
千葉・富津の里山の穏やかな稜線と遠くの山々が重なる景色の中に、静かに存在感を放ちながら佇む「SATOYAMA TERRACE(サトヤマテラス)」は2025年8月にオープン。“里山を人の手で循環させる”という思想から生まれたこの施設では、ここでしか味わえない唯一無二のサウナを堪能できます。
12/3に発売したばかりのSAUNA BROS.vol.11の巻頭でもご紹介したのですが、まだまだその魅力をお伝えしたく、SAUNA BROS.WEBで深掘りしていきます!
山サウナ|自分が自然の一部になるような、静かな没入感

富津中央ICから車で約15分。首都圏からも車でおよそ60分とアクセスがよく、JR内房線「上総湊駅」からはタクシーで約10分。のどかな里山に広がる風景の中に、ふいに現れるスタイリッシュな建築、それが「SATOYAMA TERRACE」です。穏やかな緑の中にぽっと浮かぶ現代的な佇まいは、里山の空気と美しい建築が溶け合い、一度見ると忘れられない存在感があります。
サウナ施設と宿泊施設が併設されており、サウナのみの利用であれば事前予約は不要。好きなタイミングでふらりと立ち寄れる気軽さも魅力です。「SATOYAMA TERRACE」には、個性豊かな2種類のサウナ室「山サウナ」と「滝サウナ」が。ネーミングを聞いただけでも、期待が高まります……!

まずは、山サウナから。一歩足を踏み入れた瞬間、「これは普通のサウナ室じゃない」と直感。鼻を抜けるのは、熱に乗ってふわっと漂う天然木の香り。木材の油分が温められて立ちのぼる甘い匂いに、はやくも癒されつつ、中へ。

サウナ室の中央には、まるで大黒柱のごとく天然のケヤキの木が堂々と配置され、空間の重心として存在感を放っています。熱でパリパリと割れてきているのも趣があり、天然木ならではの経年変化も楽しめます。
「山サウナ」というだけあり、段の造りをあえて不規則にして、山のようにいろんな傾斜の座面があるのも特徴的。座る場所によって、さまざまな体感温度を楽しめます。座面板の隙間も熱や湿度の行き渡りを計算して設計されているため、サウナマットはあえて敷かないスタイル。

ドア付近に置いてある足置きを使って、足を浮かせて入るのもおすすめだそう。

サウナストーブは珍しい山の形をしたドイツEOS社のもので、30分に1回オートロウリュが発動。受け皿にはハーブと付近の里山で採れた野草をミックスしたオリジナルのハーブボウルが入っており、水が滴り落ちるとハーブと、野草が混ざった癒しの香りが立ち込めます。

ぜいたくに2つのサウナストーブが設置されているため、サウナ室内はまんべんなくあたたかく、ちょうどいいセッティングに。中央の暖炉には薪がくべられて、燃え上がる炎、薪がはぜる音、炎のゆらぎで、五感を通して“ととのいの向こう側”へと誘ってくれます。
サウナ室の大きく切り取られた窓からは、里山の自然が一望できます。四季折々の景色、時間帯によって変わりゆく表情。里山の稜線、揺れる緑、差し込む光──。景色を眺めながら蒸される時間は、まさに“自然と一体になる”体験そのものです。

外を眺めながら深く息を吸うと、木の香りと外の空気が混ざり合い、サウナ室の中にいながら自然の中へ体が溶け込んでいくような感覚に。体も心も、するするとほどけていくのが分かります。

じゅうぶんに蒸されてサウナ室を出ると、扉の外の床に流れている水が足元をひんやりと冷やします。アウトドア環境でもサウナに熱が籠るように2枚扉になっていたり、室内にはたくさんの通気口があったり。細部にもこだわりが散りばめられていました。
滝サウナ|湿度が“立ち上がる”瞬間を体感

山サウナとはうってかわって違う趣なのが、滝サウナ。「滝ってどういうことだろう……?」とワクワクした気持ちで、サウナ室の扉を開けます。中はひんやりした空気と、水音のレイヤー。まるで洞窟のようです。
サウナ室の壁は自然の岩で形作られ、マイナスイオンたっぷり。その岩肌を伝い、ぽとん、ぽとんと落ちる里山の天然水が、室内をやわらかな湿度で満たしていきます。
3段づくりのサウナ室は、定員24名。山サウナに比べると少しこぢんまりとした印象ですが、それがまた瞑想には最適。オートロウリュが15分おきに発動し、常に80℃くらいがキープされています。
この室内の面白さは、湿度の変化が時間で“見える・聴こえる・感じられる”こと。サウナ室の床には常に水が流れ、30分おきに始まる「滝行タイム」が、まさにこのサウナのクライマックス。最初は静かに落ちていた水量が、しずくから流れへ、そして大量の水を流す“打たせ滝”へと変化し、サウナの中での滝行体験が味わえます。

いろいろな楽しみ方ができるのも、この滝の楽しいところ。勢いよく落ちてくる滝に自ら打たれ、細かい水が混ざった湿熱を肌で受け止めると、火照った体がサーっとクールダウンされます。滝の裏側に腰掛けて蒸気の立ち上がりをじっと眺める“裏側からの景色”も、味わったことのない新鮮なサウナ体験です。
床に溜まった水に足先だけを浸しながら、じっくり蒸されるのもおすすめ。足元から体温がゆるやかに調整されるおかげで、苦しくなくサウナを楽しむことができます。そこまで混み合ってなければ、サウナ室の床に寝転ぶのも新感覚。洞窟のような反響と水音の定位を全身で感じながら瞑想状態へと没入できます。
「滝行タイム」のあとは室内の空気が冷えるので、そのタイミングでオートロウリュが発動。サウナストーンは2000年年くらい前のものだという珍しい日本の石を採用しており、ミネラルがかなり豊富だとか。その効果も存分に体で感じながら汗をかくのが気持ちいい!
いろいろなサウナをめぐってきたサウナ好きも、「こんなの初めて!」と思わず声をあげそうになる。そんな新鮮な体験が滝サウナでは叶います。スマホ撮影もOKなので、マナーを守りつつ記念写真を撮ってもいいかも。

施設の中心に、風が抜ける水風呂。開放のピークがここに

施設の中央には、近隣の里山の湧き水を引いてきた天然水ならではの冷たい水風呂があります。施設全体が里山から吹き降ろす風が心地よく通り抜けるように設計されており、その“風の抜け道”のど真ん中にあるため、気持ちよく水風呂を楽しむことができます。

この水風呂は、近くの名水「滝の不動尊」をモチーフにしたもの。竹のレールから落ちてくる湧水を浴びると、体に残った熱がスーッと抜けていきます。
サウナでしっかり蒸されたあと、16〜17℃の湧き水に体を沈めると、まずは澄んだ冷たさが全身を包みます。そこに上からそよそよと風が降りてきて、水の冷たさと風の心地よさがふっと重なる瞬間が訪れます。“屋外と屋内のいいとこ取り”をしたような、開放感あふれるクールダウンです。

さらに、隣にあるもう一つの浴槽が季節によって姿を変えるのも魅力。夏はシングル(通常9℃ほど)のしっかり冷たいキンキン水風呂に。2段階の“冷”を選べる贅沢さがあります。

冬はジャグジー付きの温浴槽に。取材時は、ぽこぽこと気持ちよい泡が立ち上る温かいお風呂として稼働していました。里山の原風景に包まれながら、ぼ〜っとジャグジーに浸かるひとときは格別で、「永遠に入っていられそう…」という気分に。仕事のことをぼんやり考えたり、夜ごはん何食べようかなあと考えたり。思考がゆるやかにほどけていくのを、自然と一体になりながら味わうことができます。




