フィンランドサウナ旅④ハメーンリンナで歴史と自然に興奮&感動

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美しい自然と最高のサウナに癒される、スペシャルな宿に到着

アウランコ自然保護区にも行ってみたかったのですが、この日に訪問するサウナにも美しい森と湖が待っていると聞いて、「では、サウナへ向かいましょう!」と唱和した一同。
ハメーンリンナの中心部から車に揺られること30分ほど。目的地である「Iloranta(イロランタ)」は、広い敷地の中に大きなペンション(母屋)と、貸し別荘として利用できる数棟のコテージが点在するアットホームな宿泊施設でした。

車を降りた我々を迎えてくれたのは、オーナーのサムさんと、1頭のワンちゃん。

そしてペンションのすぐ横から始まっている、広大で明るい森と

やはり広くて大きな、静かで美しい湖でした。

自然を浴びる……この「豊かさ」は、まさにフィンランドならでは

この「イロランタ」は1937年に創業。それ以前は、湖と森に挟まれたこの地で、大きな農場を運営していたそう。

「美しい自然に恵まれたこの地は、きっと多くの人に穏やかな時間をもたらすはずだと、この『イロランタ』がつくられたんです。森に入って、ただ高い木々を眺めたり、苔の上に座って柔らかさを感じてもらったり。湖面を眺めながら鳥のさえずりに耳をすませたり。タイミングが合えば、農場体験もしていただいたり、と。森や水や土……『自然の癒し』に、ここなら簡単に触れることができます。本日は皆さんも、どうぞゆっくりとお過ごしください」(オーナーのサムさん)。

サムさんの言葉でも分かるように、フィンランドの人は森や湖など自然の中で過ごす時間をとても大切にしています。夏の長期休暇はもちろんのこと、週末などのちょっとした余暇の時間でも、もうひとつの大切なもの=家族や仲間とともに、所有するサマーコテージやこの「イロランタ」のような施設に出かけて、自然に包まれて過ごす人たちはとても多いそう。

日本ではあまり聞き慣れない言葉ですが、フィンランドでは「自然享受権」という権利もすべての人々に保証されています。
これは、土地の所有権が誰であろうと(たとえば、そこが国立公園であっても)、所有者に損害を与えず、また、植物や動物に敬意を持って接するのであれば、大自然の中に立ち入って、その恵みを享受することができる、という概念。
森での散策はもちろんのこと、野生のキノコやベリーなどの実も(もちろん生態系に影響のない範囲で、に限られますが)摘んできてもいいのです。


私たちも森の中や湖畔を少し歩いてみました。いや、分かります。まだほんの短い時間ですが……実に心安らぎますね。

目に映るもの、耳に届く音、胸いっぱいに吸う空気。すべてが心を落ち着けてくれます。散歩したり、ボートに乗ったりして、この自然を全身に浴びたあとに、さらにサウナでじっくり静かに過ごす……実に羨ましいです。なんて豊かなんでしょうか。


もう、待てなくなってきました。サウナ室、向かわせてください!!

少しずつ違って、みんないい!3種のサウナで極楽体験

この「イロランタ」には、静かな湖畔の水際に3種のサウナ棟がありました。


こちらは、けっして大きくはないけれ、気の置けない関係の仲間や家族なら、ちょうどよく感じるサイズのスモークサウナ。

おそらく薪を燃やす際や、ステップを上り下りする時のための明かりとりとして設けられた窓から、本当に絶妙なトーンで光が入ってきます。

じっくりと時間をかけてあたためられたサウナストーンに静かにロウリュすると、ジュゥゥワァァ〜という耳に心地よい響きとともに、やわらかな熱い蒸気と燻された薫香が室内に満ちていきます。最高です。


こちらは薪ストーブのサウナ室。

ベンチの前に、柵のような横木がありますが、これはフィンランドのサウナ室ではよく見られるもの。足を投げ出すようにこの横木の上に載せれば、つま先まで満遍なくしっかりとあたたまることができます。

炎のゆらぎ。パチパチと爆ぜる音。そして心地よいアツさ……。いつの間にか全身が心地よくゆるんできます。


そして、こちらのHARVIAの電気ストーブが設置されたサウナ室には、外が見える広く大きな窓が。

のぞいてみると、この眺め。静寂の中、時折、水面にさざ波がたったりして……。う〜ん、いつまでも見ていたくなる風景ですね。


「大切なもの」が、すべてここにありました。

いずれのサウナ室も、本当に体の芯からじっくりあたためてくれました。と同時に、心もやわらかく解きほぐされて、なんだかすっかりやさしい気持ちに。周囲に人がいて、もし目があったら絶対に微笑みあってしまいますね。

フィンランドの人の「サウナでは心も裸になって、みんな近況や胸の内などを語り合う」という言葉をよく聞きますが……そのオープンマインドになってしまう心境が、いま心の底から理解できた気がします。


もちろん、サウナ室を出たら桟橋をまっすぐ進んで湖にドボン。やはり水質は他の湖と同様に、めっちゃやわらかくて、めっちゃまろやか。

心ゆくまでプカプカと揺られたら、水から上がって、そのまま桟橋だったり、岸辺のベンチだったり……。そのときの気分で好きな場所に腰を下ろします。


やさしい……乾いた微風が気持ちいいです。


あらためてサムさんの「自然の癒し」という言葉を思い出します。


繰り返しになりますが、自然を体感するだけでも癒されるのに、サウナで得られる気持ちよさという癒しも絡むのですから。心身で得られる多幸感がさらに数倍増しになることは当然の帰結です。

森と湖とサウナ……やっぱりサイコーじゃないですか! 

結局、出るタイミングを見失い、かなり深夜まで、ずっとサウナと大自然を味わい続けてしまいました。


ここには大切なものがすべてある。そう思わせてくれるサウナが、きっとこの国には本当にたくさんあるんでしょうね。

またいつの日か、この地を訪れたい。そう思いながら、翌朝「イロランタ」とハメーンリンナをあとにしたのでした。


撮影/佐藤佑一、編集部

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