、いつかスパを作ろうと計画していました。しかし、やっとカフェの経営が軌道に乗ってきたという頃、新型コロナウィルスによる大打撃を受けてしまいます。

「従業員のためにも、なんとか再建しなければと考えて思いついたのが、あのサウナでした。今仕掛けないとダメだと思って、すぐに動きました。沖縄にないものを作っていこうと、スタッフ総出でジャングルを開拓していきました」

つまりは、予定より前倒しで作ることになったサウナ。想定外のタイミングで夢を叶える時が来た、と言った方がいいでしょうか。不安を希望に塗り替え、自らジャングルを開拓。2年の時を経て、ついに「亜熱帯サウナ」が誕生したのです。

自分で楽しむ薪サウナ、そして絶景の外気浴! ここにしかない、新しいサウナの世界

レセプションと更衣室がある母家は、かつて企業の保養所として使われ廃墟と化していたログハウスを綺麗にリノベーションしたそう。清潔感があり、広々とした空間に生まれ変わっていました。

大きめのロッカーも完備されていて、荷物が多くなる旅行の際はうれしいポイント!

水着に着替えを済ませて、薪サウナがある小屋へ。

10人ほど入れるサウナ室に入ると迎えられるのは、200kgほどのサウナストーンに身を固めたフィンランド式の薪サウナ。温度は90℃前後、薪サウナ特有のしっとりとした空気にまとわれると、「あ〜やっぱり薪サウナはきもちいいな〜」なんて心の声が漏れてしまいます。座るスペースは2段式になっていますが、低めに設計された天井によって1段目に座っていてもじゅうぶん熱を感じられます。

そして、セルフロウリュウも。こんなにたくさんのサウナストーンが乗った薪サウナですから、1、2回ロウリュウするだけで一気にやわらかい熱の蒸気が立ち込めるパワフルさ。小窓から聞こえる鳥のさえずりや木々の揺れる音、そしてロウリュウの音。至福のBGMにより、五感からも癒されます。

サウナ小屋を出て目の前にあるのは、大人3人程が入れるプールのような造りの水風呂。だいたい18℃前後で、絶妙な温度設定です。この地域だけ流れている湧水を使っているので水質は柔らかく、温度以上に体感は冷たく感じました。

「亜熱帯サウナ」の最大の魅力ともいえる、外気浴スペース。施設内に複数のロケーションがあり、それぞれの場所で景色を楽しむことができます。なかでも、サウナ室を見下ろすほどの高さにある手作りのテラスは絶景! リクライニング式のととのいチェアに寄りかかって上を見上げると、大きな木々が太陽の光をちらつかせて、なんともリトリートな雰囲気が味わえます。中でも大きく目立つく”ヘゴの木”に注目してほしいと話す坂本さん。

『これは亜熱帯植物のヘゴといって、僕の大好きな木なんです。この山を初めて見に来た時に、このヘゴを見つけて、この場所にすることを即決しました。ヘゴの木の下にサウナを作りたいと思っていたので、それが叶ってうれしいですね』

他にも、クバの葉で作られた手作りの屋根など、まるで東南アジアのリゾートにきているかのような雰囲気を演出しています。

現在、1つ目のサウナ室から少し登っていたところに、新しいサウナ室を建設中。水風呂も完備されていて、それぞれを行き来しながら、お気に入りの外気浴スポットにアクセスも可能です。

『インスピレーションとなっているタイで出会ったサウナには、マッサージがあって。いつかは亜熱帯サウナにもマッサージ施設を作りたいなと考えています』

と、今後もジャングル開拓を進めていくと話す坂本さん。まさにサウナ界のエンターテインメント施設……!? のような規模感です。

敷地面積約2000坪の森の中にはサウナのほか、開拓時に生まれた端材などを再利用して作ったフォトスポット「ジャングルフォトランド」も併設されています。夜には焚き火を楽しめたり、さらに今後はカフェスペースも充実させていくとのこと。

『ぜひ夜のサウナも体験していただきたいです。夕方頃からサウナに入って、だんだんと陽が落ちていくうちに、手作りのランタンが光って雰囲気が良くなっていきます。そこに、たまにフクロウとか動物たちの声も聴こえてきたりして。夜に近づくと、さらに幻想的なジャングルになるんです。まさに、ここでしか体験できないサウナ。やっぱり沖縄といえば海と思われがちなんですが、この亜熱帯もすてきでしょう? これからも少しずつジャングルを開拓していきながら、沖縄の魅力を伝えていきたいです』

坂本さんが旅で出会い、夢となったサウナが、沖縄の地で新しい風を吹かせている。次のサ旅は沖縄へ! そして、唯一無二の亜熱帯サウナを。

「亜熱帯サウナ」
■住所:沖縄県国頭郡本部町伊豆味2599
■営業時間:前11:00〜後8:30(2時間制の4部)
■定休日:木曜日、悪天候時
■料金:平日=2,200円、土日祝=2,750円、一棟貸切=22,000円(税込)※12名様を超える場合での貸切は追加人数分×1,100円(土日祝は1,350円)
※事前の電話予約は050-8885-0691まで
※その他詳細はInstagram@anetai_sauna から!

「SAUNA BROS.vol.6」
■発売日:2023年6月30日(金) ※一部、発売日が異なる地域がございます
■定価:1,137円(税込)
SAUNA BROS.STOREでも販売中!
全国の書店、ネット書店(honto:https://honto.jp/netstore/pd-book_32542604.html

撮影/岡本武志
取材・文/對馬杏衣

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