<特集>【GO! 1010-37!! 銭湯サウナの魅力にハマる。第8回】「五色湯」「富士見湯」「アクアセゾン」……カラフルな魅力あふれる、東京のピースフルな3施設へ!!

ご近所にあったり、料金もお手頃だったりと、私たちの暮らしにとても身近な「銭湯サウナ」。その魅力を深堀りしていく特集シリーズ「GO! 1010-37!!」(GO! 銭湯サウナ)は、雑誌として発売している「SAUNA BROS.」と、当サイト「SAUNA BROS.WEB」の両方で横断的に掲載しています。

今回も、東京にある3軒の施設を訪ねました。いずれもそれぞれ個性と心地よさにあふれ、「本当にサウナってカラフルでピースフルだな」と思わせてくれる銭湯サウナ。現在発売中の「SAUNA BROS.vol.5」でもたくさんの写真とともに掲載していますので、この記事をご覧になり興味を持たれた方がいたら、ぜひそちらもチェックしてみてください!


目次

安らぎと機能性、レトロとスタイリッシュさ……さまざまな要素を巧みに昇華した“街の湯治場”

~豊島区・椎名町「五色湯」~

まずは豊島区・椎名町の「五色湯」さんへGO! こちらは1952年創業の老舗銭湯で、70周年を迎えた昨年の9月にリニューアルを敢行されました。

デザインを託されたのは「改良湯」や「イーストランド」、「文化浴泉」、「クアパレス藤」など都内でも数多くの銭湯サウナのリノベーションを手がけ、安らぎの空間を現出してきた建築士、今井健太郎氏。

浴室に一歩足を踏み入れた瞬間に「ふぉぅ〜っ」みたいな、思わず声にならない声が漏れてしまいます。音も光も色も適度に抑えられた、奥行きのある空間。東京を代表する繁華街、池袋の隣駅の町にあるとは思えない静けさです(それも、その椎名町駅から徒歩2~3分の場所に、こんな空間があるなんて)。

最大の特徴は「天井からの明かりがない」こと。調光をグッと抑えることで穏やかな空間を演出しています!

カランの前に腰をかけ、据え付けのシャワーから出るお湯を浴びたとたん、そのなめらかな肌触りに思わずため息が出てしまいます。銭湯って、もともと地下水を使用しているところが多いですが、とくに気持ちいい水が出ているエリアの銭湯は格別。この最初の“かけ湯”的な一浴びの瞬間は……たまりません。

「浴室内の色使い」にも注目。白いタイルは洗い場の据え付けシャワーの高さまででしか使用していない。光量の調整とこのテクニックにより、浴室内の雰囲気をさらに落ち着いたものに

はやる心を抑えつつ、洗体、洗髪を済ませたらサウナ室へ行ってみましょう!

壁のタイルも、サウナ室の扉も、深い色みで統一。シックな印象とともにスタイリッシュでもあります!
床のタイルも目地も落ち着いた色合いのものを使用。美しく、また滑らない質感のものを厳選しており、そうした心配りも……さすがです!

まだ真新しい木の香りがするサウナ室は、2段のベンチの向かいに大きなヒーターが鎮座しています。座面の幅も奥行きもゆったりしていて、居心地がいいですね。

「前後」も、ゆったりとした座面。周囲の人と接触することなくノンストレスです。ベンチ高も45cmあり、足元にもゆとりが!

男湯のサウナ室は約100℃前後(女湯も90℃近く)としっかり熱くて、湿度も心地よく、息苦しさが一切ありません。

サウナ室に広さに対してオーバースペック気味のヒーターを導入。安定した熱さを現出している。またヒーター上の鍋には薬草のアロマ水が。湿度調整だけでなく、香りも◎

浴室同様に光量も抑え気味。絶妙といえる明るさの中で、じっくり静かにやわらかな熱に包まれる……。そんな幸せな時間を心ゆくまで味わえます。

ライトはベンチ下の間接照明だけ。腕や背が触れる壁面や背面にも、こんな心配りが……!!

さて、心地よく蒸されたあとは水風呂へ。男女とも、サウナ室を出たすぐのところに約15~16℃というやさしめの設定の水風呂がスタンバイしています。とは言いつつも、水に動きがあるので水温以上に冷ために感じますね。

バイブラは冷たさだけではなく視覚的にも大きな効果が。今井氏のテクニックが光ります!

男湯の壁には見事な滝のペンキ絵が描かれているのですが、ちょうどその“滝壺”にあたる部分にスポットの光が! 水温といい、クリアでマイルドな肌あたりといい、この雰囲気といい……アチアチの体を、静かにではあるけれど、あっという間に心地よくクールダウンさせてもらえます!!

スポット光とバイブラで、まさに滝壺にいるような気分に!! そんなちょっとした遊び心も楽しいです

水風呂から上がったあとの休憩スペースも実に快適。まずは浴室を出て、外気浴ができるエリアへ行ってみます。ととのいチェアの色みも壁の色も実に落ち着いたカラーリング。

見てください! この美しく、かつ静かで落ち着く外気浴エリアを!!
男湯の外気浴エリアからは、銭湯のシンボル=煙突を見上げることもでき、最高の気分に!!

時間帯によっては、この外気浴エリアが満員のこともありますが、浴室内にこんなスペースもしっかりスタンバイ。いわゆる“ととのい難民”の心配ナシです!

当初は設計図になかったこのベンチ。改装中に「発見」したちょっとしたスペースを、すぐにアレンジして「内気浴」ができるようにしたそうです!

浴室も、サウナ室も水風呂も休憩スペースも……とにかく静かで心落ち着ける五色湯さん。今回のリニューアルにあたり、3代目の店主・柳澤裕太さんが今井さんとともに目指したのは「街にある“湯治場”」。

「毎日の仕事や生活の中で、皆さん、日々いろいろなものを抱えて生きていらっしゃると思うんです。その中にはストレスだったり、モヤモヤしたものもあると思うんですが、それらも含めて、ぜんぶキレイに流してもらえる……カラダだけでなく心もゆったりと癒せる、田舎の温泉場のような空間を街の中でも提供したいと常々思っていたんです」と柳澤さん。

窓にあしらわれた「5色」のステンドグラスが、浴槽の水面でゆらりゆらり……安らぎしかありません!

その思いは、浴室だけでなく、脱衣場やフロントなどにも徹底されています。畳同様の質感の床や、脱衣場の壁に飾られたレトロな広告などなど、目に入ったり、身体が触れるさまざまなものが、なんというか……とにかくやさしいんですよね。

美しい茣蓙(ござ)が敷きつめられた脱衣場。足裏の感触が本当に心地よく、浴後も安らぎが継続!
レトロな味わいが生むやさしい雰囲気……頭上にはかつて五色湯で使われていた広告ボードが
このマッサージチェアも、長年にわたり五色湯で使われ続けているもの。ノスタルジック!!

のれんをくぐってみたら、なんだかとても心地よく、こわばっていた心や体がいつの間にか軽くなっていた……。そんな風に感じられる空間って、そうはありません! これこそが、銭湯サウナのピースフルポイントの1つなのではないでしょうか。

【五色湯】
■住所:東京都豊島区目白5ー21ー4
■営業時間:[平日]後4:00~深0:00 [土日] 後3:00~深0:00 (※サウナの最終受付は後11:00)毎週金曜=休
■料金:入浴料=500円(大人)+サウナ料金=400円
※詳細は公式HPからご確認ください。

<次ページは……銭湯の“黄金地帯”に爆誕した、「規格外」(!?)の銭湯サウナ>

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