
「大垣サウナ」の元・名支配人として知られる、トオルちゃんこと林亨さんが手がけた「Kanzaki Sanga Sauna(カンザキ サンガ サウナ)」は、岐阜・神崎川の上流に位置する、サウナ好き待望の施設。6月30日に発売したSAUNA BROS.vol.10でも掲載しましたが、WEBではさらに深掘りしていきます(前回はサウナ室についてご紹介しているので、未読の方はぜひ→①)。
この施設を作った大きなきっかけになったのが、清流・神崎川。エメラルドグリーンに輝く透明な水は「神崎ブルー」と呼ばれ、その美しさには、思わず息を飲みます。さらにこの神崎川の魅力は、水の美しさだけにとどまりません。「Kanzaki Sanga Sauna」が位置するのは、硬度の異なる2種類の水が入り混じるポイント。ここでは、一度に異なる水質の川でのクールダウンを楽しむことができます。自然と一体になりながら大自然と向き合う体験は、まさにここだけの唯一無二のものです。
形容しがたい! エメラルドグリーンの「神崎ブルー」
「Kanzaki Sanga Sauna」における魅力のひとつは、施設のすぐ目の前を流れる清流・神崎川です。岐阜県山県市の山あい、神崎川の上流部に位置するこの場所は、周囲にほとんど集落がなく、生活排水の影響を受けることがほとんどありません。そのため、水の透明度は、これまで見たことがないほど。取材時はあいにくの雨でしたが、晴れた日には水面がエメラルドグリーンにきらめき、「神崎ブルー」とも称されています。

川へと下りていくには、パブリックサウナ「コンティ」から続く整備された階段を下りていきます。途中には虫除け対策もしっかりとされているので、大自然ながらも快適な導線が確保されているのでご安心を。

階段を下りるうちに視界が開け、目の前には澄みきった川と、石や岩がゴロゴロと転がる自然のままの河原が広がります。石の一つひとつも美しく、なんだか地球の鼓動に触れているような不思議な気持ちに。川面に打ち付ける雨の音が、静かに心地よく響きます。晴れていたら水面が反射してキラキラと輝くんだろうなあ……という妄想も楽しく、川へと進みます。
水の透明度、自然との一体感――。まさに、ここでしか味わえない“水との出合い”が、待っていました。
初めての感覚。“まろやか中硬水”がやみつきに

川を目の前にすると、「うわあー……すごい!」という言葉しか出ません。言葉にするのが難しいほどの迫力と美しさ。橋の手前の浅瀬が、1つ目のクールダウンスペースです。
クールダウンのポイントは、川の手前側。神崎川は全体的に幅が広く、見た目には穏やかでも、雨の後などは水量が増え、流れが急になることもあります。奥へ進むほど水深が一気に深くなるところもあるため、入る際は足元に気をつけながら慎重に進みましょう。
手前のポイントにいざ足を入れてみると……。その透明度や自然の力強さに「やばい!」と、ただただ、感嘆の声が漏れます。気持ちいいという言葉を通り越して、水と自分が一体化するような、不思議な感覚が体を包み込みます。
気になる水温は、夏で15℃を超えることなく、冬でも8℃以下にはならないそう。通年で安定した冷たさが保たれているのも、大きな魅力です。取材した6月半ばは「冷たすぎず、でもしっかりとクールダウンできる」最高のコンディションでした。自然の力って、本当にすばらしい。
「このあたりは硬度90ほどの中硬水で、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く含まれているから、肌あたりがとても“まろやか”なんですよ」とトオルちゃん。ここにサウナを作ろうと思ったのも、この初めて味わう“肌感”がきっかけのひとつだったといいます。

そこにあるのは、大自然と小さな自分。川の流れる音や周囲の緑を感じて、「自分ってちっぽけだなあ」「小さなことなんて、どうでもいいや」と、どんどん思考がフラットになっていくのを感じます。冷たさと、優しさと、心強さと……。感覚が重なりあい、思考がぐるぐるとめぐります。
トオルちゃん手作りの沢。大・大・大自然に包まれて

「Kanzaki Sanga Sauna」には、神崎川の主流とはまた別に、伏流水のクールダウンスポットがあります。この伏流水が主流の神崎川と交わるポイントに、トオルちゃんが自ら重い石を運び(!)、水の流れをせき止めて水をためた、手作りの小さな沢があります。これが、もう一つの“自然の水風呂”!
この沢へは、広葉樹で作られた小屋サウナ「コタ」から続く階段を下ります。パブリックサウナ「コンティ」側と同様、こちらもしっかりと整備されているので、安心して歩くことができます。

「コタ」でじっくりとあたためた体を、まさに今からクールダウン! という、絶妙に計算されたすばらしい動線です。周りには、大自然だけ。木々の緑、澄んだ空気、自然の奏でる音……。大自然が全身を包み込み、階段を下りている一瞬一瞬までもが、もう気持ちいいんです。
この伏流水の先には集落がなく、生活排水は限りなくゼロ。水質は自然のままに保たれており、飲料水と同等の純度を誇ります。そんな透き通る水が、目前に。サウナ体験においての、ハイライト! まさに、至福のひとときです。
上流に集落なし。限りなく源流に近い“さっぱり軟水”に浸る

立派な苔に覆われた先には、こちらもトオルちゃんが手作業で石を積み上げて作ったクールダウンポイントがあります。「ここは硬度が20ほどの軟水で、肌あたりも非常にやさしいです。さきほどのクールダウンポイントが“まろやか”なら、こっちは“さっぱり”ですね。肌感が微妙に違うんですよ」とトオルちゃん。
神崎川の主流が「硬度90ほどの中硬水」であるのに対し、この沢は「硬度20以下の軟水」。トオルちゃんが肌で感じてから、改めて計測して数値で確認したそうです。

一年を通じて安定した水温で、季節を問わず心地いいクールダウンが楽しめます。人工的な水風呂とは異なり、自然のリズムをそのまま体で受け止めるような贅沢な体験が、ここにはあります。
沢に身体を預けて見上げれば、山・山・山……! 山と川しかない、自然と自分しかいない、ここからの眺めも最高です。まるで自然に抱かれるような不思議な感覚にひたりながら、サウナでほてった体をクールダウンさせてくれます。心も、どんどんリラックスしていきます……。
「Kanzaki Sanga Sauna」には、こうした異なる硬度の清冽な川でのクールダウンのほか、施設内に水風呂がひとつあります(次回以降の記事でご紹介しますね)。
今回は雨の中でのサウナ体験でしたが、それでも神崎川の清らかな流れと、澄んだ空気の中でのクールダウンは、格別でした。晴れた日には、太陽の光が水面を照らし、エメラルドグリーンの川が一層鮮やかに輝くとか。季節や天候、時間帯によって表情を変える神崎ブルーは、その瞬間だけの特別な色。いつ訪れても、「ああ、ここに来てよかった」と思える、かけがえのない時間を過ごすことができます。
Kanzaki Sanga Sauna
■住所:岐阜県山県市片原字大フブセ611-1 岐阜バス停美舟養魚場前 橘向かい
■営業時間:<コンティ/ブリックサウナ>10:30〜20:30、<コタ/予約制サウナ>10:30〜13:30、14:00〜17:00、17:30〜20:30の3部制(今後は夜営業の予定もあり)
■料金:<コンティ/ブリックサウナ>2000円、<コタ/予約制サウナ>プラス1人2000円
※その他の情報は公式Instagram(@kanzaki_sanga_sauna)、公式X(@sanga_sauna)、と公式HPをご確認ください

「SAUNA BROS.vol.10」
●好評発売中
●定価:1,251円(本体:1,137円)
●発行:東京二ュ―ス通信社
全国の書店、ネット書店(Amazon、楽天ブックス、Fujisan.co.jpほか)にて販売中
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