フィンランドサウナ旅③極北の…まさに聖地「スモークサウナの村」

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じっくりと時間をかけて丁寧な準備を。長年の「経験値」でサウナを仕上げる

さて。この日あたためていただいていた、いくつかのスモークサウナに実際に入ってみることに。

こちらのスモークサウナの前に来ると、ちょうど「最後の準備が終わるところだよ」と赤いTシャツ姿のスタッフの方が教えてくれました。

小屋がこのサイズ感だと、およそ3時間ほど薪を焚き続け、炎で石を熱するそうです。一気に薪をくべると高温になり過ぎて火災になってしまうため、様子をみながら、じっくりと足していくんだとか。ただし、もちろん季節によって、いや、その日の天候によって、そのペースやトータルの時間は変わってくるそう。やはり経験や熟練度が必要な世界です。
そして熾火をかたづけ、煙をすべて窓などから追い出したあとに、その「最後の準備」にかかります。

アツアツの石に最初のロウリュをして、積まれた石の上や空気中に滞留しているススぼこりを蒸気で吹き飛ばすのです。「ハカロウリュ」と呼ばれる、とても重要な工程だそうです。

ここまでの、本当に丁寧な準備に感謝しつつ、いざサウナの中へ。

やはり「一番ぶろ」ならぬ「一番サウナ」の時間帯だけあって、かなり高温です。熱の圧がかなりスゴい。

ユラユラとストーンの上で空気が揺らいでいるのもわかるし、それが空間をゆっくりと漂いながら伝播してくるのも全身で感じられますね。

長いラドルでロウリュをゆっくりと。ジュ、ジュ、ジュゥ〜ッ。やはり焚きたての石。かなりの高熱だということはその蒸気の勢いでわかります。そのアツい空気が室内をめぐります。そして、ス〜ッと消えていく。うほぅ、これはアツい! 気持ちいい!! 強めのスモークの薫香も実に鼻腔をくすぐりますね。たちまち恍惚の世界に引き込まれます。

湖で全身を揺られるうちに……解像度がMAXに! 最高ですっ!!

実際に何分くらい経ったかは分からないけれど、かなり「あっという間」に身体があたたまりきりました。ということで、湖に向かいます。いつの間にか小走りになっているのが自分でも分かります!

遠浅の湖面はちょうど良い気持ちよさ。いや、水温的には13℃ほどでしっかり冷たいのですが、自然の湖の水はどこかとてもまろやかでやわらかく、「冷たい」というよりは「気持ちいい」「清冽だ」という感想です。膝より少し下くらいまでが浸かったところで全身を横たえると……すごく気持ちいいですね。

静かに仰向けになって、空を見上げ、耳を澄ませます。聴こえてくるのは風の音と鳥の声。思わず目を閉じて、しばし体を湖面で揺らします。

目を開くと……目に入る風景が、先ほどより明らかに解像度が上がっています。キラキラした空と水。最高ですね。

同じスモークサウナでも、家や棟によって異なる体感。

続いて、別のサウナ小屋の扉を開くと……

こちらは少し前に炎が消されていたこともあり、なんともまろやかなアツさ。これはいつまででも入っていられる感じです。

ロウリュの蒸気も、先ほどのサウナよりもかなりマイルド。ふわ〜っとやさしく立ち上っては、身体を静かに包んでくれます。ひょっとすると、石の“余熱”が、一番いいタイミングなのかもしれません。

やわらかな蒸気がふんわりと舞って
静かに室内をめぐっていきます

そして、換気というか空気の流れ方、蒸気の抜けるスピード感が先ほどのサウナともまた少し違う気がします。さっきも気持ちよかったですが、こちらもまた最高。

これは推測ですが、きっとご飯の味付けのように、家々によってサウナの体感も違うんでしょうね。そんなことをふと思いながら、もう一つ別のスモークサウナに入ってみて……それは確信に変わりました。

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