2024年4月26日、山中湖のほとりに期待のサウナ施設がグランドオープンしました。その名も「CYCL（サイクル）」。続々とオープンする最新サウナアドレスのチェックは欠かさない！ というサウナ好きなら、噂を既に耳にしている人も多いはず。この施設の一番に気になるポイントが、全面スケルトンの窓に富士山が浮かび上がる光景。実際にこの目で見たら、富士山が自分だけのものかのように錯覚するほど、大きく見えるんだろうな〜あんな絶景を眼前に休めたらな〜と、想像しただけでも悶絶ものです。
目の前の富士山は、サウナ体験後に休憩するスペースである展望ラウンジからの風景。全国にサウナ施設は数あれど、ここまで視覚にダイレクトに訴えかけるサウナ施設は、指折り数えるほどなのではないでしょうか。これは、忘れられないサウナ体験になること、請け合いです。（※前回記事では、足を踏み入れた瞬間に五感を刺激する施設の様子や至極のサウナ体験、そして「CYCL」のアイコニックな展望スペースについて、写真とともに紹介しています。未読の方はぜひあわせてお読みください）
この「CYCL」は、どんな思いで作られたのか。今回は、「CYCL」オーナー・西口敦さんに立ち上げの経緯から内部のこだわりにいたるまで、じっくりとお話をお伺いしました。
とある日、フィンランドサウナに魅せられて……
――入った瞬間から、既に気持ちいい……感動しました。本当にすてきな施設ですね。サウナ好きのツボをつきまくっているな、と感じました。そんな「CYCL」を立ち上げた動機について、まずお聞かせください。
「実は、僕はもともとサウナに対しては『好き』という感じでもなく、割とニュートラルな感覚を持っていました。温浴施設へ行ってサウナがあれば、少し入ってみようかな、ぐらいの。サウナに入って『苦しい』と感じることも、少なくなかったです。わざわざサウナに出向くということは、ほぼなかったんですよね」
――そうなんですね。それでこの施設を作り上げるとは！ すごいです。
「きっかけは、YouTube番組『マグ万平ののちほどサウナで』のフィンランド旅特集を観たこと。マグ万平さんと清水みさとさんが、フィンランドのタンペレという場所の湖畔にある『カウピンオヤサウナ』を訪れるのですが、それを観たときに『サウナってこんなにいいものなのか！』と、覚醒しました（笑）。もしかしたらこれ、僕もハマるかも、って。目の前の湖畔があって、水風呂代わりに湖に“ドボン”できる圧倒的な開放感。これはすごい、と思いました」
――清水みさとさんもこのサウナの目の前の湖を見て、「海みたい！」と言っているぐらい、広い湖でしたよね。
「そうなんです。そして、サウナに地元の人々が集まってラフにコミュニケーションをとっているのも、とてもいいなと思って。『社交場』であるという本来のサウナの機能を地でいくパブリックサウナに、かなりインスパイアされました」
―― その頃はコロナ禍で、日本ではサウナでの黙浴が叫ばれたりしていましたよね。ですが、本来サウナとは、コミュニケーションの場でもあると。
「そうなんです。圧倒的な自然を感じつつ、地元民やサウナ好きの方々が交流できるような施設が作れたら……と、その頃からじわじわと考えるようになりました」
「スイーツ×サウナ」って、おもしろいんじゃないかな
「実家が果物店を営んでいたこともあって、もともとは飲食業をメインとしていたのですが、コロナ禍で先が見えなくなってしまって。これからどうしていこう……飲食業はどうあるべきか……と、いろいろと考えていたんですよね。例えばおいしいものを提供できるのってどんなシチュエーションなんだろう、と考えてみると、それは都会じゃなくて自然の中なのかな、とか。僕はキャンプが好きでよく行くのですが、バーベキューで食べる肉や焼きそばって、安くてもすごくおいしいじゃないですか。そういうことなのかな、という気づきがあったり」
―― 分かります。外で食べると、何倍もおいしいですよね。
「そんなことを考えているときに、『マグ万平ののちほどサウナで』で、サウナ後にソーセージを食べる回を観たんです。それなら、サウナ後のスイーツもハマるかな、と思って。サウナの後に、特製スイーツを食べられるなんて、最高じゃん、と。どんどんサウナ施設への構想が、ふくらんでいきました」
―― サウナ施設を作る、点と点がつながっていった感じですね。
「僕は昔、テーマパークで働いていました。そのせいか、飲食スペースもあって、エンタメもあるような複合施設を作りたいという思いは、ずっと持っていたんです。そこで、大自然の中でのサウナ×スイーツ、おもしろいんじゃないかな、と。それから、サウナをもっと知ろうと、積極的にサウナへ行くようになりました」
