東京・江東区の東京メトロ東西線「東陽町駅」4番出口から徒歩1分にあるサウナ施設が、昨年10月にオープンした「sauna&bath NiHITARU(ニヒタル)」。小さなマンションの1Fの、限られた店舗面積のなかにコンパクトにまとめられた「新しい都市型サウナ」として反響を呼んでいる。そこで、代表・水上瞳さんに同施設を開店した経緯を聞いた。<全3回の最終回! 第1回/設計からこだわった「NiHITARU」人気の秘密を紐解く 第2回/ととのう必要なし!? NiHITARU人気の秘密を代表に直撃>
「何かに浸る」がコンセプト! 「何か」はお任せ
──「NiHITARU」は、「~に、浸る」で、言葉の真ん中を切り取るイメージで、気になるネーミング。
「『何かに浸る』という意味なんです。その『何か』は皆さんにお任せします。『サウナに浸る』『リラックスできる時間に浸る』だったり、『お湯に浸る』という方もいらっしゃるかもしれません。ここにきて『何かに浸って』リラックスして帰っていただきたいです。
リラックスしてもらうために、施設内の注意書きやポスターなどの文字情報も、必要最低限にしています。たとえば、水風呂には青いタイルでお湯の浴槽との違いもひと目で分かるようにしていますし、なるべく頭で使わないようにサウナ室にテレビも置かない、音もアンビエントミュージックや環境音楽にして、歌詞が流れないようにしています。
表示も、シンプルな記号や絵などにしています。現在ピクトグラムを発注していて、文字ではなく絵だけの情報にしようと考えているところです」
やむなく男性専用施設に。月2回程度レディースデーを開催
──男性専用サウナでありながら、女性も喜ぶオシャレさがありますね。
「清潔感やデザイン、内容は『浸る』ために不可欠な要素だと思い、こだわりました。この設備で男女両方というのは無理なので、男性か女性かどちらかになる。そうすると、やっぱりサウナ人口が男性の方が多いので、男性専用施設となりました。それでも、女性にも楽しんでいただきたく、月2回はレディースデーを開催するようにしています。女性のサウナ人口が増えたらいいなと思っています。」
──貸切営業もやっていますよね?
「貸切をご利用いただく方が増えていますね。友達を30人集めるのは大変じゃないですか。でも、10人ぐらいなら誘えそうですよね。コンパクトなNiHITARUの貸切は15名までです。15人集まれば1人4000円で3時間貸し切り利用ができます。そうすると、会社のサウナ部やサウナが好きな仲間など、ちょっと頑張れば集められる。水着着用なら撮影もOKですし、さらにアウフグースもついてきます」
サウナでもお湯に浸りたい人は一定数いる
──「浸る」というコンセプトで、やはりお風呂(湯舟)は欠かせない派ですか?
「そうですね! お風呂って重要です。サウナと水風呂だけでは何となく物足りなくなる気持ちがあったのと、浸ってほしいというコンセプトの中で、お湯に浸る要素が必要な人が一定数いると思います。銭湯がずっとやってこられているのも『大きいお風呂に浸かりに行きたい』と思うからで、リピート要素として湯舟は欠かせないと思いました。湯舟を作ることを優先した結果、スタッフ用トイレが削られました(笑)。それでも湯舟は要るって思いました!」
近隣事業者とコラボレーションする真意
「NiHITARU」は、近隣のビジネスホテル「相鉄フレッサイン 東京東陽町駅前」の宿泊者限定のサービスや、コワーキングスペース「goodoffice 東陽町」とコラボレーション「コワーキング×サウナ相互体験day」を開催したりしている。
──地元密着型として他業種とのコラボも。水上さんの人脈ですか?
「私から積極的にお声かけしています。営業が好きで。相鉄フレッサインさんは、大浴場がなかったので、本当にウインウインの関係だって感謝していただきました。goodoffice東陽町さんは、“開業同級生”で、NiHITARUの開業と1週間違いくらいなののです。ご縁だなと思ってお声かけしました」
東陽町にサウナに来たら近所で美味しいグルメも
──バイタリティーと行動力で近隣店舗とのつながりを作っているのですね
「サウナがない地域にサウナを作ると基本的に誰からも嫌われないのですよ。新しいお客さんを連れてきて、帰りに飲食店にも寄ってくれますし。新しい需要を作ることができているなという感覚があります。うちにもお酒が飲める小さなバーカウンターがありますが、本格的に『飲食』をやろうとは思っていません。東陽町のサウナに来たら、近所で美味しいグルメを食べて帰ってもらったらいいなと思っています。以前には、家系ラーメン店『武道家 賢斗』さんとのコラボキャンペーンもやりましたね。他の事業者さんと互いに盛り上がっていければと思っています」
代表の本業は会社員! サウナ経営の経験をフィードバック
は本業は会社員だという水上さん。新しいチャレンジには会社の理解があり、サウナ経営が兼業でできているという。また、この経験が本業にもフィードバックされているという。
──開業して、ご自身に変化は?
「今まではクライアントに対して『この店やお店のサービスどうやってPRしましょうか』と提案する側だったのが、自分が事業主になって、お金も含めていろんなリスクを取りながら、いかにPRしていくかということを考えるようになりました」
──実店舗でテストマーケティングができている?
「入館時に『オロポ』(「オロナミンC」で「ポカリスエット」を割った飲み物)を頼んだら安いですよという『オロポセット』をやっています。すると、明らかに注文量が増えるんですよ。『先に頼むと安いんだ!じゃあ頼む』というお客様が! きっかけを与えられたほうが売れるという事実と、モノを売るのに、ちょっとしたギミックを加えることで人の心理は変わるというのを実地で理解できたという利点もあります」
地域の事業者間での盛り上がりをもっと強めていきたい
──これからやっていきたいことはありますか?
「会計年度がまだ1年たっていないので、ここで地盤を固めていきたいと思います。また、地域の事業者間での盛り上がりをもっと強めていきたいです。実家がご近所ということもあって、須藤元気さん(参議院議員)がよく来てくださっています。最近、『元気会』という、東陽町をはじめ近隣の木場、南砂、新砂など近隣エリアの事業者さんの横のつながりを強めて盛り上げていきましょうという活動を行っています。スタンプラリーをやったりイベントを企画したり」
──提携やコラボもその一環だという思いですか?
「近隣の事業者さんとお会いして思うのは、みんなやりたがっているのですが、自分の店や事業が忙しいのもあって率先してやる人はあまりいないということです。でも、誰かがやり始めたらついていきますという方が多いと思って。その実例をつくりたいなと思っています」
施設の将来について「いかに近所の人にずっと長年来てもらえるかが勝負。いかに近隣の人たちの心をつかめるか」と語る水上さん。地域に根ざした経営が実を結びそうだ。
NiHITARUオリジナルタオルをプレゼント!
SAUNA BROS.WEB読者の方に、NiHITARUで実際に販売されているオリジナルタオルを2名の方にプレゼント!
応募方法はSAUNA BROS.公式X(旧twitter)#ニヒタルタオルプレゼントをご覧ください。応募締切/2024年4月30日
sauna&bath NiHITARU(ニヒタル)
■住所:東京都江東区東陽4-5-9 1F
■営業時間:平日=後1:30〜11:30、、土曜・祝日=前11:00〜後11:00、日曜=前9:00〜後11:00、水曜日の早朝営業(不定期開催)=前6:30~9:30
■料金:60分=1,500円、90分=1,900円、120分=2,250円、フリータイム=2,500円 タオル付き 延長30分ごとに+550円 早朝営業 45分=900円、60分=1,200円、90分=1,600円(税込)
※貸切サービス 15名まで3時間60,000円(アウフグース付き、曜日・時間帯指定あり、時間外は応相談)
※男性専用施設。毎月2回程度、レディースデーを実施※詳細は公式HP(https://nihitaru.com/)をご確認ください
撮影/岡本武志
取材・文/佐藤アケミ