“Celebration of Sauna Life” ディスカッションイベント、10月5日(日)開催

2025年10月5日(日)、Visit Finland(フィンランド政府観光局)が、EXPO 2025 大阪・関西万博の北欧館で「Celebration of Sauna Life」と題したディスカッションイベントを開く。テーマは“ウェルビーイングな未来に向けて”。コロナ以降の混沌とした社会で頻繁に語られるようになった「ウェルビーイング」が、実際にどのような意味を持つのか。日本とフィンランド、両国の文化や価値観を交差させながら、その核心を探っていく。
なぜサウナ? フィンランド発、ライフスタイルとしての原点
幸福度ランキングで8年連続世界一を誇るフィンランドでは、「自分らしさ」を重んじる精神文化と共にサウナが根付いてきた。サウナは単なる蒸し風呂ではなく、社交の場であり、心を整える時間でもある。「サウナのなかでは誰もが平等である」という価値観を基盤に、包容性や寛容さを尊ぶ文化を育んできたのだ。
日本では2018年、フィンランド政府観光局が国内で世界初のサウナ特化キャンペーンを実施したことを契機に、サウナブームが広がった。いまでは日本も、欧米を中心とする世界的なサウナムーブメントの拠点のひとつと見なされている。今回のイベントは、そうした背景を踏まえ、サウナを通して両国のライフスタイルを重ね合わせ、「これからのウェルビーイングとは何か」を浮かび上がらせる試みとなる。
プログラム構成:3つの視点からサウナを語る
イベントは、セッション①「サウナ&コミュニティー」、セッション②「サウナ&マインド」、セッション③「サウナ&ウェルビーイング」、そしてクロージング討議という流れで進む。講演やパネル、伝統芸能を交えつつ、サウナのもつ幅広い可能性を立体的に描き出す構成になっている。
セッション①「サウナ&コミュニティー」

基調講演:日本とフィンランドの外交史的接点
フィンランド式サウナが日本に紹介された歴史を振り返り、両国関係の出発点を探る。代田美里氏、ラウラ・コピロウ氏、菅原理之氏が登壇し、モデレーターを沼田晃一氏が務める。

パネル:地方に広がるサウナ文化
古田秘馬氏や高橋ケン氏を迎え、サウナを通じた地域活性化の事例を紹介しながら、コミュニティの可能性を議論。モデレーターはアンティ・クンナス氏。
セッション②「サウナ&マインド」

鑑賞プログラム:能
舞囃子「高砂」「羽衣」などを披露。シテは塩津圭介氏が務め、日本の伝統芸能が持つ静けさと精神性を体感する時間となる。
パネル:価値観・アイデンティティの再考
フィンランド流の「自分らしさ」と、日本的な精神世界を交差させながら、価値観やアイデンティティを再考する。石山アンジュ氏、サトゥ・アールマン氏が登壇し、AIコーチングやシェアリングエコノミーの実践をもとに議論を深める。
対談:「能」と「サウナ」の重なり
能に頻出する亡霊というモチーフと、かつて神聖視されたサウナ文化の共通性を紐解く。能の情念とサウナの精神性、その交点を見つめながら「自分自身と向き合う時間」の意義を語り合う。登壇するのは天野春果氏と塩津圭介氏。
セッション③「サウナ&ウェルビーイング」

森實敏彦氏、川田直樹氏、粟生万琴氏、能村祐己氏が登壇し、サウナが社会や個人にもたらす価値についてディスカッション。モデレーターは岩田真吾氏。裸の付き合いが信頼を育むという視点や、情報過多の現代社会においてサウナが果たす役割について深く語られる。
クロージング: “はこぶ” から “つなぐ” へ

JALとフィンエアーの協業を題材に、移動の手段を超えて文化や人を「つなぐ」可能性を探る。北川昌彦氏、伊藤翔次郎氏が登壇し、モデレーターを沼田晃一氏が担当する。
スケジュール・参加方法
タイムスケジュール(暫定)は以下の通り。
12:50 基調講演
13:30 地方におけるサウナ文化の展開
14:10 休憩・意見交換
14:30 能鑑賞
15:10 価値・アイデンティティの再考
15:50 能とサウナの対話
16:20 休憩・意見交換
16:30 ウェルビーイングの未来を考える
17:15 クロージング討議
17:50 終了予定
(プログラムは変更の可能性あり)
イベント概要は次のとおり。
- 日時:2025年10月5日(日) 12:50〜18:00
- 場所:EXPO 2025 大阪・関西万博 北欧館
- 参加方法:
・オフライン参加は定員に達し受付終了
・オンライン参加は事前登録制(先着500名)
・配信は日本語・英語に対応(一部プログラムは対象外)
・入場料は無料 - 主催:Visit Finland
- 後援・協力・賛同:フィンランド大使館商務部、日本サウナ・スパ協会、豊後大野市、フィンエアー、日本航空、日本旅行、SUNDAY FUNDAY、十勝サウナ協議会、おんせん県いいサウナ研究所 ほか
こちらのイベントで注目すべきは、サウナを「汗を流す場」から「心と他者をつなぐ社会的な場」へと拡張する視点だろう。日本とフィンランド、それぞれ異なる文化的背景をもとに、「ウェルビーイング」の意味を再構築しようとする試みでもある。
また、能などの伝統芸能との掛け合わせは、サウナを精神文化の領域にまで広げる新鮮なアプローチといえる。さらに、地域づくりやコミュニティ形成におけるサウナの役割を探る議論も見どころだ。
なお、本イベントはオンライン配信に対応しているため、距離を問わず参加できる点もありがたい。サウナを愛するすべての人にとって、今回のイベントは「サウナの未来」を体感できる貴重な一日になるはずだ。
フィンランド政府観光局
https://www.visitfinland.com/