空と街にほどける。「ROOFTOP」が描く都市型外気浴の完成形

サウナの醍醐味は、やっぱり外気浴。電車の音や街の気配をすぐそばに感じながら、視線の先には、大きくひらけた空。駅前という立地にいながら、こんな外気浴ができる場所があるなんて——。そう思わずにはいられない開放感を感じられるのが「ROOFTOP/LifeWork cafe(以下、ROOFTOP)」。完全な静寂でも、自然の中でもない。駅の喧騒を遠くに聞きながら、空を仰ぎ、都市に身を置いたまま、誘われる。そんな外気浴が、ここにはあります。

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思考を静かに整えるサウナ室のセッティング

「待っているのは、屋上外気浴」。その“デザート”を思い描きながら、いざ、サウナ室へ。「ROOFTOP Sauna」のサウナ室は、いわゆる“駅チカ高温サウナ”のイメージとは全くの別物。2段構成でゆとりのある室内は、入室した瞬間から熱が均一に回っているのがわかり、肌に当たる熱に角がありません。息苦しさを感じにくく、自然と呼吸が深くなる設計です。

男性サウナ室は最大30人、女性用サウナ室は最大20人が入れる都内最大級クラスの広さ。天井高と奥行きにゆとりがあり、ひとりひとりの距離感が窮屈になりにくいのが印象的です。室内は、METOS製のサウナストーブを中央に据えたスタジアム型レイアウト。どの段に座っても熱が均一に回りやすく、体感にムラが出にくい設計になっています。

ベンチは奥行きをしっかり確保しており、足を下ろすだけでなく、あぐらをかいて座れる余裕も。姿勢を自由に変えながら、自分のペースで蒸されることができます。10分ごとに自動で行われるオートロウリュが搭載されており、一定の間隔で室内にやわらかな蒸気が行き渡ります。広さがありながらも、芯までしっかり蒸されます。

全身がじんわりと温まりながら、香りと湿度が静かに肌を包み込む。壁や床に使われたヒノキの香りが、蒸気とともにやわらかく立ち上がり、呼吸のたびに心をほどいていく。屋上外気浴へ向かう前段として、心と身体をフラットな状態へ導く、最高の瞬間です。

ひとり用湯船の水風呂で、クールダウンに没頭

「ROOFTOP」の水風呂は、いわゆる“大きな浴槽をみんなで使う”スタイルではありません。サウナ室を出てすぐの場所に並ぶのは、浴槽型のひとり用水風呂。動線の短さも相まって、熱を帯びた身体を間髪入れずにクールダウンへと導いてくれます。

男性エリアには15℃と17℃の2段階がそれぞれ2槽、女性エリアには17℃が2槽。この温度設定が絶妙で、強い刺激で一気に切り替えるというより、身体の状態に合わせて冷却を選べる余地が残されています。今日はしっかり冷やしたい、今日はやさしく受け止めたい。そんな感覚の違いを、そのまま行動に移せるのが、この水風呂の良さです。

そしてひとり用であることのメリット、絶大。他人の出入りや視線を気にすることなく、自分の呼吸と身体の変化だけに集中できる。水に身を沈める深さも姿勢も自由で、まるで自宅のバスタブのように、空間を独り占めしている感覚があります。この“共有しない冷却”が、感覚の切り替えをより穏やかなものにしています。

水風呂周辺のディテールも、よく考えられています。ペットボトルやタオルを置けるフリーラックは、リストバンドと同じ番号のスペースを使う仕組み。どこに置こうか迷うことも、他人とかぶる心配もありません。水飲み場も衛生面に配慮した仕様で、サウナ後の動作が滞りなく進みます。

ディテールにも細かい配慮。こういうのがうれしい

「ROOFTOP」では、細かいサービスにも一貫した思想が感じられます。どれもあるのが当たり前になってしまいそうなものばかりですが、ととのいの流れを寸断しないための、静かな下支えです。

まず、脱衣場に設置された冷蔵庫。サウナ後、身体が水分と冷気を欲しているタイミングで、迷わず冷たい飲み物に手が伸ばせる。この“間をつくらない”配置が、意外なほど効いてきます。動線を戻らなくていいし、あちこち探さなくてもいい。そうした小さなストレスの排除が、体験全体をなめらかにしてくれるのだなぁ、と妙に感心。

パウダールームのドライヤーも印象的です。「ReFa」「Dyson」「KINUJO」「SALONIA」「Panasonic」など、複数メーカーが用意されており、風量や仕上がりの好みに合わせて選べます。サウナ後の髪はデリケートな状態になりがちですが、ここでは“とりあえず乾かす”ではなく、“整えて仕上げる”という感覚で身支度ができる。数が十分に揃っているため、順番待ちで気持ちが途切れることもありません。

外気浴へ向かう前に用意されているのが、専用ポンチョです。駅前という立地上、周囲にはマンションやオフィスビルが立ち並びますが、このポンチョを羽織ることで視線の不安は自然と消えていきます。防寒や目隠しのためだけでなく、「外に出るスイッチ」として機能している点もポイント。気持ちを切り替え、安心して屋上へ向かえる装置です。

外気浴エリアの手前にはアロマスプレーが用意されていまるので、外気浴前に軽くシュッとひと吹きしても。香りが立ち上がり、呼吸がより深くなります。強制される演出ではなく、「使ってもいいし、使わなくてもいい」という距離感も心地よく、とにかくリラックスへの邪魔をしないのです。

駅前の屋上で、ああ、空にほどける……

「ROOFTOP」の外気浴スペースに足を踏み出した瞬間、まず驚かされるのは、視界のひらけ方です。

ビルの屋上という立地でありながら、目線を遮るものが少なく、空が想像以上に近い。駅前という条件を忘れさせるほど、上方向への抜けがしっかりと確保されています。

サウナと水風呂を経て、体に熱の余韻を残したまま屋上の風に当たると、皮膚感覚が一気に解放されていきます。風は強すぎず、滞留せず、ほどよく流れる。そのため、体表の熱だけがゆっくりとほどけ、内側の温もりはきちんと残る。「ああ、来てよかった……」と心から思う瞬間です。

インフィニティーチェアで、空と一体化してしまうのもいい。十分な数が用意されており、「空いていないかもしれないから早く確保しなきゃ」という焦りが生まれにくいのも、かなりいい。横になったときの視線は自然と空へ向かい、体の力が抜けるにつれて、呼吸も深くなっていきます。

街の音とともにリラックス……都市型外気浴

「ROOFTOP」の外気浴は、完全な静寂とは無縁です。駅前という立地ならではの、耳に届く雑音。電車がホームを通過する音、人の行き交う声、遠くを走る車の音……。でも、不思議と不快ではないのです。

近すぎず、遠すぎない。街が動いていることを感じ取れる程度に抑えられた音量が、背景として溶け込んでいます。外界を完全に遮断するのではなく、あえてそこに佇むことで、緊張がゆっくりとほどけていく。「みんな、今頃は仕事しているんだなぁ」というある種の優越感なのか、罪悪感なのか。なんともいえない、街の雑踏に包まれたサウナ体験。

山間部や水辺のサウナで味わう外気浴が「自然に包まれるサウナ体験」だとすれば、ここでの外気浴は「都市に浮かぶ感覚」みたいな感じ。日常と切り離されすぎないことのよさ。その状態で空を仰ぎ、風を感じることで、都市ならではの癒しが完成します。

屋上という非日常の場で、静かにほどける。この距離感こそが、「ROOFTOP Sauna」の新しいととのい体験。そして、余韻をそのまま抱えて3階のコワーキングカフェ「LifeWork Cafe」へ。思考は澄み、仕事や作業がはかどる。やっぱりここは、最高のサードプレイスなのでした。

撮影/山口京和 取材・文/松崎愛香

<施設概要>
ROOFTOP/LifeWork cafe
■住所=東京都杉並区西荻北3-14-7(JR中央線・総武線「西荻窪駅」北口より徒歩1分)
■営業時間=[サウナ利用]前8:00〜後12:00(最終受付後11:00)※混雑状況により変更の可能性あり
■料金=[サウナ利用]平日1時間:1,480円(税込)/土日祝1時間:1,980円(税込)※女性は同料金で利用時間が1時間延長
※その他の情報は公式Instagram(@rooftop_lifework)と公式HP(https://rooftopsauna.jp/)をご確認ください。

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