フィンランドサウナ旅④ハメーンリンナで歴史と自然に興奮&感動

今夏発売した「SAUNA BROS.vol.8」。その巻頭特集にて掲載しているフィンランドへの旅の模様を振り返る追想記の第4回目。

前々回、前回に続き、首都ヘルシンキから北上してのショートトリップとサウナ体験の模様を記します。今回は湖水地方の入口ともいえるハメーンリンナという街を訪ねた日のことを。
前々回記事ユヴァスキュラ、ハンカサルミの「Revontuli Resort」のリポートはこちらから、前回記事ヤムサの「サウナ・ヴィレッジ」のリポートはこちらから)

目次

古城の街で見た刑務所のサウナは……驚くほど◯◯◯でした!!

上記に湖水地方の入口と書きましたが、ハメーンリンナはヘルシンキの100キロほど北に位置しています。ヘルシンキから、車なら1時間ほど。列車でも1時間半かかるかどうかくらいのほどよい距離感(※日本でいえば東京から見て栃木の宇都宮や、茨城の水戸、大洗あたりでしょうか)です。

ハメーンリンナの「リンナ」はフィンランド語で「城」という意味で、その名の通り「ハメ城」という13世紀に造られた古城(※日本なら鎌倉時代にあたります)が街の象徴としてそびえています。ほかに、アウランコ自然保護区という広大な国定景観地域などもあるので、見どころも過ごし方もたくさんある、歴史と自然の街。

ちなみにフィンランドで鉄道が初めて開通したのはこのハメーンリンナとヘルシンキの間だそうです。そうしたこともあり、ヘルシンキに暮らす人にとっても、週末に数泊滞在したり日帰りでも散策や休日を過ごしたりする場所として訪れる、昔から身近な地のようです。

上の写真がハメ城です。フィンランドは長らくスウェーデンやロシアの支配下にありましたが、スウェーデン統治時代に東方の国境地帯に睨みをきかせる軍事拠点として築かれたそうです。そのため、城といっても、きらびやかな雰囲気というよりは、レンガ造りの堅固な「砦」という風合い。要塞として使われなくなった後には、その頑丈さを生かし、刑務所として使われた時代もあったそうです。

現在は博物館として公開されていて、そうした中世以降の各時代をしのばせる展示物を見学することができます。

まさに中世=騎士や貴族が描かれたタペストリーや甲冑が飾られているいっぽうで……。

刑務所時代の雑居房や拘束具なども見ることができます。こちらはかなりリアルというか生々しいですね。

そして、これが個人的にはいちばん興味深かった……刑務所時代に使われていたというサウナも見ることができました。かなり大きいというか広いです。

ベンチも3段の座面があり、

ストーブも見るからに強力そう。いや、普通にいいサウナですよね。

あの洗練された世界的デザインブランドの「はじまりの地」も素晴らしかった

上述したアウランコ自然保護区は、ここから車で10分ほどなのですが、実は、やはり車で20分ほどのところに、もう1カ所、気になっていて行ってみたいエリアがありました。

イッタラ・ヴィレッジ=イッタラ村です。

その名称でピンと来られた方もいるかもしれません。そう、フィンランドを含む北欧で生み出される、シンプルで美しいインテリアデザイン製品は、世界的に人気や支持を集めていますが、その代表的なトップブランド「iittala」の、ここがはじまりの地なんだそうです。その工場が今もバリバリ稼働していて、工房での手仕事……昔からほぼ変わらぬ製法で、ものづくりを続ける人たちの姿を見学することができるのです。

敷地を進んでいくと、白い壁の工場が見えてきました。屋根にほど近い位置に創業年を示す「1881」の文字が誇らしげに掲げられていますね。

工場内は熱気に包まれています。熱気というのは、比喩ではなく実際にかなりの高温。それもそのはず、中央に見えるシルバーグレーの構造物が「窯」で、フタ(?)になっている鉄板の間から、時折、真っ赤に熱せられ、すっかりアメ状になったガラスが見えます。

窯から取り出したその赤い塊に、長いパイプで息を吹き込んだり、型に押し当てたり。またたく間に、形が整えられていきます。真剣な表情。素早く的確で無駄のない手さばき。しばし見とれてしまいました。

敷地内の一角にあるアウトレットショップやミュージアムには、珍しい製品やお値打ちな商品とともに今見てきた製造過程に関する展示や説明なども並んでいてかなりの見応えがありました。知的好奇心も大満足! フィンランドの職人さんたちの仕事への真摯さとともに、あのアアルト・ベースをはじめとするiittala製品の美しさの秘密に少しだけ触れた気がしました。

余談ですが、出迎えてくださった職員の方たちの会話を聞いていたら、「iittala」は「イッタラ」ではなく「イ〜ッタラ」のように発音するみたいですね。なるほど! たしかに「i」が2つありますしね。
個人的には、そんな発見も含めて非常に楽しい時間を過ごすことができました。いやぁ、ここ……心地イ〜ッたら!

1 2
シェアお願いいたします
  • URLをコピーしました!
目次