日本のプロ野球界きってのサウナ愛好家・千葉ロッテマリーンズの石川歩投手にご登場いただいている当連載。毎月、アスリートならではのサウナの愉しみ方をうかがっています。
ここ数カ月間の本コラムでも、さまざまな新しいサウナ施設のオープンが続いていることが話題になってきましたが……果たして今月はどんなお話を聞かせていただけるのでしょうか!?
新規開拓は少し余裕のある……“満を持した”タイミングで行きたい!?
――今月もよろしくお願いします!
「お願いします!」
――先月は「スパ ラクーア」に新たにオープンした個室スペース「サウナラウンジ レントラ」の行かれた際のお話をうかがいましたが……本当にここのところ、次々に新オープンが続いています。
「そうなんですよね。行きたいところばかり増えてしまって。でも、行きたいとは思うんですが、うまく時間がつくれなかったりして、なかなか新規のところには行けていないのが、ここ最近の現状です」
――あ、なんとなくわかる気もします。やっぱり、新しいところに行くのは、ちょっと時間的にも気分的にも……少し余裕があるときにしたい、みたいな?
「そうそう。そんな感じです。せっかくなので、混んでいる時間はできれば避けたいですし、自分的にもちょっと満足いくまで入りたいというか……。赤坂にできた『サウナ東京』とか、西麻布の『テルマー湯』(「サウナ・スパ テルマー湯 西麻布」)とか、気になっているところはあるんですけどね」
――そうすると最近は……?
「もっぱら、“勝手知ったる”というか、安心して行ける“やっぱりココだな”という感じの施設へ行ってしまいますね。学芸大学(駅)の『ミナミ』(「サウナ&カプセルミナミ学芸大店」)とか」
――安心感。
「はい。僕にとっては、いつ行っても安定感があるので(笑)。サウナ室も、水風呂も、外気浴も。新しいところに行くワクワク感ももちろんたまらないんですが、やっぱり行きつけというか、よく知っているところの“安定感のある気持ち良さ”も、僕にとっては重要だったりしますね」
――学芸大の「ミナミ」も、やはり根強いファンの多い施設なので、そこそこお客さんは多いですが。
「そうですね。でも、それは仕方ないです。もちろん空いていれば快適ではありますけど、あまりお客さんが少ないと、閉店とかになっちゃっても困るので」
――そこは悩ましいですよね。適度に人がいないと……心配になっちゃったりもしますから。
ショックだった、あの“通好み”の施設の閉店!
「はい。まさにそうなんですよね。前にもお話ししたかもしれないですが、大森にあった『みづほ』(「カプセルホテル・サウナ みづほ」)という施設が、僕は本当に好きだったんですよ」
――はい、「みづほ」。ありましたね。
「サウナ室が、いわゆる昭和ストロングというか、カンカンに熱くて。そして水風呂が強い勢いのバイブラというか水流があるうえに、すごく冷たい。冬場は本当にキンキンで」
――はい。冬はシングルに近かったかもしれませんね。
「そうなんです。でも、動線もすごく僕好みだったり、水風呂が少しぬるめの季節には氷を入れてくれたりなどの気配りというか、気遣いみたいなものもすごくあって」
――はい。
「ただ、いつ行っても、かなり空いていて(笑)」
――はい(笑)。私の中でも……混んでいる「みづほ」は記憶にありません(笑)。
「ですよね(笑)。ここは本当に最高だなって思っていたんですが、そうしたら、あるときに閉店すると突然知って。めちゃくちゃショックでした」
――はい。ああいう味わいのある施設の閉店は、本当に残念というか、悔しかったですよね。(※2021年7月に閉店)
「ですよね。やっぱり、適度に混んでないとダメなんだなと思いました。難しいですよね」
――おそらく、設備の老朽化だったりも理由にはあったのだとは思いますけどね。
「同じように、いつ行ってもいい施設なのに、あまり混んでいなくて大好きだった施設に、札幌の『スパ・サフロ』(「すすきの天然温泉 スパ・サフロ」)があるんですけど」
――あ~。
「やっぱり、閉店の理由は一概には言えないのかもしれないですけど……いい施設には、適度に皆さんも行ってほしいですね(笑)」
――「スパ・サフロ」も、石川さんの好きなポイントが詰まった施設だったかもしれないですね。(※2020年1月に閉店)
「はい。サウナ室はどれもちゃんと熱くて、めちゃくちゃ冷たい水風呂。浴室じたいも結構広くて、動線もすごくいい……。そんな施設でしたね。やっぱり閉店のときはめちゃくちゃ衝撃でした。
『みづほ』もそうですし、『スパ・サフロ』もそうだったんですけど、いろんなサウナ施設に行ってみて『あ、このサウナはココがいいな』『こういう部分がめちゃくちゃ快適だな』とか気づくと、すごくうれしいですし、何回でも行きたくなっちゃうんですよね」
――気配りというか、サウナ好きの人が喜ぶような施設づくりというか。
「そうです。だから、ついつい……機会があれば、新しいところにもやっぱり一度は行ってみたい、ってなるんですよね(笑)」
――あ~、激しく共感します(笑)。
ここ最近のニューオープン施設に、あらためて感じること
「そういう部分で言うと、最近新しくオープンしているところって、かなりサウナ好きの人のことをわかって設計されたりつくられているところが増えてきてるんじゃないかなって思うんですよね」
――そう感じられますか?
「はい。こんなこと、利用者の僕が言うのは失礼かもしれないんですけど、ここ数年、いろんな施設が多くできてくる中で、ときどき、正直『ん?』って感じてしまうようなところもあったんですよね、1~2年前くらいまでは」
――あ、なんとなくおっしゃりたいことは伝わります。
「分かりますか(笑)?」
――はい。いや、設備とか施設はもちろん最新だったりしても、どうしても気になる部分がある施設って、やっぱりありますよね。
「そうなんですよね。あの、別に文句や不満を言うつもりはないんですけど(笑)、『ココがもう少しこうだったら』とか……それこそ動線とかの本当に細かいところとかで、なんとなく残念に感じてしまうところってあったりしたんですけど、去年あたりから新たにオープンしている施設って、そういうのが減ってきた気がするんですよね。
むしろ、『このサウナをつくった人は、絶対にサウナ好きなんだろうな』って感じさせてくれる施設が、多くなってきた気がします。ありがたいなって思いますよね」
――たとえば、どんな施設が、そう感じさせてくれました?
「そうですね……僕が行った中ですごく驚いたし、うれしかったのは、赤坂の『金の亀』(「生姜サウナ 金の亀」)かなぁ……」
――はいはいはいはい。
「あの、建物がけっして大きくはないのに、サウナ室も水風呂も十分なスペースが確保されていて、内気浴というか静かに休憩できるスペースも、可能な限りの最短な動線で広々と用意されていて。生姜をアロマ水で使ったり、水風呂の水の中で浸したりというアイデアも、とても新感覚で気持ち良かったですし。『金の亀』は、空間のつくり方というか整理の仕方が本当にいいなぁと思いましたね。チームメートにも推しました(笑)」
――サウナ後に食べられる生姜焼きも、めちゃくちゃ美味ですしね。
「それ、僕、まだ食べてないんですよ。なんか食事とぴったりくるタイミングで利用できていなくて。次はご飯も食べられるときに行きたいなって思ってるんですけど」
――ぜひ、その感想も聞きたいです。でも、おっしゃるように、「金の亀」さんのみならず、サウナ好きが手掛けていることが伝わるサウナが、本当に増えてきた気がしますね。
「もちろん、サウナ室が熱いとか、水風呂がしっかり冷たいとか、外気浴が気持ちいいとか、そういう条件みたいなものも重要なんですけど、それだけではなくて“落ち着ける”とか、“使いやすい”みたいなことも、やっぱりあるとめちゃくちゃ嬉しいので。だから、いろんな口コミとか評判とかをネットで目にしたりはしますけど、一度は自分自身の体で味わってみたいなと思っているんです」
そして今日も“うれしい新発見”を求めて――!?
――はい。サウナの感じ方は人それぞれですしね。
「そうなんですよね。ひょっとしたら、あまり多くの人は足を向けていなくても、僕にとってめちゃくちゃストライクな施設だったりするかもしれないので。『みづほ』とか『スパ・サフロ』のように(笑)」
――石川さん自身のセンサーで感じたい、と。
「はい。だから、時間に余裕ができたら……やっぱり、ひとりでノコノコ出かけてしまうんですね(笑)。ひょっとしたらがっかりするかもしれないけど、ぜんぜん、それはそれでいいので。むしろ、“うれしい発見”みたいなものを感じないままになってしまうことのほうが悔しいので(笑)」
――“うれしい発見”。いいですね。これまでで、1番の“うれしい発見”があった施設って、どこですか?
「う~ん。1番ですか? 1番となると、マニアックというよりは、めちゃめちゃ王道になってしまうんですけど」
――ぜんぜん構いませんので、良ければ教えてください。
「僕の中では、長野の『The Sauna』が、これまでで1番の衝撃的なサウナ体験でした。冬に行ったんですけど、雪の中でのあのアウトドアサウナは…ちょっと異次元だなって思いました。今度は違う季節の『The Sauna』も体験したいと思ってるんですけどね」
――そうですね。「百聞は一見に如かず」ですし、「The Sauna」のような施設さんは、本当に「一期一会」的な部分もありますからね。
「仕事柄、春~秋はなかなか難しいんですが、シーズンを戦い終えたあとになんとか行きたいなって、もう何年も考えてはいるんですけどね。一人でもいいし、もし都合があえば、チームメートとでも。今年は実現できたらいいなと思ってるんですけどね」
――今季は、チームも好調ですし(6/12現在もパ・リ―グ首位をキープ)、ぜひ、そんないいシーズンオフを皆さんで迎えてもらえたら素晴らしいですね。
「はい。僕自身も1日でも早く1軍に合流して頑張りたいと思っています」
1988年4月11日生まれ。富山県出身。右投右打。滑川高から中部大、東京ガスを経て、2013年ドラフト1位で千葉ロッテに入団。2014年に新人王。2016年に最優秀防御率のタイトルを獲得。ストレート、シンカー、カーブ、スライダー、フォーク等多彩な球種と精緻な制球力を武器に活躍。