フィンランドサウナ旅②湖水地方で体感した「サウナの神髄」

7月3日に発売した「SAUNA BROS.vol.8」。その巻頭特集にて掲載しているフィンランドへの旅の模様を振り返る追想記の第2回目をお届けします。

バルト海に面した、首都ヘルシンキでの公衆サウナめぐりや、豊かな森や湖に囲まれたエリアへ北上しての、静かな湖畔でのサウナ小屋体験など、今回、私たちが訪れたサウナは7日間で15施設。
どの施設もそれぞれフィンランドならではのサウナであり、最高に気持ちよく、また、味わい深さもあって……実は誌面を編集する際、その構成や掲載順に悩みまくりました。

数日間、考え抜いたあげく、30ページの総力特集の「扉」として掲載させてもらうことにしたのは、湖水地方のユヴァスキュラという街の郊外にある「Revontuli Resort(レヴォントゥリ・リゾート)」。

なぜ特集のトップにこの施設をレイアウトしたのか。その理由も含め、このウェブのページでも「Revontuli〜」の魅力をあらためてご紹介していきたいと思います。

(前回記事=①「FINNAIRとヘルシンキ空港のサウナ」こちらから。←未読の方はぜひお読みください!)

目次

ヘルシンキから「VR」で北上。湖水地方のユヴァスキュラへ!

施設を紹介する前に、ユヴァスキュラという街について少しご説明しておきましょう。

ヘルシンキから北へ約300キロ弱。日本でいえば、東京から西へ向かえば名古屋の少し手前あたり。北へ向かえば仙台の近くくらいにあたるようです。車ならハイウェイで、3時間ちょっとくらいで着くようですね。

私たちはヘルシンキ中央駅から、この湖水地方のとある駅まで「VR」(フィンランドの国鉄)の長距離列車に乗り、そこから車でユヴァスキュラを目指すことに。

この「VR」が実に快適。日本の新幹線ほどではないのですが、それでもかなり速いスピードで、かつ静かに目的地へと連れて行ってくれます。ヘルシンキからユヴァスキュラまでなら、直通でやはり3時間ほどで到着するようです。

車窓の眺めも楽しいですね。ヘルシンキ市街から離れて少し経つと、のどかな田園風景、そして豊かな自然が広がってきます。

いくつもいくつも湖が見えては後方へと消えていき、「森と湖の国に来ているんだ」という実感、喜びをひしひしとかみしめられます。どの湖も、飛び込んだら本当に気持ちよさそう……なんて、ついつい期待が高まってもきます(笑)。

言い忘れていましたが、車両のボディがかわいいんですよ。見てください、このイラストというか塗装を。森と白鳥=湖の意匠ですね。飛んでいる白鳥の目に、ついほっこり。

車内にも同じく、あちこちにデザインやイラストが。こちらは車両に入る扉のガラスです。座席も快適そうでしょ?

ある車両の入り口にはこんなキュート&大きなイラストが。

「ん、ここはなんだろう?」と思って入ると、そこは食堂車。なるほど、帽子のコーヒーカップは、そういう表示も兼ねているんですね! 実用性とユーモアに、愉快に感心してしまう一同。

コーヒーやフレッシュなジュース、サンドイッチやシナモンロールといった軽食をいただきながら、この電車での小旅行も満喫したのでした。

サウナの前にちょっと寄り道。知的好奇心とココロが満たされたひと時。

“デザイン”にまつわることで言えば、ユヴァスキュラは世界的な建築家でデザイナーのアルヴァ・アアルトとの所縁がとても深い街。

アアルトの名前を聞いてピンとこないという方でも、そのデザインした作品はきっと見たことがあると思います。

木材を用い、独自の技法で強度と波打つような美しい曲線の意匠を実現した、こうしたイスだったり。

やはり、実用性とシンプルな美しさが共生する照明器具=ペンダント・ランプ。

そして、世界で最も美しい花器とも言われる、iittalaの「アアルト・ベース」。

フィンランド好きならずともつい目を奪われてしまう、こうしたアアルトの作品や手がけた建築物のスケッチ、模型など、軌跡の展示が並んだ「Aalto2 ミュージアムセンター」(Aalto2 museum centre)もユヴァスキュラ市内にあります。

幼少期に父親の仕事の関係でこの地に移り住んだアアルトは、以降、成長してヘルシンキに拠点を移してからも、サマーハウスやサウナを持ち、生涯、ユヴァスキュラを愛したそうです。

ちなみに、諸説あるようですが……あの「アアルト・ベース」の独特のフォルムは、湖の形とも、シラカバの根元付近の断面がモチーフとも言われています。

シンプルで機能的だけれど、美しい。自然と調和や共存もしている……。
フィンランドのカルチャーであったり、国民性みたいなものにも触れることができるこの美術館「Aalto2」も、非常に興味深く見学しました。また、市内にはアアルトが手がけた建築物が今もたくさん残っています(かつ、現役で使われています!)。それらの“散策”も、時間に余裕がある方にはぜひオススメしたいですね。

大切なもの、大事にしなきゃいけないものって、とてもシンプルなものなんじゃないだろうか。どこか、そんな気持ちになるのでした。

1 2 3
シェアお願いいたします
  • URLをコピーしました!
目次