サウナ好き俳優・黒羽麻璃央さんとサウナ施設をめぐる連載「翔ぶ瞬間」(過去の連載はこちらから!)。今回訪れたのは、2024年10月、東京都港区「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」内に誕生した「CARAPPO(カラッポ)虎ノ門ヒルズ」。
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2025年が明けて間もなく2月25日より公演予定のミュージカル「昭和元禄落語心中」の稽古がスタート。疲労も溜まっているであろう黒羽さんに、トレーニング、サウナ、メディテーション(瞑想)が1ヵ所で体験できる、都内最大級(2000㎡、約600坪)の総合ウェルビーイング施設でリフレッシュしていただきました。
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スポーツジムで、こんなサウナが!?
――2024年10月、再開発が進む東京虎ノ門にある「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」5Fで、「CARAPPO 虎ノ門ヒルズ(以下:CARAPPO)」がオープンしました。
「普段あまり馴染みがない場所なので、少し緊張しますね。場所柄、施設さんも立派そうですし。“僕が行っても大丈夫かな?”って(笑)」(黒羽さん)。
――(笑)、ここ「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」は「国際新都心・グローバルビジネスセンター」形成に向けて進化を続ける「虎ノ門ヒルズ」の中心に完成した多用途複合の超高層タワービル(地上49階、地下4階、高さ266m)。街や建物の印象はいかがですか?
「近くには六本木であるとか赤坂であるとか、サウナ施設の多い街があって。でも、そことは全然違う、落ち着いた雰囲気ですよね。オフィス街なので、行き交う人たちもみなさん“オトナ”って感じですし、服装もパリッとされていて。(自身が)30歳も超えたせいか、最近はこういう環境もいいな~と思ったりはするんですけど、すこし緊張してます(笑)」(黒羽さん)。
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――東京メトロ日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅から直結。同銀座線虎ノ門駅からも地下道を通って5分ほどで来られますから、「虎ノ門ヒルズ」近辺で働く人以外も便利です。
「都心のど真ん中にあるので交通の便もいいですし、タワー内には飲食店もたくさん入っているから、サウナ後の“サ飯”にも困らない。サクっとジムでトレーニングして、サウナで汗を流して。心身ともにリラックスしてから、お仕事へ……って、そんな朝に憧れます。
行っても、ジムかサウナかの、どちらかになっちゃうので」(黒羽さん)。
――「CARAPPO」は、世界100ヵ国以上で利用されるTechnogym(テクノジム)社製のマシンを揃えた最先端の設備トレーニングジムをはじめ、男女2種類のサウナとプライベートサウナが3部屋、専門家が監修したマインドフルネスプログラムやヨガプログラムを1ヵ所で体験できるので、「憧れの朝」にはピッタリですね。
「いわゆるスポーツジムでそんなにサウナが充実しているところ、あまりないですよね? 早く体験したいです!」(黒羽さん)。
“完全なオフ”って確かに大事ですね
――ここからは今回、案内していただく「CARAPPO虎ノ門ヒルズ」マネージャーの岩本孝士さんにも参加していただきしましょう。まずは施設の概要をお聞かせください。
「『CARAPPO』は、ウェイトトレーニングやHIIT(高強度インターバルトレーニング)など、自分の目的に合った選択が可能なジムエリアと、心も身体も解放されるサウナ、マインドフルネス瞑想やヨガのプログラムを通して心身に向き合うメディテーションスタジオ。これら多角的なアプローチをオールインワンで完結させることができる総合ウェルビーイング施設です。さらには、それぞれの効果を最大限に引き出せるよう、各コンテンツで専門家と連携し、本格的なウェルビーイングを叶える空間・プログラム作りを行いました」(岩本さん)。
「サウナが付いているスポーツジムには行ったことがありますが、メディテーションスタジオというものは初めて聞きました。それらを1カ所で体験できるなんて、すごいです」(黒羽さん)。
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「施設のご利用後は、文字どおり“からっぽ”な状態になれると思います。ちなみに“CARAPPO”のアクセントは前方(CA)に付くため、“空っぽ”とは逆のイントネーションで呼んでいただければ(笑)」(岩本さん)。
――先ほど黒羽さんも「仕事前に」とおっしゃっていましたが、「CARAPPO」は“Reset for Creative Life”がコンセプトなんですよね?
「オンタイムを過ごすことが多いビジネス街の中で唯一オフになれる空間にしたい。完全に心と身体をリセットすることができて、自分のパフォーマンスを取り戻せるような、そうした新しい価値、生活の流れを提案したいと考えました」(岩本さん)。
「完全なオフかあ……確かに大事ですよね。この撮影の後は『昭和元禄落語心中』の稽古があるんですけど、今日はまずこちらで心身ともにオフの状態にして、いい感じで稽古に臨みたいと思います」(黒羽さん)。
――昨年(2024年)もそうでしたが、黒羽さんは主演を含む連続ドラマが続いて、合間には単発でのゲスト出演もあって、舞台もあれば映画も公開されて……となると、完全にオフになれる時間が少ないのでは?
「変わらずマイペースでやらせてはもらっていますし、サウナのような、安らげる時間もありますけど、いろいろとお仕事が重なっちゃって……という時は、あえてそう(オフに)することも必要かなと思います」(黒羽さん)。
――2025年は年明け早々に、ドラマ「アイシー瞬間記憶捜査・柊班」のゲストキャストとして狂気の監禁犯人役を。
「前のドラマに続いて逮捕される役だったので、そういう時はちょっとリセットしたくなりますね。特に『アイシー』で演じさせてもらった江藤という役は強烈でしたし。大事な第1話の犯人役ということで力も入りました」(黒羽さん)。
――波留さん演じる主人公の刑事・柊に取調室で詰め寄られてからの「ふぁ~い」という江藤の返事や、自分がやった犯罪は「3回じゃん?」という返しに、背筋がゾッとした視聴者も多かったと思います。
「あれは監督さんの演出あってのお芝居ですけど、自分にない狂暴な部分を引き出さなきゃいけないのでいつもより疲れました(笑)。そういう時こそ、こうした施設さんで切り替えて、次の現場に行けるとスッキリするだろうな~と思いますね」(黒羽さん)。
「HIITプログラムは30分で完結するため(1クラス)、忙しい毎日をお過ごしの方でも短時間で効率よく運動することができます。身体活動だけに集中する高強度のトレーニングを通じて、嗜好をリセットし、サウナで心を研ぎ澄ませて。瞑想やヨガのプログラムで自分と向き合って“からっぽ”になれますので、ぜひためしてみてください」(岩本さん)。
え? ここジム? 高級ホテルのエントランスみたい
――それでは、いよいよ「CARAPPO」を体験していただきます。入口の自動ドアを抜けて、フロントのあるラウンジへ。
「広いですね~。そして、めっちゃキレイ! 高級ホテルのエントランスみたい。スポーツジムのイメージとは別ものですね」(黒羽さん)。
「『CARAPPO』は禅の考えである“すべては、空(くう)である”にインスピレーションを得て、一から世界観を作り上げました。“からっぽ”になれる体験がご提供できるよう、余計な装飾や情報も極力減らしたデザインは、モダンさもありながら和を感じられるものとなっていると思います」(岩本さん)。
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――ラウンジの名前も和を連想させる「ENGAWA(エンガワ)」です。
「その名のとおり、日本の縁側をコンセプトにデザインしました。外=オンの状態と、施設=オフの状態との中間にある場所として、施設利用の前後で気持ちを切り替えていただく空間に……と考え、照明や壁などの色、ところどころに石を配した建材など、すべてにこだわりました」(岩本さん)。
「ジムやサウナの後にここでお仕事をされる方は、作業がはかどりそうですね。モノトーンの空間が落ち着きますし、窓も大きいので眺めもいいですし」(黒羽さん)。
「テーブルごとにコンセントを設けていますので、短時間のワークスペースとしてご活用いただくことも可能です。ジムやサウナで“からっぽ”になったことで浮かんだアイデアなどを、こちらの『ENGAWA』でまとめていただければ」(岩本さん)。
――フロント前に置かれた岩のオブジェも存在感が。
「伊達冠石を使用したオブジェの半分は原石のままで、もう半分には磨きをかけていて、『CARAPPO』の世界観を表しています。なお(『CARAPPO』の“O”の部分である丸い)ロゴの左右に隙間が空いているのですが、これも施設の中に入って、そこで“からっぽ”となり、そして再び外に出ていく――という一連の流れを象徴したものです」(岩本さん)。
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サウナに加えてお風呂もあるなんて!
――受付を済ませて少し進んだ右側に男性ロッカー室とSPAが、左側に女性用ロッカー室とSPAがあります。
「ロッカー室も広いですね! 数も多ですし、1つ1つが大きいのもうれしいです」(黒羽さん)。
「落ち着いて過ごしていただけるよう、ゆとりをもった作りになっています。なおパウダーエリアのアメニティは、シャンプーがWaphyto(ワフィト)。化粧水などはOSAJI(オサジ)。シャワーヘッドとドライヤーはRefa(リファ)社の製品。どれも会員さまに満足していただけるよう、吟味して揃えました」(岩本さん)。
――で、SPAには男女それぞれに違うタイプのサウナが2種類。
「どちらも禅の世界観から着想を得た空間となっていて、“無”の状態に近づくサウナ体験をご提供します」(岩本さん)。
――木々のぬくもりを感じるやわらかな空間が特徴の「KU:」と、黒を基調とした内装がほの暗い「MU:」。それぞれどんな意味が込められているのですか?
「『KU:』は丸く弧を描いたサウナ室内のデザインで、仏教の“空(ご縁という意味)”をイメージ。『MU:』は座禅の“半眼”をコンセプトにしています。奇抜な演出や華美な装飾をする事無く、本質的な心地よさを感じられる空間を目指しました。日々連続している思考や雑念を取り払い、ただそこにあるものに集中できる環境でリセットして、次のお仕事や活動に向かっていただればと」(岩本さん)。
――ということで、入口に吊るされた畳風の黒いサウナマットを手にしたら、「KU:」の方から体験してみましょう。
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なんだか包まれているような安心感があります。周りを木に囲まれた、すごく落ち着く空間。温度も、じわじわと温まる……という感じで僕の好みです」(黒羽さん)。
――サウナ室内の温度は80℃後半~90℃。座面は2段、収容人数は12人。木をふんだんに使った、バレルサウナのように壁の角が丸くデザインされた室内が特徴的です。
「“空=ご縁=円”とかけて、地球儀のような球体の枠にストーンを詰めた特注のストーブを中心に据えました。サウナ室全体も角をなくした丸みのある空間ですので、包み込まれるような心地よさを感じていただけると思います」(岩本さん)。
――ストーブは特注なんですね。
「『CARAPPO』の目指す世界観をお伝えしたところ、職人さんが作ってくださいました。視覚情報を減らそうと思いつつ、インパクトのあるものができ上ってきたので、受け入れられるか不安もありましたが(笑)、おかげさまで好評をいただいています」(岩本さん)。
――この見た目にも美しい特注ストーブにプラス、オートロウリュも。
「どちらかといえばカラカラ系のサウナなので、オートロウリュはうれしいですね~。一気に蒸されます。ほのかに漂う木の香りも、さらなる安心を与えてくれますね」(黒羽さん)。
「オートロウリュはオープン当初30分毎でしたが、室内の温まり方やエレメントの耐久性などさまざまな要素を鑑みて20分毎(毎時10分、30分、50分)に設定し直しました」(岩本さん)。
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――水風呂は15℃後半~16℃。深さが95㎝と深めです。
「わっ“深(ふか)冷たい”! (笑)。でも、しゃがんで入るのにちょうどいい深さ。水風呂にはちゃんと座れる腰掛けもあって、場所を選べるのもうれしいです」(黒羽さん)。
「水風呂の深さも、膝を曲げて腰を下ろした時にちょうどいい95㎝としました。高身長のエキスパット(外資系企業の外国人ワーカー)の会員さまがご利用されることも想定しています。サウナもそうですが、さまざまな会員さまがいらっしゃいますので、どなたでも満足していただける温度に設定しました」(岩本さん)。
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「施設全体がそうですが、ほのかに暗い照明も安らぎます」(黒羽さん)。
「高濃度炭酸泉と水風呂を備えたこちらの空間の特徴は、窓から光が降りそそぐような照明の演出です。試行錯誤を繰り返しながら、セッティングを決めました」(岩本さん)。
――湯気が光に当たると本当の朝日のように見えますし、上からの光が水面で跳ね返って揺らぎを演出しています。
「本当に朝日のようです。温かいお風呂、いいですね~。ここ最近、体調によっては水風呂はなしで外気浴、そしてお風呂に……ということもあるので、個人的にありがたいです。シャワーだけだと、ちょっと物足りないので」(黒羽さん)。
「浴槽は炭酸ガスを溶け込ませた大型の高濃度炭酸泉風呂で、血行促進効果が期待できます。トレーニング後に、ぜひ入っていただきたいですね」(岩本さん)。
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――炭酸濃度1,000ppm以上の高濃度炭酸泉は、通常の入浴よりも3~5倍も血流量が増加するといわれます。
「水温は18℃からくらいが好みなので、ちょっと冷たかったけど、トレーニング後にほてった筋肉をクールダウンするにはピッタリかな。何より広めのお風呂がうれしい。いや~、会員になることを考えちゃいますね」(黒羽さん)。
怒とうの2024年を終えて、新たな仕事を前にしばしの休息を。次回は、こちらも2種類が設置された「トトノイルーム」から、もう1つのサウナ「MU:」を体験していただきます!
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黒羽麻璃央
1993年7月6日生まれ。宮城県出身。
2010年に第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストにて準グランプリ受賞。2012年にミュージカル「テニスの王子様」で俳優デビュー。2015年から刀ミュこと「ミュージカル『刀剣乱舞』」シリーズに三日月宗近役で出演。ほかミュージカル「エリザベート」のルイジ・ルキーニを演じた。舞台以外にもドラマや映画、バラエティー番組にも出演、幅広いメディアで活躍。2024年は「焼いてるふたり ~交際0日 結婚から恋をはじめよう~」(読売テレビほか) で主演。ほか「マル秘の密子さん」、「おやすみのたね。」(ともに日本テレビ系)や年末時代劇「大富豪同心スペシャル」(NHK BSプレミアム4K、NHK BS)に出演と大忙し。2月25日よりミュージカル「昭和元禄落語心中」の公演がスタート(東京・東急シアターオーブほか)。4月11日より公開の日米共同制作の映画「ゴーストキラー」(東京・新宿バルト9ほか)にも出演
CARAPPO虎ノ門ヒルズ
住所:東京都港区虎ノ門2-6-3虎ノ門ヒルズステーションタワー5F
営業時間:月~金曜=前7:00~後11:00、土日祝=前9:00~後9:00 休館日=毎月第2、第4日曜
料金:入会金33,000円、月会費36,000円(タオルレンタル・HIITスタジオ利用・メディテーションスタジオ利用含む)プライベートサウナ(個室)/70分4,400円、90分5,940円(会員限定) ※ヒルズ系列に入居しているオフィステナント企業の従業員限定価格あり 詳しくは公式HPをご覧ください
撮影/佐藤佑一
文/橋本達典