ととのう必要なし!? NiHITARU人気の秘密を代表に直撃

東京・江東区の東京メトロ東西線「東陽町駅」4番出口から徒歩1分にあるサウナ施設が、昨年10月にオープンした「sauna&bath NiHITARU(ニヒタル)」。小さなマンションの1Fの、限られた店舗面積のなかにコンパクトにまとめられた「新しい都市型サウナ」として反響を呼んでいる。そこで、代表・水上瞳さんに同施設を開店した経緯を聞いた。<全3回の2回目 前回の記事はコチラ

目次

「この土地にないもの」=サウナをやろう

──「NiHITARU」を開店されるきっかけは何でしたか?

「マンションが新築され、1階にテナントで入れることになったのですが『ここで何かできることはないか』というところから始まりました。開業が初めてだったこともあり、『この土地にないもの』をやろうと考えたのが『サウナをやろう』と思ったきっかけです」

仕事帰りにリフレッシュできる癒しの空間

──なぜ、サウナを選択したのですか?

「このエリアにサウナ施設が少なかったのと、東陽町は、1日の平均乗降者数が10万人ぐらい(2022年度は10万2996人=東京メトロ調べ)と、かなり多い駅です。その割には、ちょっと仕事帰りにリフレッシュできる癒しの空間があまりないと思ったので、これは絶対に需要があるな、と!」

スタッフ側にたってみたいと分からないことが……

──開業前の心配はありましたか?

「敷地が狭いのでどう(工夫)するか……。ここの広さだと会員制のプライベートサウナはあるのですが、うちぐらいの狭さで大衆向けの施設がありませんでした。それでピッタリのお手本が無かったので、苦労しましたね。それに、私自身お客さんとしてサウナにはよく行きますが、オペレーションする側にはなったことがないので、総合的に私ひとりで開業するのは無理だと、開業プロジェクトを立ち上げました。そのメンバーに都内人気サウナ施設の館長さんにも入っていただいて、オペレーション面をみていただきました。たとえば、温浴施設で一番場所を取るのはリネンですが、サウナマットやタオルは大きくて容積があります。それを、どういうふうに保管して、どうやって持ち運びしていけばいいかという点など、スタッフ側に立ってみないと分からないことを助言していただきました」

「浸る」というコンセプト

──そういう方がいると心強いですね、ところで、プロジェクトメンバーはどういう構成なのでしょう?

「企画構想段階から一緒に“壁打ち”(意見交換)させてもらったクリエイティブディレクターが1人いて、『浸る』というコンセプトに必要な要素はなんだろうねとか、お店をどのような雰囲気にするかというのを一緒に考えました。その先に入ってくるのが、内装をデザインする設計施工チームですね。また、お店のロゴを作ったり、グラフィックを作るアートディレクターをアサインしました。あと、前述のオペレーション目線で立ち上げを手伝ってくれた都内人気サウナ施設の館長さんです」

サウナ室には落ち着きを出したかった

──全体的にダークなサウナ室。サウナ室の材質にもこだわりましたか?

「素材はヒノキを使っています。サウナ室は落ち着ける雰囲気にしたかったので、かなりシックな黒茶っぽい落ち着いた色にしました。照明も暗めの設定です。保健所から暗すぎるのはNGと指導があったので、ギリギリの照度を守りつつ、落ち着ける空間にしました」

──たしかに、暗いと落ち着けますね。砂時計と温度計だけで、丸い12分時計がない。

「サウナ室に置くものはデザインにこだわっていて。なるべくお客様に無駄な情報が入らないように、全体デザインと統一したものにしています。砂時計もそうですね。12分計を導入しない理由は前回お話しした通りですが、いいデザインのものがないというのも理由のひとつです。砂時計も温度計、水温計も、いい感じのデザインを選択できるメーカーさんは少ないですね」

──ストーブのチョイスについては?

「サウナ室のサイズに、ちょうどいいストーブが意外となかったので苦労しました。日本に総代理店がしっかりあり、かつ、世界的にも流通しているという観点で選ぶと、選択肢は多くなかったですね。設置場所の広さや熱源のパワーを考え最善の選択が『SAWO(サオ)』社でした。サウナ室の広さに対して大きい、少しオーバースペックなものを入れています」

ととのわなくても気持ち良ければいいじゃん!

──「NiHITARU」は、先にコンセプトがあって、完成に近づけていったのですか?

「実は、私はみなさんよりサウナ歴は浅くて、コロナ禍でブームになったときに好きになった勢なのです(笑)。最初のころ、私がまだ『ととのう』という感覚が分からなかったときに、友人から『サウナでととのったんだよね』と言われると、マウントを取られたような感じをうけて(笑)。『ととのわなくても気持ち良ければいいじゃん!』という気持ちが芽生えました。そういう体験をプロジェクトメンバーみんなでブレスト(ディスカッション)していくと、『それぞれが、その日の自分の体調や気分に応じて、気持ちよく浸れば良くない?』いうことで、『浸る』がコンセプトになりました」

サウナには勝ち負けが存在しない

──水上さんにとってサウナの好きなところは?

「ほかの趣味とサウナが違うところは、スポーツは勝敗があったり点数があったりするじゃないですか。でも、サウナって、勝ち負けが絶対にない。これほど趣味の市場として広がっているのに、サウナに上手い下手っていうのがない。だったら、ととのう、ととのわない的な“趣味の壁”になりそうなことは外しても良くないかと思っています」

──施設づくりで目指したのは何ですか?

「お店の前で『来てみたけど、実は、サウナの入り方が分からない』と躊躇(ちゅうちょ)する人が実際にいるのです。そういう人にもフラットに気兼ねなく、なんとなくチャレンジしてもらう意味でも、サウナの“ハードル”は下げたかったですね」

「リラックスできる=浸れる」空間づくり

水上さんは「うちは、『ととのう』って、あまり言わないのですよ。サウナのハードル上げてしまって敬遠される部分のあるのかな」と語る。店を出るときに「あー気持ちよかったな。別にととのわなくてもいいや」くらいの気持ちでいてもらえるような、「リラックスできる=浸れる」空間づくりを目指したという。

次回も水上さんに、「NiHITARU」開業後と、今後の展望を聞く。

sauna&bath NiHITARU(ニヒタル)
■住所:東京都江東区東陽4-5-9 1F
■営業時間:平日=後1:30〜11:30、、土曜・祝日=前11:00〜後11:00、日曜=前9:00〜後11:00、水曜日の早朝営業(不定期開催)=前6:30~9:30
■料金:60分=1,500円、90分=1,900円、120分=2,250円、フリータイム=2,500円 タオル付き  延長30分ごとに+550円 早朝営業 45分=900円、60分=1,200円、90分=1,600円(税込)
※貸切サービス 15名まで3時間60,000円(アウフグース付き、曜日・時間帯指定あり、時間外は応相談)
※男性専用施設。毎月2回程度、レディースデーを実施※詳細は公式HP(https://nihitaru.com/)をご確認ください

シェアお願いいたします
  • URLをコピーしました!
目次